ビビっからヒゲ剃れよ、普通に

プロローグ.12.30 (火)はれ

今年はバイクの事故のコトで心配をかけたので少し早めに、昨日の夜に実家に戻った。

 朝起きたら、有無を言わさず雑巾を渡され、強制的に窓拭きをさせられた。風は少し冷たかったけど、見憶えのある冬のやわらかい日だまりと、家中に響き渡るテキパキとしたかーちゃんの声で、すぐにこの家の子供に戻った。

おやじは最近なぜかモールス信号の免許を取っていて、昔弟がいた部屋に機械を並べて男の城を築いていた。窓を拭いている間もずっと「ト、ト、ト、ツー、ツー、ツー」という信号を鳴らし続けて自慢気にしていた。

出掛ける用意をしていると、ラウは置いていかれると思ったらしく、さみしそうに鳴いた。「大丈夫、一緒に連れて行くよ」とかーちゃんが言うと安心して大人しくしていた。

日が暮れる前に夕方ラウも連れて越後湯沢へ向かった。

先に来ているはずの弟はどこかへ出掛けているらしく、いない。前に会った時には顔中ヒゲだらけで雪男かと思ってビビった、が、しばらくして現われたその男はイタリアの貴公子デルピエロだった。

な、なんだそのヒゲは!

25:06 ビビっからヒゲ剃れよ、普通に

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