看取り~介護と死別を通して得られた家族の絆とは~(4)
3月1日(月)
今日から入院となったが、半月ほど待つことになり、お父さんは本当に入院できるのか心配になったようだ。ただ、もっと待たされる患者さんもいらっしゃると聞いている。大変な思いをされてるのだろうなと思った。前日お父さんは「しばらく酒は飲めないだろうから」と言って朝日のスーパードライの500ミリをおいしそうに飲んだ。退院して元気にまたお酒が飲めるようになったらいいなと思った。
病院について、入院での生活について簡単なレクチャーを受けると早速今日から検査となった。採血をし、バリウムを飲んでレントゲン、それと鼻からチューブをいれて何かの検査をしたのだが、それが気持ち悪かったようで、後でトイレでもどした。お父さんの背中をなでながら、「神様、お父さんを助けてください」と神様に祈った。
3月9日(火)
先週はずっと検査だった。水曜日は内視鏡検査、木曜は大腸検査でポリープを3か所切除、金曜はCT、土曜は再度CT.,そして昨日は腹腔内検査をしてもらった。
いろいろな検査を受けて、お父さんは疲れているのかちょっと元気がなかった。僕が仕事を終えて、病院にとんでいくと、若いT先生が見えて父と僕に検査結果を教えてくださった。胃を全適する可能性があること、転移があれば切れたら切るが、転移が広いと切らないでおくことなどかなり詳しく説明してくださったが、お父さんはだんだん怖くなってきたようだ。先生が立ち去ると、僕はしばらくおとうさんのもとにいてあげなくては、と思ったが、お父さんは一人で考えたかったようで、「もういいから」といって帰るよう促した。僕はその指示に従うことにした。「神様、お父さんの不安を和らげて下さい」と祈りながら帰宅した。
3月10日(水)
昨日のお父さんの様子を心配しながら職場を早退して、お父さんのもとに行くと、一晩考えて吹っ切れたのか、さっぱりとした顔をしていたので一安心。お父さんと一緒に執刀医のY先生に再会した。お父さんは先生に「(手術を)お願いします」と言った。先生が、「切れたら切ります」とおっしゃったので、ちょっと不安が残った。僕の知ってる人でも胃を全摘しても元気に過ごされてる方をしっていたので、父も全摘してくれればそれで助かるな、と思っていながら何度もお父さんの顔をみたが、昨日相当考えたのだろうなと思った。
フォローやスキはたいへん励みになります。押していただけるととてもうれしいです。