新卒が入社日未定で給料ナシほぼ放置状態。
私の教え子の入社日が延びに延びて、現在入社日未定の事態になっていることを聞いた。そして、自宅待機の指示が出ているにもかかわらず休業手当(給料に替わるもの)が出ないとのこと。
とてもおどろいた、異常だ。この状況が非常事態だとしてもだ。
ちなみにこの会社は東証に上場している大企業。
学生は社会に出て右も左もわからないのに、親身になって対応するどころか生活不安を増幅させている。
学生たちは内定通知をもらい、4月1日からの配属先決定通知もあったそうだ。これらが揃っていて、『入社日が未定だから、それまでは社員じゃないから休業手当は払わない』とか、そんなことがまかり通るのだろうか。
会社の対応がおかしいと思い、会社が置いてある地域の労基署に電話。非常に親身に相談に乗ってくれた。
労働基準法では、
(休業手当)
第26条使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
とある。「使用者の責めに帰すべき事由による休業」とは、休業にならないように努力したかどうか、不可抗力でどうしようもない休業なのかどうかが判断基準となる。
ただ今回は、雇用調整助成金を活用することによって、コロナ騒動下でも従業員の雇用を維持させるために休業手当を支払うよう要請されている。
4月1日に新卒を雇用保険に加入させているのかはわからないが、今回は対象者の拡大措置で、雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含められる。
にもかかわらず、休業手当を支払わないと言っているのだ。
信じられない。
労基署からのアドバイスは、内定通知や労働契約書類関係の保管、自宅待機中のメールのやりとりや口頭でのやりとりをできる限り保存(口頭の場合はメモでもOK)しておくようにとあった。
また、給与(休業手当)支払日(例えば月末締め翌月25日払いなら5月25日)に振り込まれなかった場合は休業手当を請求するように(その時の内容を保存もしておくように)と助言していただいた。
可能性は薄いが、30日分の給料を払っての解雇の可能性ついても気をつけるようにアドバイスをもらった。
それにしても、会社都合での自宅待機命令は会社に在籍している証拠だし、であるからして他に仕事をする訳にもいかない。
これで休業手当なし?本当にこの会社はアホなのか。内定取り消しに匹敵する所業だ。
そもそも、「入社日未定」ってなんだ?「業務開始日未定」が正しいだろう。入社していないならなぜ会社は自宅待機を指示できるのだろうか?
さらには、現在自宅待機をしている部屋は会社が借り上げている社宅のようだ。なおさら社員じゃないことの証明が難しい。めちゃくちゃなロジックだ。
ちなみに入社日は4月1日から3日、10日、未定と3回の変更があったらしい。そして、自宅待機中の課題は『毎日体温を計ってメールすること』だそうだ。労基署の回答ももらったが、労働契約は間違いなく4月1日から始まっていると取れる。
その会社では全国数十人の新卒が自宅で機状態らしいが、現在リモートワークで働いている社員はほぼ居ないそうだ。
どのような理由があるのか知らないが相当なブラック臭がする。
ブラック体育会系脳で、自宅待機のやつに余計な金を払う必要は無いと思っているのだろうか。新卒を教育もせず放置状態でよく言えるもんだ。
新卒たちはこのご時世で次の職を探すのに苦労すると考えているのか、人事の指示に当面は従って耐え忍ぶつもりらしい。
それで無事にその会社で働き始めたとして、果たしてその会社に愛着を持って働けるだろうか。また、金銭的に厳しいのであればどのみち倒産するだろう。
私は彼らの複雑な心情を慮って、取り急ぎは穏便に過ごし、見切りをつけたら取れるものは取って次に行くために今からできることはやっておくように、と助言した。
労基署からのアドバイスにもあったが、兎に角あらゆる書類・メールの保存や日記の記録。ほかには家賃を給料から差し引いて振り込まれないよう、家賃自己負担分(数千円の負担)が明記してある書類などを集めること。
また、ハローワークに事前に確認しておくこととして、
・遡って内定を取り消しされた場合の失業保険の扱い
・4月1日入社で雇用保険に加入していなかった場合の失業保険の扱い
・4月1日入社で雇用保険に加入していた場合の失業保険の扱い
についても伝えた。見切りをつけた時に+αの保障をどれぐらい確保できるかがわかるので、電話して不安を取り除いておくべき。
さらに、解雇は30日前の予告が必要で、急な解雇は30日分の給料をもらえること、雇用調整助成金があるので今回の場合、会社は支払いを免れることはできないことも話した。
それまでは今の自宅待機状態が続いたとしても給料(もしくはそれに替わるもの)を会社は支払わないといけないので、そのことも念を押して安心感をもってもらった。
不安を完全に払拭することは難しくても、今よりかは安心してほしい。
会社側にコントロールされて、「自己都合退職(内定辞退?)」だけは絶対に避けてほしい。
生活支援臨時給付金30万円についてはまだ要件がまだすべて確定していないのでなんとも言えないが、会社との問題と絡んでくるので、申請期限などしばらくは情報を定期的に確認する必要がある。
直近で生活維持が難しいのであれば社会福祉協議会の緊急小口資金(最大20万円)を活用するなどして凌ぐしかない。
とにかく、まだ会社で働く意志があるのであれば、事を荒立てずに証拠集めのみ。行動は5月25日の給料日の対応を見てから。
それまでに会社の受け入れ体制が整ったならばそれに従うもよし。やはり心境的に無理になったのであれば、あらゆる手を使って次のステップのために現金を確保。
難航しそうなら大学のキャリアセンターや労基署、ハローワークを総動員する。
入社式もなくなり、入社日を引き伸ばし、社長からのメッセージも未だになし。
大変な時期に大変な会社に入社してしまったようが、いろいろと考えをリセットする良い機会かもしれない。
これから働き方が一気に進化する。この流れについていけない人も出てくるだろう。特に40代・50代。ちょっとまだ先の時代だと思っていたコトが、コロナで縮まったらしい。
若い人たちは、今は不安しか無く理解しろという方が難しいかもしれないが、自分たち(若人)にとってチャンスだと思って前向きに考えてほしいと思っている大人も要ることを覚えておいてほしい。
追記
※調査中だが、賃金=休業手当だとすれば、5年前まで請求できるみたいなので、会社を退職するのが5年未満であれば最後に請求すれば良いかも。
入社してすぐに4月からの休業手当を請求するのが立場的に難しい場合は、退職時にでも良いのかもしれない。