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「はじめてのチュウ」 にみる効果的なエフェクト
国民的アニメ「キテレツ大百科」の主題歌として日本のみならず、海外のあらゆるアーティストにカヴァーされ、今なお愛されている曲ですが、特徴的な歌声のエフェクトについて考えてみました。
歌声の特徴
機械的でありながらも、どこか少年性を感じさせる歌声。これは通常の半分のスピードでテープを回しながらゆっくりと歌った録音を、通常速度に戻すことで特殊なエフェクトを施して実現しています。
このエフェクトの役割の1つとしては、ピッチを高くして子供のキーにするという効果があります。しかし、少しエフェクトに詳しい方なら、なぜオートチューンなどを使って音程を上げなかったのかと疑問を持つかと思います。ここがこの加工法の味噌ですね。
詳細な内容は企業秘密だそうですが、1つ予想できるのは素早いビブラートを与える効果を狙ったのではないかと思います。オートチューンなどのピッチチェンジャーでは通常、ピッチだけを変えることを目的としているので、それ以外のビブラートなどの要素はなるべく変わらないように加工されます。それに対して、テープの再生速度を変える加工ですと、単純に波形が短くなるため、ビブラートなどの周期も併せて短くなります。
このような特殊なエフェクト効果を狙い、声が高くて少し自信なさげに震えている少年性のある声、かつ、コロ助らしい機械感を演出したのではないかと思います。
効果的なエフェクトとは
このように効果的なエフェクトとして機能を発揮するためには、具体的な目的を持って加工が施されている必要があります。例えば生音感を活かしたい演奏に対して過剰なオートチューンをかますことは適切ではないですし、未来感を出したいPerfumeなんかには強めのオートチューンが効果的でしょう(未来感が強く押し出されていないころのPerfumeのオートチューンはかなり薄いものでした)。
他にも、合唱の加工をするときに、ボーカルにコンプレッサーをかけるべきかどうかは良く考えるべきだと思います。コンプレッサーがあまりにも強くかかると、アコースティックの演奏らしいダイナミクスレンジが見えなくなってしまいます。
まとめ
なんとなく加工しているその作業、本当にその音楽に対して適切ですか?ということを改めて考えてみるのも良いんじゃないでしょうか。