見出し画像

嫁に惚れ直した話

こんな時しか思い出を振り返ることもないと思い、外出自粛期間の退屈凌ぎ、そして話題のコロナ離婚にならないように新婚生活の中で嫁に惚れ直した思い出を残してみようと思います。ハートフルな思い出を書こうと思っていたら、図らずも「一度は行きたい日本の街3選」みたいになってしまったが、外出自粛が解禁されたらもう一度行く、という決意も込めてこのまま進めようと思う。

*下記は、すべてコロナ騒動前に行ったものです。

【長野】阿智村

結婚して5ヶ月の9月、カメラ好きの嫁のリクエストに応えて、日本一の星空を謳っている長野の阿智村に星を見に行った。

当初はバスツアーの予定だったが、わざわざカメラのレンズに三脚を借りてきた嫁の熱意に圧倒されてレンタカーで長野まで向かうことにした。

『君の名は』で一躍有名になった諏訪湖や日本古来の街並みが現存している妻籠宿などを巡っては、ひたすらカメラの撮影に付き合わされ、カメラに全く興味のない身からすると、ただただ時が過ぎるのを待つだけという苦痛な時間を過ごした。

(動くものならまだしも、動きもしない町並みや湖を1時間も撮影するなんて訳がわからない…と思っていた)

その日の夜、日本一の星空を見るために、ロープウェイに乗ってどこかの山の頂まで登った。そこでもまた、カメラを取り出して星空ツアーが始まるまで三脚を立てたり、カメラに大きなレンズをつけたり、嬉しそうに何度もシャッターを切ってテストしている。

退屈しながら1時間ほど待ったところで建物すべての電灯が消えると、真っ暗だと思っていた上空には今まで見たこともないような満天の星空が広がっていた。ツアーガイドのお姉さんの星座の説明とともに30分だか、1時間だかの間、変わりゆく星空をひたすら満喫した。ずっとシャッターを切っている嫁を横目に、思い出は肉眼に焼き付けるスタイルで。

【中国・四国地方】尾道~倉敷~直島

その翌月の10月。広島に出張の予定が入ったこともあり、そのまま有給を使って嫁とも合流し、3泊で尾道や倉敷や直島などを訪れた。

旅の目的は、尾道の海辺の街でゆっくり過ごしたり、倉敷の美観地区に行ったり、ジーンズストリートでジーンズを買ったり、直島で安藤忠雄の建築を見たり。よくあるツアーと同じ場所を巡る何ら変哲のないものだった。

しかし、この時、阿智村にはなかった旅のスタイルへと大きな変化を遂げつつあった。それは、旅行中に写真を撮るようになったこと。尾道のコーヒー屋で休憩していた何気ないひと時。こだわりの店内をiPhoneで撮っていて、ふと二人が撮った写真と比べると、なんと言っていいか分からないが、ただただ圧倒的に負けていた。同じiPhoneを使っているのに。この時をきっかけに写真のスイッチが入ってしまった。

これだけでも十分な動機なのだが、今振り返ると写真のスイッチが入るまで他にもきっかけがあった。嫁が撮った阿智村の写真を友人たちに見せていたらかなり好評で、それが何故だか悔しくて、その場ではあたかも自分で撮ったかのように話してしまっていたり、インスタに写真をあげても、いいねが多くつくのは嫁の写真をアップした時だったりした。そういったことが積み重なり、自分で写真を撮れるようになりたいという想いが募っていっていたのだと思う。

1ヶ月前に言っていた「カメラのフィルターばっかり覗いてたら、家でインスタ見てるのと変わらへんやん」のセリフが特大ブーメランで自分に返ってきていることなんか気にもせずに、ひたすらシャッターを切るようになっていた。

そして、気が付けば、旅行最終日のフライト直前、岡山駅前のビックカメラのカメラコーナーでカメラを買っていた。

【京都】伊根の舟屋

それから2ヶ月経った12月。姉が結婚式をあげるということで、新幹線に乗って京都へ向かった。せっかくの京都ということで、二日早く前乗りして京都北端の「伊根の舟屋」に足を伸ばしてみることにした。もちろん、買ったばかりカメラを大事に抱えて。

「伊根の舟屋」とは昔からある漁師町で、家の一階に船着き場があり、家からそのまま漁に出られるという珍しい町だ。使わなくなった舟屋を宿としても解放していて、まだまだ泊まれる数は少ないからそこまで混雑はしていないが、若い人を中心に人気の観光地になりつつある。

その、伊根の舟屋に到着するや否や、今まで見たことがない町並みにハマってしまい、3ヶ月前は苦痛でしかなかったのに、ほとんど動きもしない町並みの写真をひたすら撮りまくっていた。

気が付けば3時間以上も経ち、いつもは言う側だったはずなのに、初めて嫁に言われた。「そろそろどっか別の場所行かない?」と。

今までの自分だったら「そんなんいらんいらん」の一言で片づけていたと思うが、カメラという没頭できる趣味が今になって見つけることができたのは嫁がいたからこそだと思う。そによって会話のネタになったり、何より大好きな旅行の楽しみを増えたような気がする。近くにいるからこそ、自分の世界を拡げてくれる存在はなにより大事にすべきで貴重な存在だと思う。

この時予約していた宿の舟屋が母屋だった為、行ってみたら海に面していなかったというミスはここだけの秘密にしておく。もちろん、インスタには海辺に泊まっている大人の余裕を醸し出しておいた。

p.s.

我が姉へ。結婚おめでとう。この結婚を機に、32歳上の義理のお兄さんができたことはnoteのオチとしても使わせていただきます。

*この記事はGO FIGHT CLUB の課題として書いたものです。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集