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【殺人鬼なめんな!!】『サマー・オブ・84』感想レビュー

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概要:1984年のアメリカ、オレゴン州。15歳の少年デイビーは、3人の親友と自転車でつるんだり、秘密基地でアダルト雑誌を読んだり、鬼ごっこをしたりと他愛ない毎日を過ごしていた。
そんなある日、父の勤める新聞社宛に殺人鬼を名乗る男から手紙が送られてくる。もともと都市伝説やミステリーに興味のあったデイビーはこの事件に強く興味を惹かれる。そんな折、向かいの家に住む警察官のマッキーの家で見かけた少年が、行方不明になっている事を知ったデイビーは、マッキーが怪しいと思い、3人の親友とともにマッキーの尾行をはじめるが…
製作年:2017年 製作国:カナダ 監督:フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル

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【『ストレンジャーシングス』、『IT』に続く80’S直球のジュブナイル映画!】『ストレンジャーシングス』に『IT』(2018年)、今、世界的に80年代リバイバルブームが湧いている。
その流行りは、映画だけに限らず、当時のファッションに音楽、カルチャー全般に浸透してると言える。今作の舞台は84年のアメリカ、まさしく80’S直球の時代を背景に、描かれるのは、かつての名作『E.T』(1982年)や『グーニーズ』(1985年)、『スタンド・バイ・ミー』(1987年)がそうだったように、大人になる前の少年たちを主人公にした物語。
監督は「BMX版マッドマックス」と呼ばれ、話題になった『ターボキッド』(2015年)を生み出したカナダの映像制作ユニット「RKSS」。80年代の名作を観て育った彼等が、80年代映画にオマージュを捧げながら、ただのオマージュにとどまらない衝撃の作品を生み出した。

ここからは、実際に映画を観た筆者の感想を書いていく。
ネタバレ全快で書くので、映画を観てない人は読まないよう気を付けて欲しい!!


【~ネタバレ注意~】
【本作はジュブナイル映画の皮を被ったトラウマ映画だ!!】

80年代を舞台に、少年たちが世間を湧かす連続殺人鬼を追う…あらすじを読む限り、まさしく80年代直球の映画であるし、主人公達の分かりやすいキャラクターからも、これは明らかに80年代にオマージュを捧げた映画だと分かる。
しかし!!
この映画、最後に観客をどん底に突き落とすようなとんでもない展開が待っている。
劇場で観た筆者は、まるで、いきなり冷水をぶっ掛けられたような気分になった。

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【悪夢を思わせるかのようなラストの怒涛の展開】
《ネタバレしてます》

無事、殺人鬼の正体を暴き、めでたし、めでたし…となった主人公達を待っていたのは、殺人鬼マッキーの逆襲。
「殺人鬼なめんな!」とばかりにデイビーとウッディを連れ去り、夜の森の中で「命がけの鬼ごっこ」を仕掛けるのだ。
結果、ウッディは死に、デイビーは助かるのだが、それはマッキーが「いつか復讐しにいくぞ」という今後おびえて暮らせよ、というある意味死より辛い宣告。
結果、友情は崩壊し、好きな子は引っ越し、デイビーはいつかくるかもしれないマッキーにおびえながら暮らすという何ともやるせない結末で物語は終わる。

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【80年代ジュブナイル映画に対する幻想を逆手に取った映画?】
この映画を観終わったとき、筆者は「何て意地悪でひねくれた物語なんだろう」と思った。
80年代ジュブナイル映画とは、ある意味ノスタルジックかつ、良きあの時代の雰囲気、加えて、まだ純真さを失ってない子供たちにこそ魅力がある(と筆者は思っている)
それを最後に「夢見てんじゃねぇ!」とばかりに現実の厳しさを突き付けるようなラスト。
明るくなった後の劇場は、筆者と同じく突き落とされた観客達の心情を表してるような重い空気になっていた。

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【監督は、カナダの映像制作ユニット「RKSS」】
今作の監督・音楽を担当したのは『ターボキッド』(2015年)が世界で話題となったカナダの映像制作ユニット「RKSS」。「BMX版マッドマックス」と言われたあの作品も、レトロ感溢れるケレン味のある映像に、エレクトロが印象的な作品だったが、今作でもあの映像の雰囲気とエレクトロがとても印象的だ。

【実は、アメリカの古き良き時代の終わりを描いた作品ではないだろうか?】
観終わった直後は、最後に強烈なパンチを効かせてくる映画だな、くらいに思っていた筆者だが、終わって、しばらく考えてみると、この映画には別の側面があることに気が付いた。
この作品、実は、アメリカの古き良き時代の終わりを描いてるのではなかろうか?
印象的な場面がある。デイビー達が、マッキーが怪しいと思う証拠を集め、デイビーの両親に告発する場面。デイビーの両親は、デイビー達のいうことを一切信用せず、マッキーに謝りに向かわせるのだ。しかもあろうことか、デイビーの父親は新聞社勤めなのに!
この場面を観たとき、筆者は「いや、もう少し息子たちを信じたれよ」と思っていたが、この場面は、逆に「自分たちの隣人に悪い人なんかいない」という無条件で人を信じれていた時代を描いていたのではないだろうか?自分たちの近くに悪い人なんかいない、まだそんな幻想が信じられていた時代が、物語の最後では変わってしまう。
この作品は、ひと夏少年の成長を残酷な痛みと共に、時代の移ろいをも描いた作品なのかもしれない。

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#映画 #映画感想 #サマーオブ84

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