【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】14
1月27日
前日
隣りの病室までの往復を無事達成した僕だったが
たったそれだけで疲れ切って
夕食後はすぐ眠りについてしまった…
『おはようございます。朝食の時間です。』
看護師が声をかける
どうやらかなり長い時間眠っていたらしい
「こんなことでこれ程まで疲れてしまうのか…」
思わず口から言葉が溢れる…
今まで当たり前に出来ていたことが
突然出来なくなってしまった
《昔の僕は死んだ》
という現実に晒され
ショックを隠し切れなかった………
だがその反面
悔しさが芽生えていた
「ちきしょー!」
リハビリの時間
悔しさからいきり立って
ベットから立とうとすると
昨日よりも立ちやすく
昨日よりも歩きやすい
「これはいける!」
歩きやすいとはいえ
まだぎこちなさはある
でも昨日より力強く踏み出せる
自分の病室の出入口まで
昨日の倍くらいのスピードで到着
隣りの病室の出入口を
昨日の倍くらいのスピードで到着
「まだまだいける!」
自室のベットから隣りの病室の出入口までより
10倍以上も長い廊下の突き当たり
そこまで行くと決め、挑戦する
突き当たりに到着するまでは
ペースが落ちることもなくスムーズに到着
突き当たりから自室までは
さすがにペースダウンしたが無事到着
着実に回復している自分
やれることが増えた自分
両手を強く握りしめ
「やった!!」
心の中でそうつぶやいた
つづく
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