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ダッカメトロ、高速道路、立体交差⋯⋯ダッカは街全体が工事現場だった
バングラデシュのダッカに着き、その足で南部のコックスバザールに向かう。ダッカとコックスバザールの間には飛行機も就航している。しかしやはり運賃は高い。バスを利用することが多い。渋滞が激しいバングラデシュでは、長距離バス路線になると夜行になる。そのバスが出るまでの半日。ダッカのなかを歩きまわった。街はとんでもないことになっていた。いたるところで工事なのだ。道路の立体交差。新空港ターミナル。そしてメトロ……。ミャンマーでクーデターが起き、多くの企業がバングラデシュに移ってきているともいう。その好景気に圧倒される半日だった。
旅の期間:6月16日
※価格等はすべて取材時のものです。
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タイ国際航空はいまのところの最安値。LCCの就航再開が待ちどおしい
(旅のデータ)
タイのバンコクからバングラデシュのダッカまでの飛行機は、いまのところ、タイ国際航空がいちばん安い。往復で5万円を切る価格帯になっている。出発曜日によっての違いはあるが、1日に1~2便体制。コロナ禍前に戻った感じだ。タイ国際航空はコロナ禍の最中に経営が破綻したが、採算の悪い路線を切り捨てて再出発している。ダッカ線はコロナ禍前は集客率がいい路線だった。ほかにビーマンバングラデシュ航空が就航しているが、タイ国際航空のほうが安い。ビーマンバングラデシュ航空はスケジュールが安定していない。タイ国際航空の選択になる。コロナ禍前はタイ・ライオン航空、タイ・エアアジアなどのLCC組も就航していた。新型コロナウイルスの影響で、LCCが戻っていないが、時間の問題のようにも思う。LCCが就航すれば、往復で3万円台にはなるはずだ。
路地裏に漂う高度経済成長の実感
(sight 1)
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バングラデシュには、少数民族のラカイン人の知り合いが多い。夜行バスがダッカを出発するまで、そのひとりの家で休ませてもらうことにした。場所は空港に近い一角。ダッカへの人口の集中が年を追って激しくなり、にぎわうというより、人で埋まるといった感覚のほうがしっくりくる。道を歩くだけで疲れますが。
(sight 2)
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知人が暮らすアパートは、表通りからこんな路地を入ったところにあった。昔からの住宅街風だが、右手を見てほしい。レンガが積まれている。そう⋯⋯ここでビル建設がはじまるのだ。きっと10階を超えるようなマンションが建つのに違いない。急速に街が変わっていく予感が路地裏から漂ってくる。
(sight 3)
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表通りには空調の効いたこぎれいな店が次々にオープンしているが、路地に入ると、昔ながらのサモサ屋がこんな風情で。日本の高度経済成長時代を思い出してしまった。表通りと路地裏の格差。波に乗った人と、乗り遅れた人の格差⋯⋯。この店も1~2年で姿を消すような気がする。いまのダッカを見ていると。
ダッカメトロ。最初の路線の開通は年内? ダッカが劇的に変わる
(sight 4)
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「街をちょっと見てみますか」。知人の車でダッカの街なかへ。最初に目に飛び込んできたのが立体交差工事。渋滞緩和のために以前から、道路の立体交差工事はあったが、それが市内全域のそこかしこで。コロナ禍がまだ終わっていないというのに。市内を2時間ぐらいまわったがその間にこの種の工事を目にしたのは20ヵ所、いや30ヵ所? すごい勢いです。
(sight 5)
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「ここまでできていたのか⋯⋯」。見あげてしまった。ダッカではメトロと呼ばれている高架電車の建設工事がはじまっているとは聞いていたが、ここまで進んでいるとは。コロナ禍の間も、建設は着実に進んでいた。話では今年開業予定の路線もあるとか。ダッカにメトロ⋯⋯もう、そんな時代か。
(sight 6)
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ダッカメトロの工事は着実に進んでいた。計画では6路線が建設されるという。ひとつの路線ができただけでも、ダッカが劇的に変わる。多くの貧しい人々で埋まる世界の最貧国のひとつ⋯⋯というイメージは確実に変わる。子供の頃に高度経済成長を経験した僕は、ただ高架を見あげるしかない。
空港の新ターミナルも建設中。勢い余って?
(sight 7)
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あまりの勢いに食傷気味。彼のアパートに戻ろうと空港方面に向かう。と、この工事。立体交差工事とは違う。「高速道路ですよ」。知人はこともなげに教えてくれた。ダッカでは高速道路の新設も進んでいたのか。たしかにダッカの渋滞は末期的だった。それを解消する高速道路⋯⋯。それはわかるが、建設のスピードが早すぎる。
(sight 8)
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高速道路工事の先に現れたのは巨大なビル建設。「新しい空港ターミナル」。「いまのターミナルで十分じゃない?」。「これから飛行機はもっと増えるんじゃないですか」。この右手にいまの空港ターミナルがある。この国のいったいどこに、これだけの資金があるのだろう。バングラデシュの旅は戸惑ってばかり。
(sight 9)
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いまのダッカは街全体が工事現場のよう。メトロ、高速道路、立体交差⋯⋯工事は進んでいるが、利用できるわけではない。工事で道幅が狭くなり、大渋滞はそこかしこで起きている。いまだ市民の足はバス。先が見えているから皆耐えているが、あと1~2年、ダッカの混沌はつづく。いや5年?
夜の9時をすぎても発散されるエネルギーで街は全開
(sight 10)
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やっと知人の家近くに戻ってきた。ロータローの周囲は1階がスーパーや電気店などマーケット、2階が飲食店というつくりの建物が。2階のハンバーガーショップに入った。そこからロータリーを見おろす。喧騒が渦巻く街並み。8月31日に公開される動画でも紹介します。
(sight 11)
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知人の家で少し寝てしまった。ダッカの熱にやられてしまったかのように。ベッドに横になっても、工事の音が耳鳴りのように残っている。シャワーを浴び、さてコックスバザール行きの夜行バス乗場へ。途中の街はまだまだにぎわっていた。夜の9時をすぎても。発散されるエネルギーも変わらない。
競争が激しい長距離バス路線。新しいターミナルも続々と
(sight 12)
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ダッカからコックスバザールへ。これまではいつもグリーンラインというバスを使っていた。バングラデシュの長距離バスはグリーンラインが快適⋯⋯そういわれていた。しかし次々にバス会社でき、競争が激しくなってきていた。市内のバスターミナルも新設ラッシュ? 現地に知り合いがいないと、バスターミナル情報で混乱する?
(sight 13)
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今回はENAという会社のバスにした。いまのバングラデシュでは、夜行バスというと、3列シートが主流になってきた。通路を挟んで1席と2席という配置だ。ENAのバスもそのタイプで、コックスバザールまでの運賃は1800タカ、約2592円。だいぶ高くなった。好景気の証なのだが、円安を抱える日本人の財布には響きます。
(sight 14)
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バスターミナルに着いてわかったが、ここはENA社専用ではなく、いくつかのバス会社の共同ターミナルだった。乗客はこうしてバスを待つが、常に道端に停まるバスに注意していなくてはならない。バスターミナルというより、大きなバス停と思ったほうがいい。こういうターミナルが、ダッカ市内に何ヵ所?
(sight 15)
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ターミナルで10分ほど待つとバスが現れた。この日、ENA社のコックスバザール便は3便あったが、その最終便。コックスバザールには翌朝の7時頃に着く。コックスバザールには、僕らが運営に関わる小学校がある。そしてロヒンギャ難民のキャンプはどうなっている? バスは混沌としたダッカを出発する。
【次号予告】次回は9月2日。バングラデシュ南部のコックスバザールに到着。しかし経済成長の波はこの街にも。街全体が工事中⋯⋯。
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