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【マーダーミステリー】マーダーミステリー製作における60点以上を作る為の40項目

※この記事は個人的に目指している内容です。万人が目指す必要はないです。

現在、新しいマーダーミステリーを製作しているのですが、初めて作った鉄紺の証言において色々あった反省点を払拭しようと試みています。そんな中、これは意識して作った方が良いと思うことを並べていくと、ちょうど40項目上がりました。この内容は他の製作者にとっても参考になるかもしれないと思い、記事にまとめることにしました。

最上段にも書いていますが、偉そうに創作論を語ることが出来る身分ではない為、全て個人的な意見である前提で読んで下さい。

※1~4はほぼ必須要素。優先度が低いものもあるがアンマッチを防ぐ為に全て満たす。


1.推理・犯人当て

1-1.論理的な推理や証拠で真犯人を1人(1組)に特定できるか
1-2.重要な証拠が1つ出ただけで犯人確定してしまわないか
1-3.全員の時系列を整理するだけで犯人確定してしまわないか
1-4.秘密を開示出来ない人=真犯人というメタ推理にならないか
1-5.秘密や目標そのもので犯人の絞り込みが可能になっていないか
1-6.犯人特定の為の手がかりが動機しかないかどうか
1-7.犯人が単独犯と明言できている、または単独犯でない場合は真犯人以外の共犯の可能性を否定出来る内容になっているか

動機だけで犯人を特定するタイプのマーダーミステリーがあることは知っていますし、それが押し並べて駄作というわけではないはずです。ただ、ミステリーを期待して挑んだ結果ミスマッチが起きるというパターンもある為、防ぎたいところです。動機だけで犯人を特定することの何がまずいかというと、「今表に出ているある人の動機よりも、他の人が抱えているある動機が状況により合致しているかもしれない」からです。ミステリーでよくある、「動機があるからなんだっていうんだ?証拠を出せ」という奴ですね。

全員の時系列整理だけで犯人が特定されるというのはパズルであってもミステリーではないかなーと思っています。ミステリーの文脈では、時系列整理をまず行い、その前提条件から犯人が特定出来ずさあ捜査、推理しようとなるからです。

2.キャラクター

2-1.事件や謎解きに関する情報、他プレイヤーとの関係性が薄いキャラクター(脇役)がいないか
2-2.点数制の場合、どれだけベストな動きをしても、他のキャラクターを上回る点が獲得出来ないキャラがいないか
2-3.殺人が起きている現場、キャラの内情に寄り添った設定や目標となっているか
2-4.殺人事件の謎を解くことがキャラの目標として相応しいか

殺人事件が話の核ではない場合、2-4は別の核として読み替えて下さい。

3.背景・ストーリー・設定

3-1.その背景や設定であることがゲームに活きているか
3-2.警察組織などが介入できるのに何故か介入していない等の、状況の不自然さがないか
3-3.SF、ファンタジー要素がある場合、その前提がフェアに提示されているか
3-4.犯人の動機がゲームの中で推察できるか
3-5.殺人犯がいるような現場で単独で捜査したり、密談をすることに対して理由付けができているか

3-3はこの中ではかなり大事なことだと思っています。もし提示されていない場合、そもそもその要素が作品にあるのかどうかといった本筋からそれた議論をする必要が出てきます。

4.証拠・ギミック・ゲームの構造

4-1.嘘あり、嘘なしがゲームに合致しているか
4-2.密談あり、密談なしがゲームに合致しているか
4-3.証拠カードあり、なしがゲームに合致しているか
4-4.秘密や個人の情報全てを開示してもデメリットがないルールになっていないか(開示するか否かのジレンマがあるか)
4-5.追加で得られた情報やハンドアウトによって、想定外に不利になることがないか
 ※例えば、ある嘘をついたのに、追加情報によってその嘘が露呈=真犯人断定となる、等
4-6.カード型の場合、誰の目にも明らかな情報が伏せられるようになっていないか
 ※例えば、巨大な建造物を隠匿出来る等
4-7.カード型の場合、他人の所有物を取得できることや、それを持ち主に返す必要がないことに合理的理由があるか
4-8.プレイヤー、GMのコントロール出来る範囲を超えた時間配分や情報量になっていないか(目安は最低プレイ時間:プレイヤー人数×10分、最大証拠カード数:最低プレイ時間÷2)
4-9.カード型の場合、ブラフの役割しか果たしていない意味の薄い情報が無いか
4-10.時系列データが存在することがゲームに合致しているか

5.秘密・目標

(NGではないがありきたりで意外性面白味に欠けるので出来れば無いようにしたい)
5-1.被害者は自殺である
5-2.被害者は事故死である
5-3.動機が自殺幇助
5-4.キャラクターは実は誰かと不貞行為の関係にあった
5-5.キャラクターは実は誰かと秘密の恋人関係にあった
5-6.キャラクターは実は同性愛者である、または性別を偽っている
5-7.キャラクターは実はお金に困っている
5-8.キャラクターは真犯人ではないが被害者に恨みがあり、遺体を損傷させた
5-9.キャラクターは真犯人ではないが被害者に恨みがあり、被害者死亡前に殺傷させた
5-10.キャラクターは実は誰かに恋しており、ゲーム中または終了時の告白タイムがある
 ※特に殺人が起きている現場でそれをやる空気かどうか
5-11.キャラクターは集めなければいけない物品がある
 ※特に何の仕掛けもなく自分のカード(自分で調べられない)を集める目標になっていないか

思いついたものを適当に並べています。このあたりは初めて作ったものにおいても多少意識していました。

6.その他

(必須ではないが、はまればクオリティが一段階上がる)
6-1.ストーリー、ギミック、設定、真相など何かしらの観点で作品の売りがある
6-2.ゲーム中にプレイヤーが考えて言動を選択出来る
6-3.上記に加えて選択の結果、マルチエンディングとなっている
6-4.ゲームの雰囲気にあったシナリオ、文章になっている
6-5.隠された意図を発見出来る喜びがある
6-6.プレイヤーの気持ちを強く動かすようなストーリー、シーン、キャラクター等の要素がある
6ー7.過激な、政治・宗教・偏見・性的要素がない
6ー8.キービジュアル、キャラクター、ハンドアウト、その他コンポーネントが作品に合った綺麗なデザインである
6-9.『ずっと部屋にいた』『ずっと記憶がない』などの話すことが少ないキャラクターを作らない
6-10.記憶を消す、改竄するなどの効果を持った超科学的なアイテムに頼らない
6-11.死体を目撃したが特に理由もなく通報しない等の不自然な言動をさせない
6-12.犯人キャラにタイムイートになるようなネタを用意させておく
6-13.犯人キャラに事件の真相の代わりとなるようなアハ体験を与える

マーダーミステリーは、作品が面白いか否かみたいなことをユーザーがすごく意識しているコンテンツだなーと思っています。それはマーダーミステリーの製作者の多くがアマチュアだから作品の品質が担保されていないということと(そもそもマーダーミステリー製作のプロってなんだ?という気もしますが)、作品自体がブラックボックスだからという理由があるように思います。

上記にまとめた40項目は、最高の作品を作るためというより、多くのプレイヤーにできるだけ満足してもらえるものを作る為の内容です。

とはいえマーダーミステリーの中心はプレイヤーで、プレイヤーが物語を作っていくものだと思っているので、作品、製作者が頑張れる範囲はぎりぎり赤点にならない60点くらいなのかな、という意味でタイトルに60と入れました。(数字自体にそれ以上の意味や根拠はありません。)

追記
初めて作った僕のマーダーミステリーは、上記の項目で満たしていないものがたくさんあります。また、今後作るものも限りなく意識しようとは思いますが、全て満たせるかどうかは分からないです。
例えば、推理要素はあっさりしているけれど、とても良い感動ストーリーが描けたならそれに全振りするみたいな作り方もありかもしれません。

追記2
いろいろ項目を追加し、50項目になりました。

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