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岐路に立つ日本と、ぼくたち〜"第二の危機"から自分を守るために、今からできること〜

1.「危機」とは転換点である

コロナ禍のもたらしている現状が危機的状況であることは誰しも共通認識があると思います。

「危機」とは、なんとなく「危うい状態、不安定な状態」と捉えがちだと思いますが、本質的な定義は違います。

危機を表す英語である「crisis」は元々、ギリシャ語動詞「krino」を語源としています。krinoは「分ける・決める・区別する」といった意味を持ち、名詞系である「krisis」には「転換点」といった意味があります。

つまり、危機の本質は変化・転換の必要性を前提としていることに重要な意義があります。


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既存の価値観や枠組みでは解決が困難な壁に突き当たった時、当事者は「危機」に陥っているといえます。

生物学者ジャレド・ダイアモンド氏によると、危機から脱するためには「選択的変化」が必要です。選択的変化とは、既存の枠組みの中の「変えるべきもの」と「変えなくても良いもの」の仕分けを行い、既存体制をアップデートすることを指します。

直面している問題に対処できていないという能力不足な現実を整理し、機能良好で変えなくて良い部分と、機能不全で変えなければいけない部分の分別を行います。古びた足枷は取り除き、新しい解決策を編み出すのです。そうして二度と同じような脅威に屈しないための「免疫」をつくり、再び前進することが必要です


2.「コロナ危機」で岐路に立つ日本

コロナ禍中の日本では、国民個人レベルの生命の危機はもとより、国家レベルの危機(オーバーシュートの危機、医療崩壊の危機、教育崩壊の危機、さらには大不況の危機など)とも闘っています。

「産」「学」双方が停滞を余儀なくされ、今のままの日本社会のシステムでは、COVID-19に太刀打ちできないという現実に私たちは今、直面しています。

日本は今、「fight or flight(戦うか逃げるか)」の岐路に立っています。

この現実を克服するために、日本社会は今後大きく変わるでしょう。

ー『fight or flight(戦うか逃げるか)』とは
元々は、生物が危機的状況に直面した時、恐怖を克服するために交感神経が過剰反応し、臨戦態勢に移行する際の反応を表した言葉。
この際、交感神経優位の状態になるため、通常は発揮できない怪力を使えるようになったり(火事場の馬鹿力)、冷静な判断力が低下したりする。

※ここでは、その二択を差し迫られた危機的状況を表現するために引用しています。


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今後の変化として、特に大きな動きとしては、これまでオフラインに依存してきた業態における変革、つまりオンラインシフトの急加速です。

COVID-19の最大の脅威の一部に、無症状感染者の多さと潜伏期間の長さが挙げられています。保菌者が気づかぬうちに感染拡大してしまうリスクが特徴的に高いため、オフラインでの経済活動や、学校教育までもが休止を余儀なくされています。

感染症ひとつにより経済活動がまったく行えなくなり、さらにはいつまで待てば良いのかもなかなか見えないという、COVID-19による非常事態を、教訓として未来に昇華させなければなりません。

その上で、オフライン依存の業態はオンラインでの代替手段を検討する必要があります。コロナ危機に対する変化の帰結の一つとして、オンラインシフトの急加速は自明でしょう。これによって、私たちの生活においてオフラインとオンラインの主副交代が起こるほどの勢いになってもおかしくないほどの状況だと思います。

それこそ『アフターデジタル』にも描かれるような世界に向けて急速に舵が切られるかもしれません。


3.岐路に立つぼくたち〜"第二の危機"から自分を守るために、今からできること〜

危機による帰結は、往々にして不可逆的な変化となります。

コロナ危機の帰結もそうです。それは上述にもあった通り、今後また来る可能性のある脅威に対して、機能不全な部分が露呈してしまっている事実があるためです。同じ轍を踏むわけにはいきません。

このことは、コロナ収束後は全く同じ世界に「戻る」ことはないということを意味します。

雨後の空にあるのは全く同じ景色の「再生」ではなく、全く違う景色への「変革」です。


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ここで、個人レベルに目を移します。

上述のようなマクロのトレンドを踏まえると、僕らの前には、2つ目の危機が潜んでいるのではないかと考えています。

それは、社会が急速に変わることで市場価値の基準や、各職業・役職の役割も大いに変わり得るためです。

既に顕在化している1つ目の危機を、生命的な危機、経済的な危機など、COVID-19による外発的な危機だとすれば、一方潜んでいるもうひとつの危機は内発的な危機であり、自分のメンタルヘルスに関わってきます。


社会がリデザインされ大きく変わることで、サービスに対するニーズも大きく変わります。特にオンラインシフトの潮流は、これまでもあった通り、簡単にゲームチェンジが起こり得ます。ビデオレンタルの市場をVOD(Netflixなど)が食い荒らしたのも記憶に新しいです。つまり、生き残る者と淘汰される者の生存競争が激しくなると思います。

オンラインシフトではあらゆる物事の本質を見極めるため、形骸化された常識・風習・概念や、効率的でないもの、機械の代替可能性が高いスキルなどは容赦なく代替されます。


危機心理学によると、人が危機に陥る要因として多いのは

✔個人がそれまで慣れ親しんだ世界観の喪失
✔個人を取り巻く世界が安全で一貫しているという確信(基本的安全感)の崩壊

があると言われています。

これまで安泰にいっていたと思いきや、変化の波に乗れなかったり、そもそも身の回りで何が起こっているか/起ころうとしているか理解できなかったり、結果的に突如不要のレッテルを貼られリストラされたり、仕事が上手く行かなくなったりすると、自己肯定感・自己効力感の崩壊や、先行きへの不安といった、第2の危機に陥ります。


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そう考えると、私たちはコロナ危機下の現状を単に「停滞」と捉えるのには安直な気がしてきます。変革が始まろうとしているという「危機」の認識を深め、単に短期視点で苦境を耐え忍ぶだけではなく、先を見据えて変化に対応していくための準備も進めていかなければいけません

僕らも今、「fight or flight」の岐路に立っているのです。

無知で(もしくは目を瞑って)変革の波に飲まれるか、その波に乗るかは、自分がコロナ危機をどう過ごすかで変わってくると思います。


まだまだ不確実性の高い中ですが、今からやるべきことの大枠は敷くことができます。

1.危機の解像度を上げる
2.変化の趨勢を読む
3.自分の解像度を上げ、持っているアセットを整理する
4.今後の変化を踏まえて目標を立てる

1で現状の危機に対する理解度と危機意識を高め、2で今後の変化のトレンドをアップデートしていく。3で自分の持つ能力やスキルを整理し、自分の解像度を上げる。そして4でなりたい姿・ビジョンを描き、現状の自分とギャップを埋めるための目標達成のプランを描く。

その一連の流れを管理していくことで第2の危機を回避していきましょう。


4.先人たちは「危機」をどう捉えたか

最後少し暗い話?になってしまいましたが、ここで先人たちが「危機」というものをどう捉えてきたかでモチベ上げていきましょう!

元アメリカ大統領ジョン F. ケネディは、危機について下記のような言葉を残しています。

ケネディ|危機

危機とは大きな変革を遂げるチャンスでもあるという見方。また、ゲームの新ルールをいち早く心得ることでゲームの勝ち組に回れるという解釈もできます。


また、元英国首相のウィンストン・チャーチルは下記のように述べています。

チャーチル|良い機器を決して無駄にするな

危機とは、自分の至らぬところにスポットライトを照らして、それについて考える機会を与えてくれます。その貴重な機会を活かすも殺すも自分次第で、決して無駄にしない覚悟で向き合いたいと思える言葉です。


最後に、ニーチェ。

ニーチェ|あなたを殺さないものはあなたを強くする

どんな危機であれ、それを回避したり乗り越えた先には必ず成長がある、と勇気をもらえる言葉ですね。

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