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IT企業に潜む3つの労務リスクと改善案について社労士が本気で解説!

皆さんこんにちは!
社長全力応援社労士の下村です。

第二新卒の時から社労士業界に浸かり、来年で10年目を迎える社労士が今まで1番多くかかわってきたIT企業の3つの労務リスクと改善案をお伝えさせていただきます。

IT企業とはしていますが、フルリモートやフレックスといった働き方をされている会社すべてに該当する部分も多いので、ぜひ最後ご覧ください。
皆様の今後の企業運営の参考になれば幸いです。


労務リスク 勤怠管理の難しさ

IT企業の多くはリモート勤務やフレックスタイムといった制度を導入されていることが多いです。
リモート勤務は従業員のワークライフバランスがとりやすく採用面で有利な制度ですが会社としては

いつ働いているのか?
本当に働いているのか?
残業をしすぎていないか?

といった判断が難しいです。

もちろんそういったデメリットを改善するために専用のツールなどを社内配布のPCに入れているといった対策も聞いたことがありますが
従業員個人のPCで業務を行われた場合など完全に従業員の独断で業務を行うことが可能です。
(そもそも情報漏洩の可能性などもあり得るので個人PCを使うこと自体に問題がありますが)

また、会社としては深夜勤務は認めないとしているのにも関わらず、従業員個人のPCで作業をしていたため
従業員退職後にその時間分の残業代を請求された会社の話もあります。

会社としては普段から従業員の業務の進捗などを管理し、会社の管轄外で業務を行わないように企業として管理する必要性があります。

改善案 業務管理ツールの導入を検討する

皆さんは業務の進捗管理をどのようにされていますでしょうか?

昨今様々な業務管理ツールがありますが、組織が小さい段階からでもぜひ導入の検討をしてみてください。
上記でもお伝えした通り、会社が把握していないところで会社業務を行うというのは労務リスクが高い状態だと考えられます。

まだ企業が小さいからいいや、ではなくリモート勤務といった会社の目から見えないところで働くことが多いのであれば早急な対応が必要です。

業務管理ツールはとにかくシンプルにということであれば日報でも構わないと思います。
今日どんなことをおこなったかを記載してもらうことにより
「こんな業務は依頼したか?(勝手に仕事を増やしていないか?)」
「この労働時間でここまでの業務はできるのか?」

といった問題点の可視化が可能です。

改善案 勤怠管理を元にしたマネジメントを行う

多くの企業はタイムカードを入れれば勤怠管理は問題なく行えていると考えていることが多いですが私の意見としてはタイムカードを入れているだけではなく
そのデータを基にして日頃の従業員の様子と合わせて参考にしてもらえればと思います。

例えばですが
・今までなかった突然の年次有給休暇の申請が増えた
・今までなかった残業が増えた
・今までなかった遅刻又は早退があった

ポイントは、「今までなかった」です。こういった事があった時は従業員の方と早めに個別面談をされることをお勧めします。

話を聞いてみるとご家族の病気やご本人の病気、親族の問題やメンタルヘルス問題といった話が出てくることが多いです。
こういった情報は中々表に出てきにくく従業員の方も退職を決めてから「実は・・・」といったことがあり
こういった情報を事前に察知し手を打つことで会社にとって中核の従業員の離職を防ぐことも可能です。

ぜひ勤怠は給与計算だけに使うのではなく従業員のマネジメントを意識した使い方をしてみてください。

労務リスク 業務が属人化しやすく、気づけば残業が増えていきやすい業種

IT企業でフルリモートかつフレックスなどを利用していると同僚がどのようなITスキルをもっているかやどんな仕事をしているかが分かりにくい業種です。

オフィス勤務の時は何気ない会話から現在の業務の進捗や互いのスキルの確認などが可能でしたがオンライン上では雑談という時間が生まれにくいです。

特に若い従業員からは
「先輩や同僚がなにをしているか分からず、いつ質問すればいいかも分からず仕事中に不安な気持ちになる」といったことを仰る人もいます。
(その辺も仕事の内だ!となっていまうと本末転倒ですが…)

もちろん日頃からお互いの業務内容などを共有できていれば良いですが
スタートアップ企業の場合は特に目の前の仕事に忙殺され気づけば

①あの人しか分からない仕事
②一個人だけに仕事が偏り1人だけ残業が増える
といった事態が起きます。

①と②が重なってしまった時が非常にまずく
①と②の問題をかかえた従業員の急な退職が重なった時は
会社にとって主要なサービスの運営すらもままらなず、といった事態になりかねません。

改善案 従業員同士の交流もかねて勉強会などでお互いの業務を共有する機会を作る

改善案として従業員同士の交流もかねて勉強会などを業務時間内に行い
互いの業務を共有する機会を作るのがおすすめです。

従業員同士で仲良くなるのにお膳立てが必要ですか?と社長が仰る気持ちもわかるのですが
今の世の中では私は十分必要だと考えています。
(従業員同士だけではなく上司と部下、社長と従業員といった関係の構築も意識的に必要だと考えています。)

勉強会といわずとも月1回は会社に出社する日をつくることや食事会を主催などもいいですし、社員旅行もいいと思います。
何かしらで従業員同士の関係構築が行える機会を企業側で作るのは離職を防ぐのにも効果的です。

改善案 プレイングマネージャーは一時的なものと考えて早めにマネージャー職へと切り替える

中小企業ですと社内のトッププレイヤーがマネージャー職も兼任されることが多いとは思います。
事業の時期によってはプレイングマネージャーは必要かと思いますしそれ自体は否定するものではないですが
事業の初期ではなくある程度落ち着いた段階ではプレイングマネージャーではなく業務の中心としてマネジメント行う業務移行が必要と考えます。

従業員個人に対して業務の属人化をするなといってもそもそも現場の従業員は自身の業務が属人的になっているかどうかの判断はできません。

そのため、属人化をなくしたいという会社はまずトップダウンでこの問題にとりかかる必要があります。

そもそも業務の割り振りはマネージャーの役割だと考えます。
マネージャーは部署の業務の管理し、部下や事業が問題なく運営できるようにする役割ですので
基本的にはプレーヤーと兼任させるのは酷ではないかと思います。
(もちろん中にはトッププレイヤーかつマネジメントも可能な人材もいると思いますが、稀有な存在です。)

兼任させるのであればプレーヤー部分を少なくしてマネジメント部分に重きを置くべきです。

プレイングマネージャーは一時的なものと割り切って期間を決めての役職とし
期間が過ぎた時にはマネージャー職への切り替えを行うか新たな部署などに異動といった対応が必要と考えます。

労務リスク 業界全体的に給与が高いため未払い残業代の訴えがあった時に企業の打撃が大きい

IT企業は専門性が高く、新しい技術も常に生まれ続けそれに伴い新サービスも多く生まれています。
業務の受注金額も非常に高額になる傾向があります。

それに伴い給与はほかの業界に比べ高く設定されていることが多く未払い残業代の訴えがあった時のリスクが高くなっております。

また多くの業種では年功序列により給与額が上がる場合が多いですが、入社当初から高給での待遇が多く若く体力がある方が高待遇で業務に当たられていることが多いです。

体力がある分世間一般では体を壊しかねないような無茶な残業量を行うこともあり、会社が気づいたときには未払い残業代の金額が高額になっており
どこから手を付ければいいのか…、という状態になってしまうこともあります。

改善案 残業は許可制で行い未払い残業代請求のリスクを減らす

残業は従業員判断で行っているという会社は多いのではないでしょうか?
できれば残業は許可制で行うのがおすすめです。

本来であれば明日に回しても問題ない仕事とそうでない仕事の区別は従業員自身で行うのは難しいです。
(特に入社歴が短い従業員ですとよりより区別がつけにくい…)

全ての残業を許可しないとなると従業員自身の仕事が溜まっていくことのフラストレーションも高くなりますので
ある程度許可をする必要があると考えますが、会社側で一定の残業管理は必要と考えます。

具体的な許可方法など気になる方は、個別に弊所にお問い合わせください。

改善案 事前にみなし残業制の導入を行う(但し、残業は増える傾向にあり…)

みなし残業制度というものをご存じでしょうか?
IT企業で多く見られますが、導入のメリットは多いです。
(下記は以前私が解説させていただいた記事です)

ですが、正しい運用をしていかないとみなし残業と考えていた給与部分が基本給と考えられ、会社に対してみなし残業代として支給していた手当も上乗せして請求が行われるという諸刃の剣でもあります。

また、みなし残業制は残業をしてもしなくても残業代が払われます。
(みなし残業時間を超えた分はもちろん別途支払いが必要)

それにより会社全体としてみると残業時間は増えてしまう傾向にありますので
スタートアップ時代はみなし残業制度を利用しつつも会社の成長の段階で働いている方の不利益にならないように制度自体の見直しも必要と考えます。

まとめ

いかがでしょうか?
今回表題としてIT企業と銘打ちましたが、実際のところは人件費が高額になりやすく、従業員の裁量が広い職種(不動産業、マーケティング、コンサル)には当てはまることが多いのではないかと思います。

ぜひ自社の労務リスクを踏まえつつ、今後の会社経営に活かしていただければ幸いです。

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