マルバネクワガタを見に行った。ヤマネコ島にて。2023
秋の中頃。南の島での初体験。
これは採集記。ヤエマルに会いに行った秋。
一部構成上の編集がございます。
1日目
八重山にはじめて来たのは2023年の春。多少西表島の地理も覚え始めた頃。私は3回目の訪問になる。
石垣島は必ず通る島だし、船と飛行機の時間がピッタリ合うことなんてそんなにないので、多少の観光ができる。
一年の間、ころころと観察できる生き物が変わる八重山の島々。冬の概念がほとんどないのも面白い。本土の生き物たちに慣れているので感覚が合わない。
国内でマルバネクワガタの観察が比較的自由なのは西表島。時間の取れるうちでないとなかなか会いに行けないので今のうちに手を打っておくのが得策といえる。
この島には、ヤエヤママルバネとチャイロマルバネの二種が居る。チャマルは昼間に活動するのに対し、ヤエマルは夜間の活動。
つまり二種観察したい場合はほぼ一日中歩き回る必要があり、なかなかハード。
今回は私と先輩の二人で採集に来ており、先に現地入りしていた知合いに案内を頼みながら移動していた。
セミの鳴き声響く、美しい森。
今年は台風の接近も殆どなく、全国的に季節の進みにむらがあった。例年の流れとは少し異なる印象であったようで、手ほどきをしていただきながらも、なかなか感覚がつかめなかった。
大歯を採集している人には出会うが、歴戦の戦士たち。すでに取り方がわかっているのである。ビギナーが参考になることがない。。
亡霊のように深夜の山をさまよう。
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2日目
居ねえ…
昼のチャマルも不発、夜も芳しく無く。
坊主にはなりたくないので、クワガタ以外も探していた。
ヤエヤママルヤスデを指差し、「これが俺らのヤエマルだ!!!」とか言っているレベルで疲弊していた。
よく分からなくなってしまい、海岸林でカクレイワガニを捕まえて遊ぶ始末。
棒の先にキノコが刺さったようなクソコラキノコと呼んでいたキノコ。
3日目
全く取り方がわからないまま、3日目。
指南してくれていた彼の最終晩になってしまった。
メインで見張っていたフィールドを諦め、少し外れた地点で捜索する。
河を超え、急斜面を突っ切り、道がしっかりと視認できず、ジャングルで各々迷子になりながらGPSと声を頼りに移動する。
その時、
「居た!!大歯!!!!!!!!」
60ミリupの良いマルバネだった。
個人的に要素として大切なのは匂いだった。マルバネは少し変な匂いがする。
そして、クワガタが居る木の近くでは非常に強い匂いがする。(かなり確率が高い)
その日のうちに私も中歯を一頭得られたが、夢の大歯は叶わず。ここからが長かった。
4日目
案内してくれていた彼が帰還する日。おせわになりました。
案内の彼のレンタル原付がぶっ壊れるなど問題は有ったが、無事帰って行きました。
にしても、もう一つの目標チャイロマルバネに出会えない。(この時点では30ミリ超えと思われる大型個体の頭部のみ拾得していた。)
午前中、いわゆる有名ポイントには何度も行き、多くの同業者に会ったが20人入って採れている人は1、2人程度。季節のズレが非常に大きかった。もしかしたら今年は不発だったのではないかとでも感じるほどだった。
少し仮眠し、ヤエマルの山へ。
歩くのが遅いので早い時間のうちに山に入り、他の慣れたツワモノたちより早めにポイントに入るように立ち回った。(実際特に意味はなかったかも。)暑いうちに登る山地は非常につらい。
しかしその判断は別の方向性で功を奏す。少し疲れ荷物を置き、足元に目をやる。
きらりと、光るものがあり、クワガタであると脳が瞬時に判断した。
「こんな時期に、なぜ、ノコのメスが。。????」と思った刹那。
「これがチャマルか。。。」
一般的にチャイロマルバネは昼間に活動し、午前中の採集が一般的なので、夕方前に出会うとは思わなかった。
有名産地に個体が見られないこの状況で他産地での発見は今回においては非常にありがたかった。
誰も来ないポイントを見つけた我々は昼間もポイントに入り浸るようになった。
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別件であるが、ヤエマルの時期まで普通にセミが活動しているので、羽化している個体も多く見られる。
クワガタが全く採れずテンションが上がらない間はこういうのの観察で目を休める。
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ヤエマルは多少臭いでの採集ができうる。
私は比較的鼻が利くのでヤエマルのいる環境の臭いを割と早く判断できるようになった。
急斜面を登り臭いのする方へ。
マルバネは遠目で見ても多少目立つので一匹でも居るとすぐに気づく。
しかし、簡単に見つかるのは中歯のオスだけ。
基本的にバランスとして大:中:小=1:5:4くらいの比率らしい。体感の個体数もおおよそ聞いている通りだった。ガチャ要素の高い虫である。
そのあと、数時間格闘し、なんとかいわゆるイボ大歯の個体を得た。
イボが採れたのはいいものの、本当にほしいのは大歯。なかなかすやすやと眠れない日々である。
5日目
作戦を変更したチャマル採集も本年にしてはそこそこ順調であった。
誰も居ないポイントで採れているとなかなか気分がいい。
連日の山に疲弊したので夜は標高の低いところへ。
一般的にはシーズンではないが、ヤエヤマノコギリクワガタが得られた。先輩は見たことがなかったので良かった。
6日目
次の日には、早めにポイント入りし、チャマルを探す。
よく晴れた良い日で絶対に採れる確信があった。
暑いので日陰で涼もうと座った瞬間。
「メスだ!!!!!」
比較的レアとされるチャマルのメスを発見した。今日はもう帰れると思った。
しかし、ヤエマルは少しは採れるものの、大きい個体が居ない。匂いもしなくなってきた。我々はポイントの変更を強いられているのかもしれない。
先輩も中歯は拾えているが渋そうだ。
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7日目
同じ宿で宿泊していた知り合いに、一般的にはヤエマルのポイントではない場所を紹介してもらった。
正直我々は半信半疑。プロの動きを眺めながらキョロキョロと見渡す。
道中チャマルを拾ったりしたが、ヤエマルは匂いだけ。でも、匂いがするだけ昨日までとはちがう。
そんなとき。
「居たよ〜」
あっさりと発見。やはりヤエマルに慣れている目は信用できる。
教科書にのるようなウロから得られた個体で、すでにほとんど居なくなっていたものの、繭玉も観察された。
アドレナリンが出る。いくらでも歩ける。
きっと居る、絶対いる。
一匹も採れない、でも匂いがする。
地図とにらめっこし、登って降りる、登って、降りる。
4度目のアタック。強烈なヤエマル臭がする。
絶対居る!!!!!
居るのはわかっている!!
周囲を見渡すが、ヤエマルのいそうな木は無い。だが、強烈な臭い。
鼻をくんくんし、必死に探す。
そして
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居たーーーーー!!!!!
人生初の大歯である。
とても、マルバネがいるとは思えない、木に居た。
そのあとの記憶はそんなにない。
すれ違った同業者の子達となんか話した気がするが、よく覚えていない。
60mm超えの夢は叶わなかったがもう、そんなの一旦、どうでもいい。
車に戻って、休んだ。
先輩はその後振るわず、渋々の帰還。
8日目
大歯をとって満足気味の自分。
しかし、60mm超えの夢は叶えたい。
先輩も大きめの個体を得られておらず、魂の行軍。
昨日と同じポイントにアタック。
4回くらい遭難した。
いまいち、今日はマルバネの臭いがしない。
違う谷へ向かって唯一臭いのした木をジロジロと眺める。
中にはウロが有ったが、居たのは大きめの中歯。
面白い雑甲を拾ったくらいで、最後はドラマもなくあっさり終わってしまった。
ちなみに、先輩は最終日に大きいイボ大を拾ってきましたとさ。良かったよう。
帰路
帰る前、採集地の木で唯一の大歯を撮影。
喜びもひとしお。
でも課題は残った。
まぁ。そこそこ頑張った。
いろいろな出会いといろいろな経験のできた、いままででも、良好な採集だった。
後から聞いた話だとやはり今年は全体的に発生が遅く、11月に入ってからもチャマルがそこそこ居たらしい。自然相手は本当に難しい。
来年も。素人の僕にとってはとりあえず60mm超え目標で。。。
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