ポピュラー和声学「セカンダリードミナント」
1曲の中で臨時記号が1つもない楽曲は非常に稀で、多くのポピュラー音楽では、一時的に違う調から音を借りてきて楽曲を彩っていきます。
出典はこちら。
セカンダリードミナント
ダイアトニックコードのトニックでない音をトニックとみなして(トニック化)、新しいトニックへのドミナントを作ることができます。これをセカンダリードミナント(2次ドミナント、借用和音)、と言います。
特に、Ⅴの和音に対するセカンダリードミナントはドッペルドミナントと呼び、よりドミナントモーションが強調されます。
他の調から音を借りるので、調性が曖昧になると思いきや、むしろ各ダイアトニックコードが強調されるので、調性をより強固にしていく効果があります。
C majorのセカンダリードミナントは以下の譜例のように8種類あります。
長調のⅡ〜Ⅵの和音Dm, Em, F, G, Am5種と、
短調の固有の音によって作られるEb, Ab, Bb3種の和音に対するセカンダリードミナントが存在します。
セカンダリードミナントと近親調
セカンダリードミナントはダイアトニックコードから生成していますが、見方を変えれば近親調から音を借りていると考えられます。
長調のAmはCの同主調、Fは下属調、DmはFの同主調、Gは属調、EmはGの同主調にあたります。
短調のEbはCmの同主調、Abはfの同主調、Bbはgの同主調にあたります。
短調の下属調、属調はFmとGmなので、長調のドミナントと重複するため割愛されます。
ダイアトニックコードをトニック化することは、近くの調とのグラデーションを塗るようなものなんですね。
まとめ
セカンダリードミナントと近親調についてまとめました。
どちらも別々に説明されることが多いですが、合わせて解釈したほうが理解度が上がりますね。