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50万円使ってわかった動画配信サービス最終結論【10000字徹底解説】

こ、このままだと動画サブスク貧乏になってしまう……!
常時5~8の動画配信サービスを契約していて、それだけで月1万円は飛んでいく生活。契約サービスを増やしても使える時間は増えないので、このサービスではこの作品が見られるのか……と確認するところがクライマックス、もはや動画サービスで映画やドラマを見ること自体よりも、何が見られるかを確認することが趣味となりつつあります。
いきなりすみません、自己紹介が遅れましたが、私・霜田は、チェリーというエンタメサイトで、映画監督や俳優さんにインタビューしたり、映画やドラマの紹介をラジオで話したり、記事を書いたり……というエンタメを紹介する仕事をしております。
「仕事に役立ってんならいいじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、初めてNHKオンデマンドに入会した2010年以来、特にこの数年、この複数サービスに同時入会している状況が続けているので、正直、50万円は使ってきました……。ちなみに金持ちなわけではなく、3000万円の借金もあるので、精神的にも少し負担です。複数入会しながらも「動画配信サービス多すぎじゃね!?」と思っています。
そこで、僕の50万円の犠牲の上に、このnoteを見てくださった方々が、無駄な出費をしなくていいよう、11のサービスに関して、実際に使って思ったことを正直に書いていきたいと思います。(※仕事柄、過去にお金を頂いて、配信サービスやそこで扱う作品に関する記事を書いたことはありますし、今後もあると思いますが、この記事は誰に強制されたわけでもお金をもらったわけでもなく、自発的に書いています)

11のサービスを50万かけて使用、10000字で結論を伝えます


11のサービスの中には「みんなにオススメ!」なサービスもあれば「○○な人にオススメ!」もあるので、そこも含めて綴ります。
実際の本数などのデータは調べれば開示しているところもありますが「実際に何本あるか」よりも「多いと感じるかどうか」のほうが大事(見たいものがないと実際の本数が多くても、多いとは感じられない)だと思っているので、実感を書いていきます。
あくまで「実感」なので、主観も入りますし、何を好みとするかで相性のいいサービスも変わってきます。なので、最初に一応、僕の好みを言っておくと、洋画大作よりも、日本のドラマや映画が好き、韓国映画・ドラマも結構見る、流行はおっておきたい、さらにドラマや映画じゃなくても、効率的に学びになるようなものは見たいなと思っているタイプです。あと、『ジャニーズは努力が9割』という本を書いてるくらいのジャニヲタです。

ということで、前置きはここまで。約10000字ありますので、まず最初に、先にお知らせしておいたほうが各論が入ってきやすいであろう、前提としての結論をお伝えしておきます。​

最初の結論①~③

結論①
海外資本サービスのほうが、サジェスト機能が優れているので、好みの作品と出会いやすい

結論②
日本のテレビ局の配信サービスとの相性は「その局の過去のドラマがどれだけ見たいか」によってしまう。自局のドラマ以外も充実しているという意味で一歩抜きん出るのがHulu。

結論③ 
過去のコンテンツに興味がなく「流行に乗っかるために見る」のであれば、まずNetflix

① に関して補足すると
「どうしてもこれが見たい!」という強い意志のない人は、日本のテレビ局資本のサービスよりNetflixやAmazonプライム・ビデオなどのほうが、作品をオススメしてくれる、しかもそのオススメの精度が高いのでラクです。Amazon慣れした僕らはサジェスト機能なんて当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、その精度が著しく低かったり、これ人力なのでは?と思うような日本のサービスが存在するのです。
逆に、見たいものが具体的に決まっている人(監督名や俳優名など検索ワードが浮かびやすい人)は、幅広く扱っているサービスもしくは特化型サービスのほうがいいので……これは、またこの後で。

ということで、サービスごとの各論にうつっていきたいと思います。②③は以下の各論の中で補足します。
時間のない方は、最後の結論に飛んでくださっても大丈夫です!

<A:巨大海外系サービス>
① Amazonプライム・ビデオ

ご存知Amazonのプライム会員になると付随するサービスのうちのひとつ。そう、あくまでプライム会員になるとついてくる“オマケ”なのです!しかも月額にすると500円未満!海外のドラマ・映画に、日本の映画・ドラマと幅も量も豊富で1ミリでもエンターテイメントに興味があるなら入っておいて損はないサービス。いわばAmazonプライム・ビデオは“本気のオマケ”です。
オリジナルのコンテンツはバチェラーやドキュメンタルなど様々なジャンルが。逆に、正直、興味ない人には興味ない、というか、ありすぎてAmazonとしてのオリジナルコンテンツの色が出ないという点はありますが……仮にオリジナルコンテンツを1本も見なかったとしても加入する価値アリ。
それくらいカバー範囲が広いです。しかし、ときにプライム扱い(無料)だったものが都度支払い(有料)になることも。それも時が経つとまた無料に戻っていたりしますので一喜一憂を繰り返します。
また、有料の新作などをウォッチリストに入れておくと、プライム扱いになったときにアプリがそれを知らせてくれる設定もできるので便利です。基本をこのAmazonに決めて、自分の趣味を深堀りするため、後半にご紹介する特化型のサービスに入る、というのがコスパ的にはよいパターンだと思います。
個人的にはKinKi Kidsの過去ライブ(堂本剛の奉納演奏まである!!!)が配信され始めたので、それが配信され続ける限り一生やめません…!
あと、2020年10月中旬からの2週間で「バチェロレッテ見た?」という会話に3度出会いました。地上波テレビよりもネット配信番組が流行を作り出している今、“流行のる代”として入会するのもアリ!(もちろんネトフリにもその効用はありますが、テラハなき今、ネトフリは主にフィクションの流行にのれるという感じです。)

② Netflix

動画配信サービスといえば、まず名前のあがるNetflix。「なんでもある」みたいなイメージがありますが、実は日本の映画・ドラマに限って言えば、かゆいところには手が届かない、というのが実感です。日本のドラマの対応はAmazonのほうが一枚上手。海外に目を向ければ洋画の名作などはそれなりにあるので、やはり世界企業、という感じ。とはいえ韓国映画や台湾映画も実はあまり多くありません。(アジアに弱いのか!?)
やはりNetflixの魅力はオリジナルコンテンツ。『全裸監督』『セックスエデュケーション』のようなセンセーショナルに見えて、それだけに終わらない深い作品が揃っています。

つまるところ、Netflixに月額最低880円払いたいかどうかは流行にノリたいかどうか、と同義です。今年『愛の不時着』や『梨泰院クラス』を見てないことで会話の機会を逃した人も多いはず。地上波連ドラよりNetflixのオリジナルドラマが話題にのぼることも多いこの時代。流行にのることに、お金を払うかどうか、というところです。
ちょっと蛇足ですが、ドキュメンタリーなども骨太なので、実はそこに価値が見いだせれば、流行とは関係ないところで十分楽しむこともできます。(僕はジャニヲタなので『ARASHI's Diary -Voyage-』と『RIDE ON TIME』だけでも大満足です)
後述しますが、入ってしまえば全部が見放題で、作品ごとに課金される心配がないのも実はよきところ。(これが守られてないサービスが意外に多い)
また、Netflixには総じてユーザーと作品への愛が感じられます。


こちらのキャンペーンCMは様々なオリジナル作品をつなぎ合わせたものですが、なんだか1本の通った筋があるように感じられるので不思議です。「想像できない世界がある。 だから人は、 ストーリーを再生する。」というコンセプトも素晴らしい……!

他にも、しばらく見ていない期間が続くと、勝手に解約になるという、無駄にお金を取りすぎないようにする素晴らしい企業姿勢も。こちらは全日本の銭ゲバ定額課金サービスが見習って欲しいところ。


<B:テレビ局系サービス>

各テレビ局が展開する動画配信サービス。だいたいが月1000円前後なので、最近は無料のサービス・Tverで1週間以内なら見られるものも増えていることを考えると
・どれだけその局の過去のドラマを見られるか
・その局のテレビ番組を見る、以外の需要にどれだけ対応できるか の2点が選択の上での鍵な気がしています。

③ Hulu

今は「日テレドラマとNiziUの見られるところ」というイメージかもですが、もともとは外国資本のサービスだったこともあり(日本テレビが2014年に買収)、各局のサービスの中では、動画配信サービスとしてのクオリティの高さが際立ちます。
当然、買収後に日本テレビが本腰を入れ始めたので、その頃から権利処理をちゃんとするようになったのか、この数年の日本テレビドラマはきちんと見られる感覚。そのうえで、それなりに他の映画や、他局のドラマなども揃っている。この“それなりに”が大事で、正直AmazonやNetflixほどじゃないけど、後述する他の局のサービスよりよっぽどある。つまり、日テレのドラマのために入ったけど、意外に他のものも見られるじゃん!というお得感が得やすいのがHulu。なんならHuluの中に『TBSチャンネル』『テレ朝動画』といったカテゴリまで。さらに『今夜くらべてみました』『ウチのガヤがすみません』『しゃべくり007』といったバラエティがあるのもお得感にプラス。
また例えば「ParaviではMBS制作のドラマがない」といった“系列局のものが意外にない問題”も起こらず、読売テレビ制作ドラマもきちんとあるのがポイント高し。金曜ロードショーの放映時には『バックトゥザフューチャー』が並ぶなどの連携もよい感じです。しかし、オリジナルドラマはそんなに……というか最近は力を入れてないのでは、と思わせる量。2
総じてミーハーでも楽しめるというのがHulu。海外ドラマなども目立つ一方、邦画に絞ると、ちょっと通には物足りない可能性は大きいです。逆に日テレドラマだけに月額1026円払える感覚のある人にはパラダイス!

④ NHKオンデマンド

実は各局の中で最初に始まったオンデマンドサービス。僕は2010年の『ゲゲゲの女房』からオンデマンドで朝ドラ視聴を始めました。最近はAmazonとも連携し、Amazon内にNHKチャンネルができるなど、接点も多くなり便利に。
さらに、かつては最新2週間分を見るのに1000円、過去の作品を見るのに1000円と、合計2000円かかっていたものが、この春にプランが統合され、現在1000円ですべてを見られるようになり、お得になってます。
もちろん、大河ドラマや朝ドラが見られるというのはNHKオンデマンドの魅力なのですが、他サービスと比べたときに、独自の魅力になるのは、NHKは教養までカバーできる分、検索ワード能力さえ高ければ大学教育に匹敵するという点ではないでしょうか。
下手な教科書で下手な先生に習うより『100分 de 名著』を見たほうが、知識がスッと頭に入ってくるのでは……。もちろんこういった基本を頭に入りやすくする番組だけではありません。NHKの番組クオリティの高さはここで述べるまでもありませんが、BSスペシャルなどでは『欲望の資本主義』など先端の番組も。うまくこれらを摂取し続ければ相当優秀な人間が出てきそうで怖いです。
かなり褒めちぎりましたが、そもそも公共放送が、受信料の上にさらにネット配信でお金を取るのか、というのは議論の余地あり。NHKオンデマンドには一生課金するから、それをもって受信料としてください!!

⑤ Paravi

TBS・テレ東・WOWOWの協力のもと始まったはずのParavi。しかし、WOWOWの主力コンテンツを見ようとすると「WOWOWプランへの加入」が必要となる。もともとの1017円も割高なのに、さらに2300円を要求される。すなわちParaviをストレスなく完全に楽しもうとすると月額3000円以上、さらに、チケットという都度課金のコンテンツまであるという、正直誰が満足して入っているのだろう状態。
もちろんTBSの最新ドラマは揃っているのでそれはありがたいのですが……。“ドラマのTBS”なので過去の名作TBSドラマ(例えば山田太一の『ふぞろいの林檎たち』的な)に期待するも、それもなし。グランメゾン開始時は、過去の木村拓哉ドラマが見られるようになりましたが、それも気づいたらなくなっていた……。
テレビ東京も深夜ドラマを中心に面白いドラマが多いですが、ドラマ24などは配信されてないこともあったり、「正直テレビ東京はパラビに乗り気でないのでは?」と思わせるラインナップ。『ガイアの夜明け』『WBS』『カンブリア宮殿』といったテレビ東京の経済的な部分だけを求めるなら、月額500円の『テレビ東京ビジネスオンデマンド』で十分
また、サジェスト機能ゼロ、関連作品もなぜと疑問符のつくものが多い。この作品と作品が“関連”と思わせるのは、誰かが手動でやっているのでは?……と思わせる低クオリティです。
サービス開始時の宇垣美里と鷲見玲奈の衣装だけが高クオリティ、そしてオリジナルドラマも、連ドラの派生が多いですが、藤原竜也主演の『新しい王様』は、本当に面白い傑作です。(でも結局これも地上波でやっちゃった)
僕がもしTBSのドラマの脚本家だったら、自分の作ったドラマがこのサービスだけでしか見られないことに怒りの声をあげると思います。(『アンナチュラル』が最近Amazonで見られるようになったように、放送直後はParaviだけですが、1~2年すると他サービスに開放されるという流れが続いています)

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↑表現が練られておらず、高圧的な気も……(期間内であれば無料でご視聴できます、とかのほうがよいのでは)


⑥ TELASA(テラサ)(旧auビデオパス)

2020年春から始まったテレビ朝日のテレビ局としては後発の有料動画配信サービス。しかし、もともとはauビデオパスというサービスでした。僕は『仮面ライダー龍騎』の特別編を見るために入りましたが、それ以外見るものがないまま1年以上が過ぎました。そして1年経ったら、オリジナルコンテンツだったはずの、その龍騎まで有料課金になっている……なんだそれ!月額562円とテレビ局系サービスの中では割安ですが、テレビ朝日のドラマが見たければ、Tverとかで1週間以内に見ればいいのでは、と思ってしまうサービス。過去の『相棒』が気になる、など何か特別の目的がない限り、オススメはしません。

⑦FOD(フジテレビオンデマンド)

さすがのフジテレビ!と言いたいところなのですが……過去の月9全部見たい!と思ったものの、ジャニーズ作品をはじめ、ところどころ歯抜け状態。
とはいえ、実は『ぼくは麻理のなか』『僕はまだ君を愛さないことができる』など、オリジナル作品が結構攻めてて面白いのが特徴。テレビが若者に向けて作られてない感じがする今、本当の若者向け、でもAbemaの恋愛リアリティショーじゃ若すぎる、安すぎる、という人にはちょうどいいライン。が、時間が経つと結局深夜帯にテレビで放送しちゃう……というジレンマも。あと、退会がしにくい。

<テレビ局系じゃないその他のサービス>

後残り4つ!サービスを紹介します。

⑧DISNEY+(ディズニープラス)

そりゃあ本数でいえば劣るけれど、そんなに本数って重要かな?どれを見ても素晴らしい、ということの方が重要じゃない?と言いたくなるのがDISNEY+。そう、量より質!というか情操教育には、このDISNEY+だけで充分では!? ディズニ-作品なんて結構見てるし、と思う方も多いかもですが、意外に抜けはあるはず。昔のディズニーアニメーション作品から、ピクサー作品まで勢揃い。たとえばピクサー作品の本編の前に10分くらいで流れる短編のアニメーション作品、あんなのも全部見られちゃいます。ディズニーのドキュメンタリーもあったりするので、ディズニーという世界にどっぷり浸れます。またディズニーが買収したマーベル作品なども網羅。

⑨dTV

まあ500円だしな……と自分で自分を納得させるラインナップ。ただ、ときどき期間限定で坂元裕二脚本の『問題のないレストラン』がぶっこまれるなど「このドラマ入ってくるか!」という驚きが生まれることも。お笑いライブなんかもあって、あくまで“500円にしては”という接頭辞がつくもののそれなりに楽しめる
野島伸司脚本による『パパ活』は、個人的に面白かったので、これだけで500円払う価値は大アリ!と思って見てました。
ちなみにdTVの本数が多いのは、カラオケ動画の本数が多いからなので「映画がたくさんあるんだ!」とか誤解しないほうがいいかも。

⑩TSUTAYA TV 

TSUTAYAに行けば何でもある……そんな刷り込みがなされている世代にはショックなサービスです。あった!と思いきや、さらなる課金……実はこれが動画配信サービスで最もストレスが溜まる部分かもしれません。正直、ツタヤの名前が廃るから、速攻でやめたほうがいいサービス!おそらくTSUTAYADISCAS(DVDが郵送で借りれる)が前提とあって、そのオマケと捉えられているのでしょう。単体で1000円は割に合わなすぎます。
しかも新作ならいざしらず、AmazonプライムやNetflixでは見放題範囲内な作品も、この中ではポイント消費制で有料という体たらく。

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(↑見放題と書かれているのが見放題対象で、他は有料。逆かと思ったよ!)


しかしなぜかWOWOWの『有村架純の撮休』や、テレビ東京の『デザイナー渋井直人の休日』MBSの『死にたい夜に限って』というSPA!読者が喜びそうなラインナップが独占配信されていたりと(というかこれらはParaviが獲得すべきだったのでは!?)と、あくまで他サービスで足りない特定の作品を補う、という使用目的ならいいのかも。ただ、退会がわかりづらい。

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(↑話数ごとに表示されるのでUIも悪い)

⑪U-NEXT

名前変えてるけど、もとはUSENだろ?と思って距離をおいていたけど……ごめんなさい!最高でした!かつてGYAO!は無料、U-NEXTは有料と舵を切ったことが功を奏しているのか、月額2000円の有料サービスとしてきちんと充実しています。
他サービスでは有料なものも見放題の範囲内というのもありがたい。種類も豊富で、配信に許可が出ている作品は全てあるのでは……?と思わせる。もうU-NEXTになかったらその作品はDVDで見るしかないです、と言い切っていいでしょう。
しかも作品の幅も広く、洋画の大作から、日本では新宿ケイズシネマでしか見られないのでは……といったインディーズ日本映画まできちんと見放題範囲内に。独占配信しているのが瀬々敬久監督の『菊とギロチン』ですからね!地方在住の女子高生がわざわざ単館系の日本映画を見るために東京に夜行バスで来た…みたいなエピソードを聞くと涙を流していた僕ですが、今なら一言「U-NEXT入れば!?」と冷たく言い放つことでしょう。
最初の結論に書きましたが、自分が見たいものが自分でわかっている人=検索ワードが浮かぶ人には最適のサービスです。
もちろん、浮かばなくても大丈夫。特集の仕方も「ポン・ジュノ」「もたいまさこ」「ジム・ジャームッシュ」「山下敦弘」と、「そこを切り取ってきたか-!」とうなりたくなるラインナップ。過去作品をいかに輝かせくように並べて、見たいと思わせるかが、動画配信サービスの価値のひとつであると考えると、U-NEXTはおそらく内部に“映画をきちんとわかってる人”がいて、画面・特集の構成を考えていて、その価値を発揮している気がします。
本屋で言う「その棚におくと作品までダサく見えちゃう!」みたいなことが正直ParaviやTSUTAYATVには起こっているのですが、U-NEXTの中だと、見たことある作品ももう一度楽しみたくなるから不思議です。
超充実の映画に比べるとドラマの充実度は少し下がる感覚もあるものの、例えば関テレドラマ『竜の道』は放送中から見放題範囲内で放送後に最新エピソードが追加されている(例えばTSUTAYATVでは有料)など、不思議な充実感。
月額料金1,990円(税抜)は他サービスと比べると高めの設定ですが、毎月付与されるポイントの範囲内(1200円分)であれば、追加課金なしで有料作品も見られます。しかも有料作品は、最新映画だけでなくNHKやディズニー作品などその使用範囲も広いので、がっつり見るタイプには決して割高ではないはず!さらにポイントはバルト9など一部提携の映画館でも使えるので、余ったら劇場で見たい作品に使うという選択肢まで……!


<終わりの結論④~⑥>

ということで、ここまでをまとめます。

結論④ 
「流行に乗っかるため」ではなく「自分の好きな方向に思索を深める」目的であれば、U-NEXTだけでも事足りてしまう

結論⑤
月額500円以内、で考えれば、突出してAmazonプライムがオススメで、次にかなり離れてdTV

結論⑥
NHKオンデマンド、DISNEY+は、自分の世界を深めるためにプラスアルファで入るには充分に価値のあるサービス

本文でさんざんお伝えしてきたように、動画配信サービスにおいて、入会後に「これは別料金」と言われるのは非常にテンションが下がります。作品を見た瞬間は「え、これも見られるの!?」とテンションが上がるけれど、よく見ると別料金……と一瞬の喜びに終わってしまうのです。それが基本おこなわれないのはNetflixとHulu、DISNEY+にNHKオンデマンド。どれも志のしっかりとしたサービスである感じがします。
民放はTver、この春からNHKはNHKオンデマンドに加えて無料のNHK+も始めている中、最近の作品ではなく、過去の作品のアーカイブの量と質で民放系のサービスは評価が別れる、といったところでしょう。というかテレビ局は、せっかくのこれまでの放送の資産があるのだから、もっとうまく使えばいいのに……。

<予算別行動指針>

さらに、予算に合わせた行動指針もお伝えしておきます。
月額2000円程度払ってもいい、と考えると以下の行動指針に。

行動指針①
U-NEXTだけ入って、その中でNHKやディズニー作品も楽しむ

行動指針②
AmazonプライムとNetflixのあわせ技で、基本的な充実をはかった上で、NHKやDISNEY+などで深める

1000円程度におさめたい人は


行動指針③
Amazonプライムを基本にして、そこにかけ合わせるのをネトフリにするか、DISNEY+にするかで悩む

行動指針④
ネトフリオンリー、もしくはHuluオンリーを貫く

といったところでしょうか。使えるお金を絞っていくと、結局、民放のテレビ局サービスは選択肢から外れていきますね。

<最後に>

約10000字、読んで頂き、お疲れ様でした。
最後に、カンヌ国際映画祭で『万引き家族』でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の著書『映画を撮りながら考えたこと』(ミシマ社)の一節を紹介させてください。

ニュースもドラマもすべての放送はこれから社会の共有財産として、再利用可・アクセスフリーにしていくべき

同書の中で、是枝さんは映画は「パーソナルな作品」で、テレビをつくるときにはドラマであろうがドキュメンタリーであろうが「パブリックに参加をする」という意識を持っている、と語られています。映画はパーソナルで、テレビはパブリック
たくさんのサービスを使用してきて、正直、これさえあればOK!というものがなかなか見つからない状況に、日本のテレビ局はこのパブリック感覚が足りないのでは、という実感を得ています。
ということで、これだけ「どこのサービスにお金を払うか」に字数を費やしてきましたが……是枝監督のおっしゃる通り、テレビが公共のものであるとすれば、テレビで放送されたものに関しては、全てアクセスフリーになっていって欲しいなあ……と3000万の借金がありながら、50万円も課金してきた僕は思いました。


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霜田明寛
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