浅春
すっかりご無沙汰してしまっていた。
卒業式へ向かう今の気持ちを、新鮮なうちに閉じ込めておこうと思う。
多くを語ろうとするときっと止めどなく溢れてしまうから。なるべく簡潔に、、、。
6年という長い長い時間を振り返ってみても、学校のことで思い悩んだ記憶はほとんどない。
それは私が鈍感なわけでも、記憶が美化されている訳でもなく、単純に恵まれていたからなのだろう。
先生。友達。先輩後輩。
後悔しているような出会いは一つとしてない。
すべてに意味があって、それに気づかせてくれたのも、紛れもなくここで出会った人たちで。
「一生の付き合い」を実際に体現するのは、口で言うより遥かに困難なことだと理解はしている。
それでも、今なら。
「一生の付き合いになる」と確信を持って断言できる出会いがいくつもある。少し自信過剰だろうか。
楽しかった出来事も、苦しかった出来事も、自覚のないままに、徐々に記憶からするすると抜け落ちていってしまうのだろう。
絶対に忘れない、なんて言えない。
それでも、痛み、喜び、驚き、後悔、幸せその他、その時々で感じた気持ちは、強く深く、記憶の奥底に刻まれているような気がする。
私の人生に最後まで寄り添ってくれそうだ。
同じように誰かの人生を支えるような、そんな幸せな記憶の中に私が居られたら、これほど嬉しいことはない。
鮮やかで儚い、白昼夢のような時間だった。
この学校で出会ってくれたすべての人たちへ。
出会わずとも、影ながら支えてくださったすべての人たちへ。
この場を借りて、最大限の敬意と謝意を表します。
今までお世話になりました。
この学校で学べたこと、とても誇りに思っています。
よし、高校生最後の日、思いっきり楽しむぞ…!!
掃除の時間限定で現れる色水みたいな空と、五重塔を添えて。