瀧口明洋(和菓子職人)

徳島県勝浦町の和菓子店〝滝口清水堂〟3代目。

瀧口明洋(和菓子職人)

徳島県勝浦町の和菓子店〝滝口清水堂〟3代目。

マガジン

最近の記事

和菓子屋というメディア

「勝浦の日常垂れ流し型ローカルメディア」 和菓子屋もローカルメディアも、 その地域の魅力や個性を伝える役割がある。 僕たちが考える個性とは、作るものではなく、 今そこにあるもの。 これは都市の価値観に合わせ、 同質化した現状への意思表示。 和菓子屋はローカルメディアだ!徳島県勝浦町。 人口5000人ほどの田舎町で小さな和菓子店を営んでいる。 「勝浦を盛り上げたい!」 「勝浦町に人を呼べる和菓子屋になりたい!」 幼い時から漠然とそう思っていたが、 現実は非常に厳しく、勝浦町の

    • bonet羹

      ・白あん   120g ・グラニュー糖 50g ・葛粉     25g ・牛乳    200g ・アマレット  50g ・チョコレート 70g アマレットはフランベしてアルコールを飛ばしております。 ご家庭でフランベする際は十分ご注意ください。こちらを参考に。 チョコレートはPacariのクーベルチュール70%を使用しております。 イタリア・トリノの伝統菓子ボネの和菓子風アレンジです。 1.牛乳とアルコールを飛ばしたアマレットをあわせ葛粉を溶きます。 ブロック状の葛粉の場合

      • 夕涼み アマレット錦玉製

        ・粉寒天     2g ・水      50g ・アマレット 200g ・和三盆糖   75g 今回アマレットはフランベしてアルコール分を飛ばしております。 ご家庭でフランベする場合は十分ご注意ください。こちらを参考に。 和三盆糖は徳島産です。 作り方はシンプルです!こちらを参考に。 1.アマレットをフランベしてアルコール分を飛ばします。 2.水と常温まで冷めたアマレット、粉寒天をあわせて火にかけます。 3.沸騰したら和三盆糖を入れ、再び沸騰させます。 4.沸騰したら火を止

        • 和菓子と両義性

          先日、Newspicks で日本の美意識について書かれている記事を読んだ。 日本の美意識を語る上でのキーワードとして書かれていたのが 両義性という言葉だ。 0か1ではなく両義性。 極めてダイバーシティを受け入れやすいのが日本文化の特徴である。 和菓子も例外なく両義性を持って進化し続けている。 だが今の和菓子業界には両義性が足りないように思える。 和菓子1.0と和菓子2.0の違いは 定義する上での要素に両義性を意識したかどうかだ。 1.0は線引きのための定義であり、 2.

        マガジン

        • 和菓子
          10本
        • レシピ集
          5本

        記事

          和菓子はファッションになり得るか

          和菓子をファッション化する。 文化の暖簾をくぐらせるには、効果的な方法だ。 なんか日本を大切にしてるっぽくておしゃれじゃない? なんか和菓子を食べてるっておしゃれじゃない? わかりやすさが求められる時代にはこれでいいんだと思う。 そこで大切にすべきなのは、 ただ消費されていくだけのファッションで終わらないために、 本流にたどり着く道をいかにデザインするかだ。 主体的にコミュニティの中に入り、文化の作り手側にまわる。 その流れに導くことができるかどうかが、 今後の日本の菓子文

          和菓子はファッションになり得るか

          阿波ういろ

          本日は和菓子の日!ということで、徳島県を代表する郷土菓子 阿波ういろのご紹介です! もちもちの食感で歯切れがよく小豆の風味をよく感じられる一品です。 名古屋や山口のういろうと食べ比べるのも楽しいと思います! 阿波ういろの歴史についてご興味ある方はこちら。 ・こしあん  470g  ・上白糖      125g ・塩        ひとつまみ ・上用粉       110g ・餅粉            15g ・水      150g 作り方は簡単! 水以外の材料をボウル

          現代の和菓子屋コミュニティ

          前々回のnoteで、少し先の未来に和菓子3.0時代の到来を仮定し 前回のnoteでは、全国に散らばる無数の小さなコミュニティを繋げ、 大きなネットワークを顕在化させることが、これからの和菓子文化や日本の伝統文化を再興する鍵だと仮説しました。 今日はこれから和菓子屋として、どうコミュニティを形成すべきか、 自分なりに考えたいと思います。 現在の和菓子2.0から3.0に移行する前に するべきことが大きく分けて3つあると思っています。 1.和菓子業界のコミュニティを再構築する。

          現代の和菓子屋コミュニティ

          和菓子3.0時代のコミュニティ

          昨日の記事で、少し先の未来に和菓子3.0時代が到来し、なめらかに繋がった伝統文化のコミュニティのネットワークを作ることが、和菓子のみならず、日本文化の再興の鍵になると仮説した。 本日はその続き... 和菓子、茶道、器、着物... 全国各地に小さなコミュニティは無数にあるはずだ。 だがそのひとつひとつは非常に見えにくく、 潜在的な参加者へのハードルは高い。 伝統文化への入り口となるカジュアルなコミュニティは 可視化され、透明度が高い方がいい。 そのため和菓子の世界においても、

          和菓子3.0時代のコミュニティ

          和菓子3.0

          「若者の〇〇離れ」 もちろん和菓子も例外ではない。 若者にもっと興味を持って貰おうと、 和菓子イベントや体験教室を開催したり、 見た目に鮮やかなインスタ映えする 新しい和菓子を開発したりと、 業界を盛り上げようと 頻繁に情報発信するようになった。 その中心は現在30代〜50代の若旦那だ。 「いちご大福」という菓子が生まれたのが30年前。 その次の世代の若旦那がまたひとつの流れを作ろうとしている。 現代においては、和スイーツやネオ和菓子などと呼ばれるものだ。 インターネットが

          七変化 羊羹きんとん製

          ・糸寒天    3.8g (角寒天なら 半分  粉寒天なら    3g) ・水      125g ・グラニュー糖  55g ・白あん      380g ・水飴      28g ・食用色素   少量 きんとん生地 27g 中餡 白あん 15g 作り方はこちらを参照にしてください。 https://sp.asahi.jp/program/oshaberi/page.php?contents_id=1144 寒天が溶ける前に砂糖を入れてしまうと、寒天が溶けなくなるのでご

          七変化 羊羹きんとん製

          和菓子のレシピ公開します!

          毎月一回、地元勝浦にあるイタリアンカフェとのコラボイベント 【勝浦流和菓子カフェ】を開催しております。 和菓子とイタリア式珈琲を楽しむイベントで、 今月で23回目の開催になります。 毎回そのイベントのためだけの一期一会のお菓子を作っており、 レシピは残してなかったのですが、自分の中だけで消化するのはもったいないな〜と。ネット上でも洋菓子に比べると和菓子のレシピはかなり少ないので、せっかくなら無料公開しようと思います! 月に1・2回の投稿になると思いますがぜひぜひ、 日々のお

          和菓子のレシピ公開します!

          和菓子とコミュニティ

          和菓子は時に不親切だ。 コンテクストが共有されていないと伝わらないコトがあまりにも多い。 「伝統」と「わかりやすさ」はトレードオフであり、 現代の消費者に嗜好に合わせるには一定の「わかりやすさ」が必要である。 特有の「わかりにくさ」が潜在的なお客様を遠ざけ、 現代の和菓子離れに繋がっている。 しかし、文化が途絶えた訳ではない。 むしろ茶道や伝統的な和菓子にまつわるコミュニティは、 そのハイコンテクストさゆえ実に強固だ。 現在茶道と呼ばれる茶の湯が完成したとされている江戸時代

          和菓子とコミュニティ

          和菓子と洋菓子

          和菓子といえば何を思い浮かべますか? まんじゅう、桜餅、大福、どら焼き、団子、カステラ... カステラ...? となった記憶はないだろうか。 和菓子か洋菓子かの論争の際、 真っ先に槍玉に挙げられるのがカステラだ。 全国和菓子協会のHPには、 ポルトガル人やスペイン人により南蛮菓子が渡来します。ボーロ、カステイラ(※カステラのこと)、金平糖(こんぺいとう)、ビスカウト(※ビスケットのこと)、パン、有平糖(あるへいとう)、鶏卵素麺などで、現在でも食べられている和菓子の

          和菓子とinstagram

          先日話題になったinstagramのショッピング機能 https://ja.newsroom.fb.com/news/2018/06/instagram_shopping/ フィード投稿からダイレクトに買い物することができ、消費者にとっては圧倒的に便利になった。 潜在的なお客様とダイレクトに繋がれるのは、我々のような地方の小売店にとっては歓迎すべきことであり、うまく活用できれば田舎にいても商売が成り立ちやすくなるチャンスである。 今までは百家店が全国の和菓子をキュレーションす

          和菓子noteはじめました

          ミレニアル世代のど真ん中、 92年生まれの若手和菓子職人、 瀧口明洋と申します。 今までは読む専門でしたが、 自分の言葉で語れる場を持ちたい! と、思いnoteデビューしました。 主な内容は、    和菓子と〇〇これは和菓子の未来を考えるnoteです。 和菓子を主語にして語るのはあまり好きじゃないのですが、 自分の頭の中を整理するためにも あえて和菓子に絡めてお話させていただきたいと思います。 今回は簡単な自己紹介。 徳島県勝浦町、人口5000人ほどの過疎の町で

          和菓子noteはじめました