冬に走る

ついに来た。

どかっとくるぶしが埋まるほど。

気温は冷凍庫並みのサラサラ雪

夜中にブルドーザーの音で目が冴える。

いつもより早起きして、家の前を通れるようにしてワンコにスノーウェアを着せて散歩に出る。

まだ、世間は夜中の様子。

いつもに増してワンコのリードを引っ張る力が強い。

なぜにワンコはこんな状況でテンションが高いのだろう。

ひとしきり遊ばせて家に戻り、ワンコの足先にまとわりついた氷の塊を払ってやる。

これだけでいつもより、30分押し

いつも通りコーヒーを流し込み、熱いシャワーで冷えた体を溶かしとる。

いつもより厚手のサラリーマンの日常服に袖を通し、冷下の中に飛び込む。

いつもは自転車で颯爽と転がる下り坂を滑らないように二本足で踏ん張りつつ小走りで進む。

駅へ着くと半屋外の暖気で目の前のメガネ真っ白になる。

あいにく適当な拭くものがないので、指で視界だけ確保して人混みの中改札を抜けて通勤ラッシュへ…

正味45分は時間が押している。

なぜ、サマータイムは一時期話題になることもあったのにウィンタータイムは話題にならないのだろうか?

夜明けは遅い。

日は暮れるのが早い。

バスや車は遅れる。

雪かきはしなければならない。

寒い。

だから外に出るには覚悟が必要になる。

布団から出たくない。

これだけ人の生産性を下げる要素がいっぱいあるのに、なぜ世間は師が走るほど忙しい時期にするのだろう。

いっそのこと、クリスマスも新年も確定申告も決算期も全て3ヶ月くらいズラせばいいのではないか?

せめてこの時期に走り回るのはワンコだけにして欲しいものだ…



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