投資について その2
最近投資を始める人が激増しているようだ。3月の暴落局面で買い時キタという思惑から口座開設したケースが多いとのこと。
4月は3月下旬に底値を付けてから急激なリカバーを見せたため、購入した人の多くは幸先良いスタートを切れたはずだが、開設しただけで購入していない人が多いのではないだろうか。ボラティリティ(変動幅)が高く、また急落するのでは、と考えてしまって実際に買うのは難しい局面だった。
「落ちてくるナイフは掴むな」という投資格言があるが、勇気を持って掴みに行かなければリターンは得られないし、予想と異なる動きをしたとしても狼狽しない忍耐力を要する。投資は自らのメンタルとの戦いという側面が大いにある。
と偉そうに書いたが、3月末の連日大幅下落していた局面では、売るつもりは無いのに「昨日売っていれば」と日々狼狽していた(笑)。そしてすっかり回復してしまった最近では「あのとき買っていれば」と勇気の無さを悔やんでいる(笑)。難しい。
残念ながら投資センスは無いと自覚している。たまたま積極的に米国ハイテク株に集中投資していたタイミングで上昇トレンドが訪れただけ。だがしかし基本的に「もっている」とは思っている。
テレ東BOD、Twitter、Blog、Youtubeなどで毎日情報収集しているが、世の中賢くて詳しい人は多数存在し、日々勉強させてもらう一方で、なにが正しいのかわからなくなってくる。これまでは米国ハイテク株中心で正解だったのだろう。しかしこれからも正解であるかは分からない。過去を振り返れば10年ごとに主役は遷ろいでいるという見方もある。投資スタイルは多種多様だし、将来を予測する上でどういった情報やストーリーを信じるかは人それぞれ。信念を持つことは大事だが、固執し過ぎず柔軟に修正できる状態でありたい。
投資のゴールは特に設定していない。将来振り返ったときに現金よりも投資していたことによって資産額が増えていれば良しと言う程度。最近流行りのFIRE(Financial Independence、Retire Early)のように、早期引退して配当で生活したいとは思わない。大怪我して退場しまうことなく生きながらえたら良い。投資は趣味だ。
現金を保有しておくということは、機会損失(持たざるリスク)とインフレリスクに晒されていると考え、主に個別株(リスク高)に置き換えてきたが、段階的にETF、投資信託、インデックスファンド、債券など(リスク低)を組み込んでいくことで変動を抑えると共に、精神衛生的な安定を高めていこうと考えている。
年齢とリスクの多寡は反比例させるというのが鉄則だ。若いときは大いにリスクを取り、年齢を重ねるとともにリスクを逓減させるということだが、加減とタイミングが難しい。41歳なのに保守的な思考でいいのか、まだリスクを取っていくべきではないのか、と考える一方で、最近のジェットコースター相場で疲労して、もう利回りが低くてもいいから変動の少ない銘柄を中心に据えるべきではと考えたりもする。グロース株からバリュー株へ、景気敏感株からディフェンシブ株へ、個別株からETF、投資信託、インデックスファンド、債券へ、というようなことだが、まあ面白くはない。
アメフトでもビジネスでも投資でもリスクを取らずしてリターンは得られない、と考えてきた。こうやって書くと危ないやつっぽく聞こえるが、別に一発勝負に出るというギャンブル的なことではなく、しっかり準備した上で積極的にチャレンジする姿勢を大事にしてきたということ。準備、チャレンジ、成功を繰り返すことで自信が増し、チャレンジの成功確率が上がるという好循環サイクルができていく。保守に傾けば逆回転してしまうので注意しなければならない。リスクは準備で低減できるし、リスクを取らないということ自体がリスクになり得る時代だと思う。
元KGフットボーラーで、現在NYの投資顧問会社で最高運用責任者を務める堀古英司さんの著書「リスクを取らないリスク」は是非読んで頂きたい。
おっさんたちが躍動するハドルボウルも確か堀古さんが発起人だったと認識している。主旨はチャリティーイベントであり、同時におっさんたちの貴重な旧交を温める機会となっており、さらには健康増進にも寄与している素晴らしいイベントである。(毎回怪我人続出らしいが。笑)フットボーラーとしても一流だったと聞く。モーサテ(月2、3回程度の登場)でのコメントも分かりやすく、強気の発言が多くてとても心強い。ブログ(更新頻度は低め)も読んでいる。
※2019.12.18第357回 2020年の「リスク」より抜粋
この10年ほど、私が毎年必ず挙げるリスクは、「リスクを取らないリスク」です。リスクというのは価格変動の事ですから、確かに短期で買ったり売ったりする人にとっては重要なのかもしれません。人間は基本的にリスクを回避したい生き物ですから、放っておくとリスクを感じる時間を短くするために、短期売買に向かっていく傾向があります。しかし市場が効率的であれば、リスクの裏にあるのがリターンです。市場を動かす要因には様々なものがありますが、それが「リスク」だと判断できれば、長期で投資する限り、恐れるべきものではないはずなのです。少なくとも、日本で起こっている人口減少という致命的な問題ではないのです。その要因が成長に与える要因ではなく、リスクに与える要因と判断出来れば、それに向かう勇気を持たない事がリスクというのは、これまでもそうであったように、2020年も不変だと思います。
若いのであれば原資を膨らますために短期売買にトライするのは有りだと思う。最初からidecoや積立NISAでコツコツいくよりも、リスクテイクして狙いにいくタイプのほうが個人的には好きだ。失敗しても稼げば良い。しっかり仕事をして稼いで、倹約し、投資で資産を形成していく。これしかない。次回は倹約について書こうかと思います。
最後にビジネスや投資に邁進し過ぎて大事なことを忘れてはいけない、と考えさせられる有名なストーリーがあるので紹介する。
メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが停泊していた。メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。その魚はなんとも生きがいい。
それを見たアメリカ人旅行者は「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。
すると漁師は「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。
旅行者が「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」と言うと、
漁師は「自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だ」と言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」と旅行者が聞くと、
漁師は、「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」
漁師は尋ねた。「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから?そのときは本当にすごいことになるよ」と旅行者はにんまりと笑い、「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」
お金や名声ではなく「自分にとっての理想の生活」は何なのか、見失ってはいけない。