あの街は暑い日が増えたのか?2/2 (No.17)
前回記事までに、東京と、大阪・浜松・熊谷について、暑い日(最高気温30℃以上の日数)が増えているのかを見ました。
4都市の中でも暑い日が顕著に増えていたところと、そうでないところがありました。
また、「日本一暑い街」・浜松は、見方によっては東京・大阪よりも涼しい街ともいえるんじゃないか?、といったことも見えました。
もう2都市だけ、同じうように傾向を見てみようと思います。
人口増加がアツい2都市(2024年1月1日現在)
アツい(暑い)街に続けて、人口減の日本の中で数少ない人口増加地域、その中でも人口増加率が高い都市
つくば(茨城県つくば市)
石垣(沖縄県石垣市)
の、時系列変化を見たいと思います。
総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数
(令和6年1月1日現在) 」によると、前年同日比の人口増加率が高い市は茨城県つくば市と沖縄県石垣市(日本人・外国人合わせた全体、政令指定都市の区部除く)です。2市に次いで千葉県印西市の人口増加率も高いのですが、気象庁の過去データが無い(気象台・測候所などの観測地点が無い)ため除外。
つくばの前年の人口増加率は、全国の市区(政令指定都市の区部も含む)でも第1位。30年以上人口増加が続いている模様。
石垣市の前年の人口増加率はマイナスで、主因は社会減(市外への流出)。今年の人口増加の主因も社会増(市外からの流入)。
他のリゾート地にも散見される動態でした。コロナ禍が落ち着いてリゾート地に移住する人が戻ってきた、ということだと思います。
人口増加がアツい街は暑い日が増えたのか?
以前の記事と同様の時系列比較をしています。
詳しい分析方法についてはこちらの記事をご覧ください。
つくば*1の気象記録は1921年1月まで、石垣*2の気象記録は1896年12月まで遡ることができました。そこで、
つくば:1921年~2023年
石垣:1897年~2023年
の期間で、暑い日の年間累積日数の時系列推移を見てみます。
*1 気象庁の観測拠点「つくば(館野)」のデータを参照
*2 気象庁の観測拠点「石垣島」のデータを参照
つくばの暑い日が顕著に増えているかは、今年次第?
まずはつくばです。2023年の暑い日の日数は東京・大阪より少なく、
平均線も低めです。
2023年の日数こそ管理限界を超えますが、2022年以前の10年間は、平均線付近の日数の年が複数あります。
顕著に増えているとまで言えるかは今年(2024年)次第に思います。
石垣は暑い日が増えているわけではない。
次に石垣。2023年の暑い日は128日。平均線は110.3日。
南国ですね。
石垣の時系列変化では、管理限界を超える年が5つありました。直近は2016年(162日)で、上限を超えています。一方、1924年(66日)のように下限を下回っている年もあります。そもそも振れ幅が大きい都市のようです。
東京・浜松・熊谷・つくばで観測史上最大の暑い日日数となった2023年も、石垣では前年より少な目。
振れ幅が大きい石垣においては、近年暑い日が増えたとは言い難いと思います。
昔とそんなに変わらず暑い!という感じだと思います。
結論:暑い日が顕著に増えている都市と、そうでない都市がある
アタリマエに聞こえるかもしれませんが…私なんかは、日々の情報を見ながら、日本各地がおしなべて「暑くなっている」と思っていた気がします。
今回見たのは5都市に限られますが、全国には東京や熊谷みたいに暑い日が顕著に増えている都市もあれば、大阪やつくばのようにそこまで顕著ではない都市もありそうです。
浜松のように、確かに暑い日が増えているけれどもまだまだ大都市に比べれば少ない、見方によっては「わりと涼しい」と言えなくもない都市もありそうです。
石垣のように、昔と変わらない都市もありそうです。
なお、「暑い」の捉え方はいろいろあると思います。
今回は最高気温30℃以上の日数を、「暑い日が増えている/多い≒暑くなっている街/暑い街」と捉えて分析してみました。
他にも平均気温の上昇幅/高さを分析する視点や、最低気温の高さを分析する視点などもあると思います。
最高気温の閾値も、今回は、東北の冷涼地帯育ちの私にとっては茹で上がりそうになる30℃と置きましたが、35℃くらいまでは平気!という方もいるかもしれません。
多義的な捉え方をし得るという前提で、一連の記事をご覧いただけると幸いです。
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