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くるり「天才の愛」を聴いた

くるりの新作「天才の愛」

随分大袈裟なタイトルだなと思う方もいるかもしれません。しかし、全体を通して聴けば、この作品のタイトルの意図を感じ取ることができるかなと思います。(受け止め方、解釈はそれぞれ楽しめばいいでしょう)ジャケット写真そのままにぱっと光が見えてきて、その音に自然と吸い寄せられていくかのような感じ。

「I LOVE YOU」タイトル的にストレートなラブソングかと思いきや、”やれそうでむりそうな仕事ばっかり”~からはじまる。 私はこの鮮やかな屈折をおもろいと思う。”ほなせんど“と京言葉が歌詞に使われているのも個人的に親しみを覚えます。

「益荒男さん」作品の中身に意味はなくてもオッペケペー節を引用したというコミカルさは心地良い。

まるで短編小説の世界のような「潮風のアリア」

収録されている音源とはミックス・バージョンが異なるMV

くるりが京都に戻ってきた影響もあるのか、成熟した大人が青春を抱いたまま、駆け抜けていくようなメロディ 前作のオリジナルアルバム「ソングライン」でもみせたハッとさせるフレーズは健在です。

思い出と生き方はいつも釣り合わないものだ 何度でも間違えればいいさ

「I LOVE YOU」「潮風のアリア」「渚」時に息苦しさを覚える時代を生きる私達に、取り巻く現実を全体的に表現しようとする文学的試み。小説は毒牙的な部分がありますが、この曲は救いを与えてくれるそう思えるものがあります。MVは北山大橋からはじまるけど、そういえばくるりのデビューアルバムも鴨川で撮られたものが何枚かあった。鴨川好きな人らやなぁと思ったけど自分もそうでした。

趣味シュミ色が強い遊び心満載の「野球」という楽曲もあり(野球の事は全くわかりませんが曲はよかったです)今作のInstrumentalは3曲で、今作が最後となるファンファンのトランペット聴き納め。プログレやジャズっぽい実験的な印象を持ちましたが、前作「ソングライン」に収録されたTokyo OPと地続きなところがありますね。不可思議なものと抒情性、楽天的なものが混ざり合った一枚。これぞ、京都オルタナティブ。京都で生き続ける私にまさに「天才の愛」が届いた瞬間でした。

特典映像は地元京都でのライブ映像もたっぷり収録されてます。

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