見出し画像

【謎多き伏線と】ちいかわを考察するVol.2【キャラクター達】

SNSを中心に大人気を博している『ちいかわ』。
イラストレーターのナガノさんがTwitterで連載している漫画で可愛らしさと毒を含んだ世界観が魅力である。

前回の記事(下記リンク先参照)では、ちいかわの魅力やナガノさんの作風などについて述べたが、今回の記事では物語内に仕掛けられた謎や伏線、ちいかわの世界に登場するキャラクター達について語っていきたい。

【モモンガと入れ替わり疑惑について】

画像1

『モモンガ』は穏やかな性格が多いちいかわ族と異なり、横柄な言動が特徴的なキャラクター。モモンガには『他のキャラクターと中身が入れ替わっている』という疑惑がある。

この疑惑のもとは、モモンガが登場する前にちいかわ達に起きた事件から始まる。これはちいかわ達が魔女(らきし存在)に身体を奪われそうになるという衝撃エピソードだ。

人形を拾ったちいかわ達の精神が人形と入れ替わってしまうという話だが、印象的なのが下の場面。

画像2

魔女の「なりたいやつがいるんじゃ…こういう…風に…」という台詞から、ちいかわ(なんか小さくてかわいい存在)になりたい存在がいるということが推測できる。

上のエピソードを踏まえたうえで、モモンガの初登場シーンを見てみよう。

画像3

注目なのはモモンガの「ついにやったぞ」、「おもいっきりかわいこぶってやる」という台詞だ。

これだけでは何のことかよく分からないと思うので、次のエピソードを見て欲しい。

これはモモンガがあるキャラクターに追われている場面だ。

画像4

このキャラクターは初期のエピソードで描かれた『なんかでかくて強いやつ=でかつよ』というキャラクターだ。

モモンガに向かって『返せ!』と何度も連呼している。

モモンガは何を奪ったのか?

これまでの流れを踏まえると、でかつよがモモンガの身体を乗っ取った(でかつよとモモンガと中身が入れ替わっている)と推測できないだろうか?

画像23

魔女の『なりたいやつがいるんじゃ…こういう…風に…』という台詞を思い出してほしい。

ちいかわ11

なりたいやつというのが、まさしくでかつよのような存在だとは考えられないだろうか?作中で「身体が入れ替わっている」とは明言されていないため、これはあくまでも推測ではある。

しかし、モモンガの立ち振る舞いからこの疑惑は真実味があると思う。
魔女の台詞からもちいかわ(ちいさくてかわいいもの)達になりたいキャラクターが一定数いることが分かる。

すでにちいかわたちに馴染み人気キャラクターになったモモンガだが、果たしてこの疑惑が明らかになる時はくるのだろうか?

そして下のエピソード以降、一向に登場しないでかつよ(モモンガ)の身体は元に戻るのだろうか?

今後の動向が気になるところだ。

画像6
かなり切ない

【ヨロイさん、その役割は?】

画像7

『ヨロイさん』はちいかわ連載初期から登場しているキャラクターだ。

見た目からちいかわ達とは違う種族の生き物だということが分かるが、それ以外は謎に包まれたキャラクターである。

現時点で分かっていることは、
・同じ格好の仲間がいる。
・ちいかわ達に労働を与える・管理している
ということくらいだ。
ヨロイさん達の中にはちいかわ達と仲良くしているヨロイさんもいる。

ちいかわとヨロイさんのエピソードは可愛らしく癒されるものが多い。
その中でヨロイさんに関する意味深なエピソードがあったので紹介しておきたい。

画像8

これは懸賞の「すき焼きセット」が当たったちいかわ達にヨロイさんがすき焼きの方法をレクチャーするというエピソード。

ヨロイさんがちいかわの家から立ち去る際、金色のヨロイさんに声を掛けられている。

注目したいのは「仲良くしすぎだ」という台詞。これはどういう意味なのだろうか?

ちいかわ達と仲良くしたら何か良くないことがあるのか?
その理由は分からないが、ちいかわとヨロイさんの間には何らかの障壁があるとことが推測できるだろう。まだまだ謎の多いヨロイさん、今後その謎も次第に明かされていくのかもしれない。

【討伐とは?擬態型とは何なのか?】

画像9

見た目や言動が愛くるしいちいかわ達だが、ほのぼのとした雰囲気とは真逆になかなかハードな生活を送っている。
草むしりや真夜中のキノコ採り…様々な仕事をしているが、その中でも特に「討伐」という明らかにハードな仕事がある。

この「討伐」という仕事、詳しい内容は不明だ。

現時点で分かっていることは
・討伐対象を倒すと報酬が貰える。
・大きい討伐(強い敵?)ほど報酬金額が大きくなる。
・討伐成績が上がると上位ランカーと呼ばれ、ちいかわ達から一目置かれるようになる。
・討伐成績が4位内に入ると、武器に自分の顔マークを入れてもらえる…

などである。

上位ランカー

討伐対象がどんな存在であるかは明かされていない。

ちいかわ達も討伐の詳しい意味を知っているようには思えない。
意味もよく分からないまま、よく分からないものを倒しに行っている…こう考えると討伐って怖くないだろか。

討伐はちいかわ達が対象のいるエリアに赴く仕事だが、討伐とは別にちいかわ達のコミュニティが狙われる事も何度か起きている。

その際に言われるのが『擬態型』という言葉。

擬態とは他のものに姿形を似せるという意味を表す言葉だが、どのキャラにも共通しているのが、仲間の振りをして近づいているということ。
ちいかわ族を惹きつけて攻撃してくるのだ。

このキャラクター達が討伐対象に含まれるのかどうかは分からない。
だが、ちいかわ達を攻撃する存在が一定数いることはわかる。

画像10

擬態型とは別に友好型という、ちいかわ達と友好な関係を築ける存在もいるようだ。

【おっきい討伐とカエルの意味とは?】

最近、ちいかわファンを特にざわつかせた投稿がある。

ちいかわ達がおっきい討伐にでる回だ。
上記でも記載したように「討伐」は対象が大きく(強く)なると報酬が上がることが分かっている。

ハチワレの提案のもと、ちいかわ、うさぎを合わせた3匹(?)で討伐に臨むのだが、相手が想像以上に手強く撤退する。

注目してほしいのが、このエピソード内で討伐対象が指をさす「カエル」。

討伐対象の名前は明かされたないが、さまざまな生き物を掛け合わせた姿をしているから『キメラ(キマイラ)』の一種だと思われる。

※キメラ(キマイラ)…語源は神話に登場する怪物の名前。漫画や小説などのフィクションにおいては、1つの身体に様々な生き物が入り混じっている怪物を指す意味で使われることが多い。

画像11

投稿された当初は「カエル」は「帰れ(もしくは帰る)ではないか?」など推察されていたが、結局よく分からないまま話は終わってしまう。

ネットをざわつかせたのは、このエピソードの直後に投稿された内容。

それが下の場面。

画像12

これは、ちいかわが隣の席の子とお菓子やおそろいのパジャマを通じて仲良くなっていくというエピソードだが、この回ではいつもいる隣の子がいない。そして登場するのがカエル(オフィスグリコ)。

このカエルは、ちいかわと隣の子が仲良くなるキッカケとなった2匹の関係性を表す象徴的なアイテムだ。

この回は、通常であれば仲良くなった子がいなくてちいかわが残念がるエピソードだけのように見える。

しかし、このエピソードが大きい討伐エピソードの直後に投稿されたこと、討伐エピソードで意味ありげに描かれていた「カエル」が一致するということから、SNSでは次のような図のような仮説が挙げられている。

画像13

それがおっきい討伐対象=ちいかわが仲良くなった子という推察だ。

実はあの討伐対象は何があって、姿形が変わってしまった隣の子だったのではないだろうか。

ちいかわを見てカエルを指したのは、「僕はいつも隣で仕事している子だよ」ということを教えたかったからではないだろうか。

この討伐対象がちいかわ達の仲間だったのではないかという推察を裏付けるようなエピソードがある。

それがちいかわ初期の「キメラ」というタイトルのエピソード。

画像14

「こんなになっちゃった」と泣きながら登場するキャラクター。

このエピソードだけだとナガノさんらしくシュールで不条理な話なのだが、討伐エピソードと合わせると、このキャラクターも何かが原因で、容姿が変わってしまったのではないかと思えないだろうか?

何が原因で姿が変わったのか?

突然変異か、何者かの手によるものなのか?それは分からない。

このエピソードのタイトルは「キメラ」。
討伐対象の中には、かつてはちいかわと同じ種族だったものもいるかもしれない。

これらは現時点(2021/5/13時点)での推察レベルの話だ。もしかしたら次のエピソードでは隣の子は復活しているかもしれないし、できるならそうであって欲しい。

2022/9/23更新分
その後のエピソードで「あのこ」という名称と、「あのこ」自身がちいかわ族だった時の回想をしているため、この推測は確定とみなしたい。

公式が「あのこ」という名称にしていること、上記の回想からこの推測は確定とみなせるだろう。

推測が確定したことでちいかわ達は何も知らずに友達だった子を倒しているのかもしれない」というハード過ぎる設定が現実のものとなった。

※オフィスグリコに関しては下記参照。

※オフィスグリコ…企業などに設置されたBOXや冷凍冷蔵庫から商品を取り出し、代金を貯金箱に投入するシステムです(グリコの公式HPより)。

何故カエル型の貯金箱なのかというと、「仕事で疲れた体をリフレッシュ」 ⇒「疲れた体が蘇る(よみがえる) 生き返る(生き返る) ⇒「よみカエル いきカエル」=「カエル」だからとのことらしい。素敵な意味合いですね。

画像15

【ちいかわ相関図(推察ふくむ)】

ここまでの推察も含めた簡単な相関図も作ってみた。

画像16

【裏設定?噂レベルの推察】

ここからはSNS上で噂程度に語られている様々な推測をまとめてみた。

①ハチワレも実は乗っ取った側?

モモンガの項目で「身体を乗っ取っている疑惑」について語ったが、ハチワレも実は誰かを乗っ取っている側なのではないかという説がある。

根拠は2つ。

1つ目はハチワレは話すことができるから。
ちいかわの謎の一つに、話すことができるキャラクターと話すことができないキャラクターがいるという謎がある。

ヨロイさん以外では、話すことができるのは擬態型や討伐対象だけ。

モモンガの一連のエピソードが投稿された後に、実はハチワレが話すことができるのは、既に誰かの身体を乗っ取っているからなんじゃないか、と推察されるようになった。

画像19


2つ目の根拠はハチワレが描いた落書きの絵
ちいかわとハチワレが砂に落書きをするエピソードがあるが、ここでハチワレが描いた絵(下記参照)を見てほしい。

ハチワレと同じく頭の模様がハチワレと生き物だが、その姿はまるで怪物のよう。

1つ目の根拠の裏付けとして、この落書きの怪物は、実はハチワレが今の姿を乗っ取る前の姿だったんじゃないかという風に推察されている。

画像17

個人的な意見としては、この推測はあまり真実味が無いように思える。

1つ目の推察がされたのはモモンガ登場直後でありこの時点ではラッコは登場していない。

ラッコも話すことができるキャラクターなので、ハチワレが誰かと入れ替わっているなら、ラッコも誰かの身体と入れ替わっているということになる。

ラッコの佇まいや様子などを見る限り、その可能性は正直考えにくい。
それに擬態型や討伐対象も全てが話せる訳ではないということも分かっている。

2つ目の根拠も「すごいの」と言っているが、本当に身体を乗っ取ったならこんな風な台詞は言うのは違和感がある。

ただ、話すことができるキャラクターと話せないキャラクターがいる謎についてはそのままだ。この謎が明かされる日はくるのだろうか。

②ヨロイさんが甲冑を着ている理由とは?

ちいかわ達とは明らかに異なる見た目をしているヨロイさん。
なぜ甲冑を着ているのかという疑問についての推察がある。

この疑問について語る前に、そもそもなぜヨロイさんは、ちいかわ達に討伐させているのかという疑問がある。

ちいかわとはもともと「小さくてかわいいやつ」という意味だ。なのに討伐というハードな仕事をしているのには違和感がある。

討伐対象がちいかわのコミュニティに何らかの危害を加えるのなら、ちいかわ達ではなく、ちいかわよりも姿の大きく強そうなヨロイさんが討伐に行けばいいのではないのか?

その疑問に対する答えが「ヨロイさんは、ちいかわ達より知能は良いが身体が弱い」という説だ

それならちいかわ達に討伐をさせているのも納得だし、突然の襲撃に備え常時甲冑を身に着けているのかもしれない。

個人的にヨロイさんがちいかわ達より肉体的に弱いというのは信じがたいが、この説は理屈が通っているため真実味のある噂だと思える。

【その他の気になる伏線】

ここでは他の気になる伏線についても触れておきたい。

ちいかわは謎多き世界なので、気になる点はとても多い(ちいかぶが何故、檻に入れられていたか、スイッチが何故リンゴに混じっていたのか等)。その中でも特に気になったのが、うさぎが持ってきた下の物体について。

画像18

これはちいかぶちゃんとの一件の後、落ち込んだちいかわを慰めるためにハチワレとうさぎがちいかわの家を訪れたエピソード。

果汁ジュースを持ってきたハチワレに対し、ウサギは謎の物体を持ってきている。これに関してはその後、何の説明もないが、この物体は何かの伏線になるのだろうか?

2023/3/8追記:まさかの伏線回収

上述したうさぎが持ってきた謎の白い物体。これが2023年3月8日のちいかわで再登場した。それが下の回。

敵を笑わせなくてはいけなくなったちいかわ。そこで持ってきたのがこれだが、どうもうさぎに指定されたようだ。

これを見る限り、どうも木に生えているものらしいということが分かる。ただ、それを踏まえても結局何かは分からない。

「溶けてしまう何だか分からないモノ」というのが正解なのかもしれない(それ自体がシュールで面白い)。

その訳の分からなさにちいかわ達は笑っていたということなんだろう。

しかし、この謎の物体が登場したのは2022年4月4日の回である。約2年ぶりの登場ということで、そのことに驚いてしまった。

ちいかわトレーディングカード

もう一つは、ちいかわとハチワレが集めてるカードのキャラクターが現実のキャラクターがリンクしているという伏線。上に出てくるカブト王はちいかぶに似ているし、レーザー男爵に関しては他の漫画をまたいで登場している。

レーザー男爵

これに関しては、実はナガノさんの「ちいかわ」と「もぐらコロッケ」シリーズの世界観が繋がっているのかもしれないという推察などができる。

個人的にはこれはストーリ的に関係のないファンサービス的なものなのかと考えているが、こういう細かな気付きがある点もちいかわの面白いところだ。

【ちいかわのこれからの展開はどうなるか?】

ここにきて、ハードな世界設定を思わせるような展開になってきたちいかわだが、今後ちいかわはどうなっていくのであろうか?ここからは完全に筆者の憶測になるが、ちいかわが表立ってハードな展開になる可能性は低いと思う。

そう思う理由の一つは、ビジネスとしてのちいかわの展開の仕方だ。ファミリーマートはじめ様々な企業とのコラボやちいかわカフェなど、ちいかわを巡るグッズ展開は大変盛り上がっている。

ちいかわを好きな人達の中には、純粋にちいかわ達のキャラクターや世界観に癒されるから好きという人も多いだろう。そういう人達の中には今回の推測記事で挙げたようなハードな展開を望んでない人が多いんじゃないだろうか。

大人の事情になるが、あまりにハード過ぎる展開でファンが離れるというのはナガノさんサイドとしては当然望んでないだろう。そういう風に考えると、もし上記で挙げた設定が本当だったとしても、匂わす程度で終るんじゃないかと、そう思えるのだ。

【まとめ:こういう推測もちいかわの魅力の一つ!】

ということで、これまでちいかわに関する様々な推測をまとめてみたがどうだっただろうか?

記事を書いて思ったのが、ちいかわはこういう設定や伏線について色々考えるのが面白い。

例えば『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズのように、ファンの考察が作品以上に盛り上がる作品があるが、ちいかわのにもそれに通じるものがあると思う。

もちろん可愛らしいキャラクターやほのぼのとする世界観が魅力的なのだが、あれこれ推察したり他の方の推察などを読むのも楽しい。

特に見た目とギャップのある設定が推察できるからこそ、ここまで人を惹きつけるんだろう。今後、どういう風に展開していくかも含めて追っかけていきたい作品である。

【単行本情報】

8/23に発売予定のちいかわの2巻。絵本付き特装版は1巻の時はあっという間に売り切れていたので、欲しい人は早めに予約するのがお薦め。

同じく8/23に発売予定のMOGUMOGU食べ歩きくまの3巻。ナガノさんがモーニングで連載していた食べ歩き漫画。エコバック付きの限定版もあるので、気になる人は早めにチェック!

ナガノさんが同じくTwitterに投稿しているツッコミくま。ちいかわの可愛らしいけど不条理かつ毒の含んだ世界観が好きな人には是非お薦めしたい。

2022/9/27追記分:【作品から読み解く】ちいかわを考察するVol.3【謎と作風】

「あのこ」の共食い事件やスーパーアルバイターから読み解くちいかわの社会、作者であるナガノ先生の作風について考察しました。


いいなと思ったら応援しよう!

ヴィクトリー下村
読んでいただきありがとうございます。 参考になりましたら、「良いね」して頂けると励みになります。