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日本最後のトロリーバスを見に行った。2024/11末引退。

立山黒部アルペンルートのトロリーバスがついに引退するらしい、情報を聞いたのは今年の春頃だった。

トロリーバスは分類上は鉄道の一種で、鉄道事業法に基づいて営業される無軌条電車。レールは無いためハンドル操作は必要だが、基本的なルールは一般的な鉄道と同じになっている。動力車操縦者運転免許と大型二種免許が必要な資格面では結構面倒なもの。

何度か行こうとしていたがなかなか踏ん切りがつかずようやっと予約できたのは11月。

11/30の運行最終日ごろになると宿泊施設の選択肢も減ってしまうので11月中旬に向かった。

あずさに乗って信濃大町を目指す。

中央東線〜大糸線

勝沼のあたり。ブドウ畑が目立つ。甲州街道からは外れているので電車ならではの景色。
松本にて大糸線のE127系100番台。南小谷まで乗り入れるのはこの車両。
大糸線内。飛騨山脈が見えてくる。あずさでここまで来たのは初めてだった。
南小谷まで乗り入れるあずさも2025年のダイヤ改正で廃止される。
信濃大町で下車。山肌に見える紅葉が美しい。

信濃大町〜扇沢駅 大型バス

扇沢行のバスに乗車する。
紅葉の美しい道を駆け抜けていく。大町アルペンライン。
扇沢駅に到着。

扇沢〜黒部ダム 関電トンネル電気バス

扇沢にて、通り抜け切符を得る。
この切符で立山まで行くことができる。日をまたいでもOK。

最初の電気バスだけ時間指定が入る。

関電トンネルバスだけ、関西電力が運行している。

電気バスと聞き慣れない単語だが、大きな電気自動車のような乗り物。バス上部にパンタグラフがあり上部の架線から充電する。一般的な充電プラグからも充電できるらしい。(車内の解説ビデオによる)

関電トンネル電気バスとあるが、かつてはここもトロリーバスの区間だった。2018-19年に現在の電気バスに入れ替わった。
先述のトロリーバスではないので鉄道ではなく、私有地の中をウロウロする遊園地のアトラクションのような扱い。

ただ、トロリーバス時代に比べて馬力も上がっているらしく、電気バスならではの効率の良さをうまく活かしているようだ。

路面に架線はなく、充電した電力で黒部ダム間を往復する。トロリーバスでないのは悲しいがこれはこれで珍しい形式の乗り物。
大きな車両基地。
狭いトンネル内をそこそこ速いスピードで駆けていく。
黒部ダム駅に到着。天井に電力設備はない。
ガルベの写真。こちらも今年引退してしまった。
200段くらいの階段を登ると展望台にたどり着ける。
よく見る景色。実物を見られて感動。放水はもう終わってしまっている。

黒部湖駅〜黒部平〜大観峰 黒部ケーブルカーおよび立山ロープウェイ

此処から先は立山黒部貫光の区間。

ダムの天端をわたっていくと黒部湖駅。ここからケーブルカーに乗る。ガルベはこの奥の方の桟橋から乗る。
レトロな設備が多く残る。
かなり古い車両が待っていた。開業から変わっていないようだ。
このまま黒部平駅に到着。
お土産のポテチがパンパンになっていた。
ここが黒部平。
次はロープウェイに乗り換え。
発車すると黒部湖を眼下に望める。
数分で大観峰に到着。
大観峰の名前よろしく景色は美しい。信じがたいがさっきまで居たダムとは1000m弱の標高差がある。

大観峰〜室堂 立山トンネルトロリーバス

今回のメインディッシュ トロリーバスが近づいてきた。
ご対面!天井に電気を取るための架線が見られる。
運がいいことに、8001とトップナンバー。
記念のカードを貰った。
二台同時に発車する。
見た目はバスだが、無軌条電車であり、ハンドル操作が必要な電車という性質の乗り物である。
結構速いスピードで狭いトンネルを走っていく。制限速は40km/h。かつては雷殿駅という駅があったらしいが、道が崩れ廃駅になってしまったらしい。
トンネルの中央あたりに交換所があり行き違いができるようになっている。
あっという間に室堂に到着。
室堂バスターミナル
室堂ではお昼ごはんを食べた。

室堂〜雷鳥荘 徒歩

今回は室堂から少し歩いたところにある雷鳥荘というところに宿泊する。立派な山小屋みたいな感じのところ。

山岳情報の掲示板。こういうのがあると山に来ていると感じる。
骨折多し!
知っておこう
ターミナルを出るといきなり冬山(レベル1)だった。
積雪は薄くまだ歩きやすい。

美しい山肌を眺めながら、歩いていく。

すれ違う人が皆雷鳥の話題。どうやら近くにいるらしい。

雷鳥のすがた。どちらも男の子。
皆、雷鳥にぞっこんであった。
ミクリガ池。
この辺りからガスの濃度が上がってくる。
火山ガス情報ステーション。ここから先が火山ガス濃度が高く結構苦しい。
景色はいいのだが、たまに刺激の強いガスが飛んでくる。マスクをしていても貫通してくるので結構辛い。
あれが、今回泊まる雷鳥荘。ショートカットはできない。この霧のようなものにガスが混じっている。
足元は結構湿地。
鉄が多く茶色に見える「血の池」
しばらく歩くと雷鳥荘到着。
曇ってしまっていたが、ギリギリ夕焼けを見ることができた。眼の前に見えるのが火山ガスの発生源「地獄谷」
なんだか、Macの壁紙みたいな景色だ。

次の日…

気温はちょうど0℃くらい。めちゃくちゃ寒いというわけではない。
焚き火がついていた。
携帯基地局が目の前にあり電波状況良い。
8時頃、出発。
今日もまた、雷鳥が居た。見やすいエリアが多少決まっているらしい。
もこもこでかわいい。
高地ならではの植物も多い。ミヤマアキノキリンソウの搾りカスみたいなやつ
トロリーバスの表記も今月まで。

室堂〜美女平 立山高原バス

バスが来た。

専用道を50分ほどで下っていく。
いわゆる有名な雪の大谷の区間。今の時期はただ木の棒が立っているだけ。

除雪の際の指標にするらしい。
弥陀ヶ原という湿地があり、ぽつぽつと小さな池が見られる。
日本一の落差の滝、称名滝(しょうみょうだき)
見るものが多く、飽きずに美女平に到着。

美女平〜立山 立山ケーブルカー

美女平はそこまでやることがなく、すぐにケーブルカーに乗り換え。
結構な角度がある。
車掌さんがハンドルを付け、準備完了。
左手に小さなトロッコ用の線路が見える。立山砂防工事専用軌道の安全側線?
立山駅。

立山駅〜富山駅 富山地方鉄道立山線

駅には、すでに車両が待機中。改札は少し待った頃にはじまった。
もとは京阪3000系。結構古いはずだが、現役みたいだ。
昭和の薫りを色濃く残す。
そこまで過密ダイヤではないが、立山線以外にも接続するので見かける車両は多い。
元西武5000系レッドアローの16010形。

富山着。

JR線との乗り換えは簡単な距離感。
関東の人間としてはこの車両が普通列車を担当しているのに違和感がある。大事に使われているみたいで嬉しい景色。

おまけ 富山軌道線

富山駅周辺は結構しっかりと路面電車網が残っており、新旧様々な車両が行き交う。

各地で見かける古いつりかけタイプのものや。

ライトレールタイプの低床車など。

まとめ

立山黒部アルペンルート自体が、公共の乗り物網で形成されているのが今の時代なかなか珍しい形式だなと感じた。

年に何度も来ないとすべてのイベントを見ることができないし、商売面でもよく構築されているなーと感心する一方、どこかが故障したら止まってしまう可能性がある少し怖い線区でもあるなと思う。

最後富山駅のJR在来線でお別れです。

キハ120形の重連
特急ひだ号に充当されるHC85系、今後、気動車の在来線特急は貴重なものになっていくだろう。
新幹線ホームより見下ろす。

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