マイクラやったら息子が覚醒した
息子がマイクラにハマっている。
「マインクラフト」というゲームを知っているだろうか。カクカクしたキャラクターを動かし、正方形のブロックを積みながら建築物を作ったりするやつだ。
僕はちょっと前に「ゼルダの伝説」という息を呑むほど美しい描写のゲームをやっていたので、初めてマイクラを見たときはそのアナログな描写に開いた口が塞がらなかった。ので妻に治してもらった。
しかしどうやらこれが子どもに人気らしく、例に漏れず我が子も興味を示した。
はじめはYouTubeでゲーム実況を観ていた息子だが、だんだんと「自分でもやってみたい」となり、一親等の血族である僕たち親に懇願してきた。
そこで協議を重ねた結果、「熱があるうちにやらせたほうがいいかもね」となり、原監督こと妻がGOサインを出したのだ。
すると息子は毎日のようにコントローラーを手にとり、画面にかじりつくようになった。ので妻が唾を拭いていた。
まだ3歳なので、左右の手で違う動きをするのがむずかしいらしく、最初は手こずっていた。
しかし数日経てばそれも克服し、いまでは左手でカメラの向きを変えながら、右手で移動し、LRボタンでブロックを置いたり消したりしている。
ついには「レバーを引くと電池が作動して回路をたどって弓矢が一斉に発射される装置」なるものを作っていて、僕は泡を吹いて倒れた。ので妻が運んでくれた。
ゲーム実況でやりかたを覚えて、それをすぐに実践し、わからなければ何度もトライする。インプットとアウトプットを大量に繰り返すことによって、マイクラモンスターと化していった。
口を開けばマイクラ。幼稚園の先生にもマイクラの自慢話をしてポカンとされ、将来は自分専用のでっかい建物を所有することを夢見ている(My蔵)
冗談はさておき、この「熱中」したときのエネルギーはすごいなと思った。
すべてのことを差し置いて、そのことだけを考える。夢中になる。楽しい。やりたい。だからうまくなる。
こういった前のめりな感覚って、大人になると減ってくるなあと思った。
どうしてもモノゴトを俯瞰してしまって、リスクのことばかり考えてしまう。やってうまくいかなかったら恥ずかしいなとか思ったりもしちゃう。
ヘンに頭がよくなったからか、やる前になんとなく結果が読めてしまって、無茶なことは避けるようになって、熱中することが減っていった。
そんなとき、マイクラモンスターな息子を見て、羨ましいなという気持ちがふつふつと沸いてきた。
おとなは俯瞰して、こどもは熱中する。
モノゴトを引いて見ながら高みの見物をするよりも、試合に出て目の前のボールを追っかけてる息子のほうが、何倍もかっこよく見えた。
「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、いまハマりそうなことがあるならば、なりふり構わずそれに時間を使ってみるのがいいのかもしれない。
熱中はつむじ風みたいなもんで、気を抜くとすぐに目の前を通りすぎてゆくけれど、巻き込まれて身をゆだねれば、はるか遠くまで連れていってくれる。
あのときGOサインを出してくれた原監督こと妻には感謝してもしきれない。あれがなかったら息子の熱は冷め、マイクラとは無縁の人生を送り、自分専用の乗馬道具をもつこともなかったと思う(my鞍)
冗談をさておいてるうちに、つむじ風がまたひとつ吹き抜けていった。
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表紙とアナザーカットたち↓
⌇ 絵 えりちゃん(妻)
✎ 文 しみさん(夫)
夫婦で絵本をつくるのが夢です。
日記のようなエッセイを書いています。
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