見出し画像

友人に教えるICLのススメ

一緒に共同マガジン「見るだけで800円減る日記」をやっている るってぃ氏から 「ICL を検討してるんですけど、どんな感じですか?」という相談が矢文で来た。矢じりの先には炎がついていたので家は全焼した。

ICL というのを適当に説明させていただくと、視力矯正手術のレーシックの最新版みたいなやつだ。旧来のレーシックはレーザーで角膜を削ることでピントを合わせて視力を回復させるという手法だったのに対して、ICLは小さなメスで角膜に穴を開け、そこに折りたたんだコンタクトレンズをニュルっと埋め込んで視力を回復させるというものだ。目が良くなることで成長ホルモンが刺激され身長も4m3cmまで伸びる。

なんとなくの記憶で書いているため間違ってたら申し訳ないが、たぶんそんな感じのものだったと思う。季節の野菜を眼球に埋め込むとかそういうのではなかった気がする。

レーシックは角膜自体を削るので1〜2回しか施術を行えないのに対して、ICLはコンタクトレンズ埋込式なので視力が落ちる度に新しいレンズに入れ替えることが可能だ。もし術後に違和感を感じた場合もレンズを取り出せば元の状態に戻せるというメリットや、将来 白内障などになった場合も問題なく手術を受けられるというメリットなどがあるので「レンズを埋め込む」という恐怖イメージに反して安全性や融通の利き具合はICLのほうが上だと思う。

僕が初めてこのICLの存在を知ったとき、眼球にレンズを埋め込むというパワーワードに「なんてクレイジーなことを考えるんだ!」と興奮したのを覚えている。「こんなのサイボーグじゃねえか!やってみたい!」と思い、友人である けんすう君に教えてもらった神戸神奈川アイクリニックという病院をすぐ予約した。聞くと多くのスポーツ選手の視力矯正も行っている実績あるクリニックの一つらしい。

術前〜術後までの流れ

こちらも覚えていることを書いていくが、うろ覚えなので息を吐くように嘘を書き連ねてしまうかもしれないことを先にお詫びしておきたい。

(1)電話して診察予約・初回診察

まずは自分の目の検査と術日をいつにするのかを決めるために来院の予約を入れる。予約は「電話」や「メール」を使うのが一番便利だが、「訓練してない鷹の足に付けた筒に伝書を詰めて飛ばす」というやり方も目以外に頭も悪いぞということを先生にアピールできるのでオススメだ。

無事予約が済めば、次はクリニックに足を運ぶ。

エントランスにはフットボールアワーの後藤 輝基さんの写真が飾ってあるので要チェックだ。これには「ここでフットの後藤さんがレーシックをしましたよ。目が良くなりましたよ。」というメッセージが込められている。また、後藤さんの写真には手術に不安を感じている来院者を安心させる不思議なチカラが働いているので落ち着いて診察を受けることができる。後藤さんの写真を前にそっと目を閉じ手を合わせると効能が倍増するので是非やってみてほしい。

その後は、視力検査や瞳のサイズを測ったりする検査を受け、先生から手術の説明をしてもらい、手術日をいつにするかを決める。

眼球に埋め込むレンズはスイス製のオーダーメイドらしく、クリニックに納品されるまで2〜3週間ほどの時間がかかるため、手術の日程もレンズが届いてからになる。術後も安定するまで1週間ほどゴーグル生活を送るため、初診から術後完全にICLを自分のものにするまでにトータルで一ヶ月弱の期間を見ておくと良いだろう。

ICLのお値段

気になるお値段だが、僕のときは両眼で70万円ほどだったと思う。

通常は50万円ほどで手術が受けられるのだが、僕の場合 両眼とも乱視だったため追加で20万円(片眼10万円✕2)ほどかかってしまった。乱視であることを凄く恨んだが、ここでケチっても中途半端な見え方になるだけで一生後悔することが確定しているので素直に20万円を払った。

神戸神奈川アイクリニックで検索してみたら「新型ウイルス対抗キャンペーン」というよくわからない割引キャンペーンページがヒットしたので、今なら僕のときよりも7〜8万円ほど安く手術を受けられるようだ。浮いたお金でメガネが買えるので非常にお得だ。

正直、結構なお値段で怯んでしまいそうになるが、使い捨てコンタクトレンズにかける一生分の金額や、付け外しのストレスと眼への異物感がなくなるメリット、ゾンビパンデミックが起こり終末世界で「メガネが割れてるけど物資が乏しいのでしょうがなくかけている人」になるリスクなどを考えると、すべてをペイできるほど最高な世界が待っているのでここは勇気を振り絞ってトライしてみてほしい。たしかローンもあったと思うので、そういうの使うのもいいかもしれない。

(2) ICLの手術内容

手術日の3日前からコンタクトレンズの装着は控え、さらに一日5回、クリニックから渡された抗菌の目薬をささなければならない。

この一日5回の目薬が死ぬほどめんどくさかったのを覚えている。おっさんが子犬みたいにずっと瞳を潤ませ続けている姿は周りの人間もストレスだったと思う。申し訳ない気持ちもあるが少しくらいは可愛いと思ってほしかった。

手術当日。
両目に麻酔の目薬を垂らされ、手術室に案内され顔面が動かないように器具で固定される。そして手術を行なう眼にも まばたきをできなくする器具を付けられ、その眼にむけてアシスタントの方が大量の目薬(水?)をスポイドのようなものでバシャバシャかけてくる。

続いて執刀医が針のように細く小さなメスで角膜に2mmほどの穴を開け、その穴にスイスから取り寄せたスイス技術の結晶である折りたたまれたコンタクトレンズを挿入してくる。

正直、この工程を文字で見るとただの拷問に思えてしまうかもしれないが、麻酔も効いているし、そもそもアシスタントの方が大量の目薬(脳漿?)をバシャバシャかけてくるので視界は水中にいるような感じになっているため、正直何をされているのかよくわからなかった。よく見えないことが恐怖心を和らげてくれていたので、自分の貴重な脳漿をぶっかけてくれていたアシスタントの方には感謝しかない。

折りたたまれたコンタクトレンズを眼にあけた穴から挿入すると、瞳の中でゆっくりとレンズが開いてピタッとハマることがわかる。正直この感覚は同じ手術をした人にしかわからないものだと思うが、今まで体験したこともないなんとも言えない不思議な感覚なので面白いからシンプルに楽しんでほしい。

手術時間についてだが、それらの手術工程を両眼あわせてわずか15分ほどで済ませるのであっという間に終わる。手術時間が短いのは素直に嬉しいし、気持ち的にも随分と楽だった。

(3) 術後の生活

術後は目がめちゃくちゃ染みる。
目に刺激物が入ったような痛みが翌朝まで続くため、ずっと涙を流している状態になる。これは翌朝には嘘みたいに痛みが消えているので頑張って我慢してほしい。

また、無意識に目を触ってしまわないようにクリニックから信じられないほどダサいゴーグルを渡されるのでそれを装着し、術後は電車などには乗らずにタクシーで自宅まで帰宅するのがオススメだ。このダサすぎるゴーグルは術後1週間は付けないといけないので、そのゴーグルに合わせたファッションを事前に調べておくのが良いと思う。

自宅に到着してもほぼ目を瞑った状態で過ごすことになるので、処方された内服薬や目薬をさす時間以外は米津玄師郎の音楽(そんな人いない)やラジオなどを聴いてダラダラ過ごし、自然に寝てしまうのが良いと思う。視界に頼らない時間はなかなか新鮮だったので、あえてこの状況を楽しんでしまったほうがいい。

(4) 翌朝、世界が変わる

手術の翌朝のことは今でも鮮明に覚えている。

目を覚ますと、普段ならメガネをかけないと何も見えなかったのに視界に入るものすべての輪郭がハッキリしていた。窓から差し込む光で照らされた観葉植物の美しさに感動したり、天井の素材の質感が高解像度で見えることに驚いたり、すると、思っていた。

実際は目ヤニが凄すぎて目が開かなかった。

手術の影響で翌日の目ヤニは凄まじかった。
さらに術後数日は顔を洗うことも禁止されていたので上記のような目覚めてすぐの感動は皆無だった。起床して2時間くらい経ってからようやく目ヤニが取れてきて色んなものが見えるようになってきたが、すでに感動のタイミングがズレてしまっているので嬉しいのは嬉しいのだが素直に喜べない心境だった。

(5)ICL、その後の生活と感想

とはいえ、三日もすれば目ヤニの量も少なくなり、一週間経てばゴーグルも外れるので最高な毎日が続いていく。あらゆるものが鮮明に見える世界というのは本当に素晴らしいもので、月並みな感想だが「もっと早くやっておけば良かった」と思った。

0.03程度だった視力も2.0まで回復し、いろいろなものを美しいと思えるようになった。コンタクトレンズの煩わしさに悩まされることもなくなったし、目の中に異物感を感じることもない。鏡を見ると自分の毛穴が開いているのもよくわかるようになった。

これまでのメガネ生活が無駄だったと思えるほど劇的に生活が変わり、僕は家にあるメガネのレンズをすべて指でぶち抜いた。

旅をするときに1ヶ月分のコンタクトレンズをバッグに詰めなくて良いのも地味に嬉しかった。

後遺症を一つあげるとすれば、夜 外を散歩しているときに外灯の光が少しだけ眩しく見えるようになったことだろうか。光体のまわりに輪がかかって見えるようになった。これをハロー現象というらしいが、正直生活にまったく支障がないのであまり気にはならない。むしろ「綺麗だなあ」と思って未だに感動してたりするので僕の中では嫌な後遺症ではなかった。

そういえば、術後1週間は飲酒をしてはいけないということを言い忘れていた。

お酒が好きな人にとっては辛い時間だが、この素晴らしい体験を得れることを考えれば禁酒くらい全く苦にはならないはずだ。僕は馬鹿な後輩にそそのかされて翌日には飲んでいたが他の人は我慢してほしいと思う。

最後に

最後に非常に申し訳ないお知らせがある。

先程から何度か紹介していた神戸神奈川アイクリニックだが、さっき調べてみたら今年の5月に破産していたようだ。だからそんなクリニックは今は存在しない。他にもICL手術をやっているクリニックは沢山あると思うので後は個々人で頑張って探してみてほしい。


ここから先は

0字
ほぼ無職のシモダテツヤとプロ無職の るってぃ が日々の気づきや思い出、ニュースの感想、他人の目を気にして表ではあまり書かないことなどを記す日記のようなものです。

シモダテツヤとプロ無職の るってぃ が日々の気づきや思い出、他人の目を気にして表ではあまり書かないことなどを記す日記のようなものです。 …

おおきにです。