兵庫県の空家活用特区制度を解説①
兵庫県で、特区制度を用いた空き家活用の条例が施行され、令和5年3月31日にはその第一号として西脇市嶋地区と赤穂市坂越地区が「空家活用特区」に指定されました。
今回は兵庫県のこの「空家活用特区制度」について解説していきます!
制度の内容や所有者にどのようなメリットがあるのかなど2回にわたってお話します。
自分は兵庫県とは関係ない!という方も、この制度が全国に広まる可能性もあるので、知っておいて損はないはずです!
制度制定の背景 兵庫県では人口減少、空家数も増加
兵庫県といえば近年、明石市の子ども支援が話題になり、人口増のニュースを目にした人も多いのではないでしょうか。
しかし県全体としてみれば県外への転出が多く、人口が減少しているというのが現状です。
そして、人口減少に連動するかたちで空き家の数も増加傾向にあり、平成30年時点では空き家の数は約36万戸、そのうち腐朽や破損がなく、利用できるにもかかわらず使用されていない空き家が約11万戸でした。
人口が減少し、使われていない空き家が増えている、それが今の兵庫県なのです。
そこで、近年の働き方改革やテレワークの普及をふまえ、たくさんの空き家を移住や定住、交流の促進並びに地域の活性化、ワーケーションの場所、地方回帰の受け皿として有効活用するための条例が令和4年4月に施行されました。それが「空家活用特区制度」です。
「空家活用特区制度」とは
正式な名称は「空家等活用促進特別区域の指定等による空家等の活用の促進に関する条例(空家活用特区条例)」といいます。
(市のHPによっては条例といったり制度といったりしているようです)
気になる制度内容は?
空家等の活用を特に促進する必要がある区域を「空家等活用促進特別区域(特区)」として、特区に指定された地区内の空き家の所有者は、市町に対して空き家情報を届け出ることになります。
そしてこの届出情報を基に、市町と県は、流通促進、規制の合理化、活用支援の3つを軸とした施策を多面的に実施することにより、空き家の活用を促進します。
平たく言えば、活用のための助成やサポート体制がこれまで以上に拡充されたり、建て替えのハードルとなっていた規制が緩和されたりします。
特区指定は兵庫県内すべてが対象?
この制度による支援の対象は、兵庫県内全土が無条件で対象なのではなく、まずは市町からの申し出を受け、県が指定することで対象エリア「特区」になります。
冒頭でお伝えした「空家活用特区」第一号の西脇市嶋地区は、①地域と市が、特区に指定したい区域と地域の目指すまちづくりを盛り込んだ空家等活用方針を決め、②市が県へ申し出をし、③そして県が指定、という段取りを踏んでいるというわけです。
特区指定は、地区単位だけではなく、市や町まるごとも可能なようです。
とはいえ、特区に指定されると、特区内の空き家所有者は市町へ空き家情報を届け出ることが義務化されます。そのため、市町まるごとの特区化は市町の事務量負担が急激に増えるので、徐々に特区を広げていくという流れになると予想されます。
因みに、特区内空き家所有者は空き家情報を届けなくても罰則は特にないようですが、規制緩和や補助金などの支援策を受けられなくなるため、届け出をしておくに越したことはないでしょう。
今回はここまで!
次回は制度のポイントや所有者が受けられるサポート内容についてお話しします!
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