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『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』に行ってきました。

今年のGW(ゴールデンウィーク)は、東京に友達に会いに行ってきました。その道中で行ってみたかった展示にも足を運んできました。

展示名は『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』。新宿のSOMPO美術館で3月23日から6月9日まで開催している展示だ。

19世紀後半から20世紀初頭にかけての北欧の絵画芸術に焦点を定めた展示で、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館という3つの国立美術館のコレクションから選び抜かれた約70点の作品が展示されているというもの(公式サイトより)。

自分の場合は北欧映画や北欧ミステリーなど色々な創作物に触れていたこともあって、この展示に興味があった。

SOMPO美術館の看板。美術館への行き方は公式サイトに写真付きで紹介されている。

自分が訪れたのは5月4日のGW真っただ中の土曜日。
SOMPO美術館は新宿駅西口から10分程度の場所にある。

美術館の見た目は少し変わってて特徴的なのだが新宿は高層ビルが多い。今回、初めて訪れたけど新宿駅の西口から向かったこともあって、目立たない場所に建っているなという印象を受けた。

大きめの看板。SNSでの拡散が推奨されていた。

混雑を予想して開館10分前ほどに到着。
お客さんはすでに20人ほどが待機しているが予想ほどの混雑ではない。

受付ロビーは開場しており館内で待機することに。チケットを購入してなかったので、当日券を購入。受付を済ますとエレベーターで5階へ。

展示は5階から始まり3階までで階層ごとに展示のテーマが分けられている。
1章『自然の力』
2章『魔力の宿る森ー北欧美術における英雄と妖精』
3章『都市ー現実世界を描く』
※なお場内は4階にあたる2章以外は撮影禁止となっています。

まずは1章にあたる5階は『自然の力』
ここでは北欧の自然を題材にした絵画が並ぶ。ちなみにこの展示のテーマは下記を参照して欲しい。

この展示に関したことだけじゃないが、当時の絵の流行りや移り変わりからその国々の歴史が見えてくるのは面白い。

19世紀後半、ヨーロッパで興隆した象徴主義は、北欧の絵画にもいち早く浸透した。 その背景にあった急速な工業化と都市開発は、やがて原始の状態への回帰、あるい は自然との調和という理想を人々の胸に呼び起こした。この自然への関心の高まりと 並行して、北欧独自の絵画を探求する画家たちは、母国の地理的、気象的特徴に注 目した。雄大な山岳や森、湖といった自然風景、そして北方の地に特徴的な現象であ る夏季の白夜、太陽が昇らない冬の極夜、そしてオーロラが多くの作品の題材となっ た。四季に応じた自然の変化は魅力的な主題となったが、特に冬の光景は北欧を特 徴づけるものとして好んで取り上げられた。

『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』のプレスリリースより。


人と自然を題材にした絵画が多く並ぶ。青々とした緑と青空の対比が美しい絵画がある一方、荒れてひび割れた大地にどんよりした灰色の空が印象的な絵画もあった。

どちらかというと自分が思い描いていた北欧はこちらの方。
北欧は美しくもあるのだが荒れてて厳しい土地だとも思っている。

ちなみに北欧の家具や服はやたらカラフルで可愛いが、友人によるとグレーの空が多い代わりに装飾品がカラフルになったとのこと。
なるほど、確かに土地がそこに住んでる人の生活や衣服に影響しているもんね。

5階が終わると階段を降りて4階へ。
4階のテーマは『魔力の宿る森ー北欧美術における英雄と妖精』。

ここでは北欧に伝わる民話や伝承をテーマにした絵画が並ぶ。この展示のメインともいえるコーナーだ(展示のテーマは下記を参照に)。

19世紀のヨーロッパでは国家的、民族的アイデンティティへの関心が高まる中、各地で 急速に失われていく土着の伝統文化が着目されるようになった。北欧の芸術家たち は、国際的な芸術的動向に目を向けると同時に、母国の文化的伝統に強い関心を抱 き、土地に伝わる民話や伝承から着想を得た。北欧の民話やおとぎ話は、北欧神話、 およびフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』として知られる一連の物語から大きな影 響を受けている。これらの物語の多くが舞台とするのは深い森であり、そこは魔法 や呪いが効力をもち、人や動物ではない存在が住まう場所である。未知の冒険や神 秘体験へと誘う神話やおとぎ話の世界は、北欧絵画を特徴づける主題となった。

『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』のプレスリリースより

民話や伝承をベースにした絵が多く、1章に比べると色使いが鮮やかでカラフルという印象。それこそ灰色の空が多い代わりに装飾品がカラフルになったという話が活きているのだろうか。

そしてこの階は写真撮影がOKなので気になる絵も何枚か撮った。

こちらはガラール・ムンテというノルウェー出身の画家の絵、トロルを退治する物語の場面を描いたとのこと。
「The 北欧」という色使いの絵が可愛い

 自分が特に気に入ったのがテオドール・キッテルセンというノルウェーの画家の作品。どれも色使いが鮮やかで可愛い。

この下の『トロルのシラミ取りをする姫』という絵、これもキッテルセンの作品だが、名前の通り、トロルのシラミを取っているお姫様の姿を描いておりユニークな設定と可愛さに目がいく。

『トロルのシラミ取りをする姫』は今回の展示の目玉として扱われており、デフォルメされたイラストがグッズとして販売されていた。

この階の最後にはテオドール・キッテルセンが描いたトロルや疫病をまとめたスライドショーのコーナがあるのだが(これは写真撮影禁止だった)こちらの絵も味わい深かった。

トロルとは:北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種

Wikipediaより

このスライドショーを見て思ったが、トロルは日本における妖怪みたいな存在でキッテルセンは日本における水木しげるみたいな存在でもあるのかもしれないな。

キッテルセンはノルウェーでも人気の高い画家らしく、ネットで調べたらいくつか絵が見れたのだがどれも味わい深い。

人の名前を覚えるのは苦手な自分だが、テオドール・キッテルセンという画家の名前は覚えておこうと思う。今後、この人の展示があれば遠方でも行ってみたい。

そして最後の3階へ。最後のテーマは『都市ー現実世界を描く』。

19世紀における都市の発展は、人々の生活様式を大きく変化させただけではなく、 諸芸術へも影響を及ぼした。かつて神話や歴史上の一幕が重要な主題と見なされた 絵画の分野においても、街の景観や都市生活が新たな主題として登場し、同時代の 現実が芸術の中へと引き込まれた。北欧らしい薄闇の中にある近代都市の神秘的な 光景は、画家たちの想像力をかき立てた。工場や整備された街路を臨む都市風景、 そして近代化の波を待つ郊外の風景が取り上げられた。また、画家たちは日常生活に 親しみをこめたまなざしを投げかける一方で、都市開発の陰で増大する貧困や病と いった負の側面にも目を向け、最下層の人々の生活を迫真的に描いた。

『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』のプレスリリースより。

このコーナーではこれまでの幻想的な雰囲気から一変、現実へ引き戻され近代化に伴った国々の様子が描かれている。

このコーナーに限ったことではないが、北欧の絵画はどこか寂しさや孤独を感じられる作品が多い気がする。作品名までは覚えてないが好きな絵も多かったなぁ。

3階の終わりにはSOMPO美術館に常設されているフィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』が展示されていた。

ひまわりは現在、世界中で6点現存しているらしいが、そのうちの一点がこちらとのこと。今回、美術館のコレクション情報など知らずに行ったこともあって、これは嬉しい驚き。SOMPO美術館の目玉ともあって、やはり多くの人が足を止めていた。

なお写真撮影は可能でした。

3階を終わるとグッズコーナーとカフェコーナーが。落ち着いた雰囲気だったので休憩がてらお茶をしたかったのだけど、予定が詰まっていたため今回はスルー。次訪れた時は…!

グッズコーナーは先ほど挙げた『トロルのシラミ取りをする姫』をデフォルメしたグッズが多く並んでいた。定番グッズもあればお風呂用タオルとか変わり種グッズもあってて面白い。

美術館のグッズ…ではないんだけどコーヒーのドリップパックのセットを買いました。

ということで『北欧の神秘』展、とても面白かった。通いやすい場所にあればもう一回くらい行っても良いくらい好きな展示だったな。

『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』は6月9日までSOMPO美術館で開館予定とのこと。
さらにその後は長野県の松本美術館にも巡回予定とのことなので興味ある人は是非ともチェックしてみては。




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ヴィクトリー下村
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