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感情観察日記5日目|今あなたから買う理由は何か

週末、娘とスーパーへ買い物に行くと、催事場でスマホのイベントをやっているお兄さんに声をかけられました。

お兄さん「恐竜のお絵描きをしてスキャナで読み込むと、スクリーンに描いた恐竜が出てきますよ。やっていきませんか?」
「前、海バージョンでもやってましたよね」
お兄さん「はい!来月はきのこですよ~」

子どもがやりたいというので渋々椅子に座ったけど、少し前にぐずられていたので私は若干イライラしていて、早く買い物を済ませて帰りたかった。
つまり、お兄さんへの心証はあまりよくないところからスタートした。
さぁ、巻き返せるのか?お兄さん!

「ご利用中のプランは何ですか?」

椅子に座って子どもが絵を描き始めると、お兄さんの営業トークがはじまった。
「何を言われても申し込まないぞっていうのは伝わってくるんですけど(笑)今どこの会社のどんなプランを使ってますか?」
まったくお兄さんには関係のない問題で申し訳ないけれど、私は今機嫌がよくない。いきなり営業に入るのではなく、何かしらのアイスブレイクを入れて欲しかった。
相手が出しているマイナスな雰囲気を言語化するのは、あまり得策とは思えないぞ!

「スマホの画面を見せてください」

契約している会社と、だいたいの利用料金を伝えたあとも、なぜか「詳細なプランを知りたいのでマイページにログインしてスマホの画面を見せて欲しいです」と言われる。
一瞬だったとしても、個人情報がどっさり詰まっているスマホを他人に渡すのは抵抗がある。
マイページにログインして契約中のプラン名を伝えた後、子どもが絵を描くのに手こずっていたからスマホをテーブルに置いて手伝っていたら、勝手に私のスマホを手に取って見始めてしまった……。
それはダメじゃないかなぁ。
お兄さんへの印象は微妙なまま話が進んでいきます。

「今の携帯会社のまま、料金が安くなるならどうですか?」

まったく興味を示さない私に、お兄さんがこんな提案をしてきました。
お兄さん「乗り換えるのって面倒ですよね。もし今の携帯会社のまま料金が安くなるなら、いいと思いませんか?」
「そうですね」
お兄さん「今お使いのAプランは1,600円くらいですが、もしBプランで1,000円のものがあったら、どちらを使いたいですか?」
「Bですね」
お兄さん「それは何でですか?」
「安いので」
と話が進んでいきます。

お兄さん「安いほうがいいですよね。で、僕がここで提案するのは他社の2,980円のプランなんですが(笑)
高いんですが、今乗り換えてもらうと2万円キャッシュバックが受けられます。で、半年使ってもらうと解約手数料がかからないので、半年後に今契約している会社と再契約すると、そちらでもキャンペーンがやっていて、さらに2万円もらえます。そうなると、乗り換えてもいいかも、と思いませんか?」

うーん…短期的には乗り換えてもいいように思える。
でも乗り換えると、最終的に毎月のプラン料金は上がる。
今使っているのは、プラン改定前の安いプランで、一度解約してしまうともう戻ることはできない。
この先、何十年もスマホの料金を支払い続けるのに、目先の利益で乗り換えていいものか?
乗り換え続ければトクという話?
でも短期で乗り換え続けるなんて使い方、ブラックリストに入らない?というか面倒だな。

「うーん、乗り換えてもいいかな、とは思います」
とは言ったものの、乗り換えに消極的なのは声音や表情から伝わっていたと思う。

「じゃあ乗り換えてもいいですか?」

乗り換えてもいいかも、という私に、お兄さんはまっすぐ目を見つめながら真剣な表情で
「じゃあ乗り換えてもいいですか?」
という。
思わずフリーズしてしまう。
「ん……?」
え?いや、そうはならなくないか……??
みんなそれで乗り換えちゃうの??

固まる私にお兄さんは畳みかける。
「手続きしてもいいですか?」
プロポーズでもしてるのか? というほどの真剣な眼差しである。
ここまで必死に売ろうとされると、なんだか可哀そうになってくるし、損でもなさそうだから申し込んじゃってもいいかな?と思えてくる。

でもお金の話なので譲っちゃダメだ。そして固まってる相手に「手続きしていいですか」は無いと思うよ!?お兄さん!

「いや、今日は契約しません。」
と、きっぱり断りました。

「キャンペーンは明日までですよ」
と食い下がってくるので
「来月はきのこバージョンで開催するんですよね?」
と返したら、うっ! て顔をしていました。

あなたが今売りたいのは充分伝わってきたよ。
でも、私が今あなたから買う理由が、ないんだな。

自分ならどうしていたか?

帰り際に「なんで契約しなかったんですか?」と聞かれたので、
「色々比較してから決めたいので、いいなと思ってもその場では決めないです」と答えたら
「じゃあ1カ月考えて、来月もお待ちしてます」
みたいなことを言っていました。
もし私がお兄さんの立場なら

「来月までに他社のプランを全部調べておくので、また来てください!」

っていうかな。

でもそもそも、初めの段階から、今日契約しようというアプローチはしなかったと思う。
子どもにイライラしているっぽいし、夕方の「これから忙しいタイミングです」というお母さんがいたら、
「また来月にイベントやるので来てください」
というような声をかけて、
【潜在顧客】から、まずは【見込み客】にステップアップしてもらうことを考える。

おわりに

最初はイライラしていたけど、来月お兄さんに会ったらどんなトークが聞けるかな? と思うと、ちょっと楽しみです。
でもいつやるのかは、わからないんだよねぇ……。


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