ありのままの自分を取り戻す場=Zero Place(ゼロプレイス)へ
屋久島でネイチャーガイドをしているささっちょです。
コロナ禍となって3年。コロナ禍が少しずつあたりまえの状況へと変わっていく中で、自分が営むガイド業の向かう方向であったり、大切にしていることをもう一度見つめてみようと思い立ち、ホームページのメッセージを久々に書き換えることにしました。
創業当時から、ミッションにあたる文言は、掲げていました。この文章にあることは、今までもそしてこれからも大切にしていきたいと思っています。
昨年、10周年を迎えたのを機に、”人と地域・社会を”を加えました。そこには、屋久島に観光で訪れる方々と向き合うだけではなく、自分が住む屋久島の内側とも向き合おうという意志の表れでした。
メッセージを書き直すにあたり、自分に湧いてきた問いは、島結は、本当のところ、ガイドツアーや旅のプログラムを通して、旅人に何を提供しようとしているのか?という問いでした。
以前の文章では、その部分にアプローチできずにいました。
2022年の年末から2023年へと移り変わる中で、自分がこの屋久島に来てからの11年を振り返ってみると、そのアプローチできずにいた部分がしだいに形となって浮かんできました。
それが今回のタイトルとなっている…
ありのままの自分を取り戻す場
=Zero Place(ゼロプレイス)へ
でした。
過去のガイドツアーで、旅人とも繋がり(旅人同士も)、自然と繋がり、屋久島という地域や旅人の日常がある社会と繋がりを感じられた時、自分は喜びや幸せを感じていたことに気付きました。
その時、旅人は、どんな状態だったか?
何を感じ、どんな時間を過ごしていたのか?
そんなことを思い出してみると…
人生におけるあらゆるしがらみや固定化してしまう関係性から解放されて、何をしていようと、何をしていなくても、ただ自分という存在が受け入れられる時間であり、空間を味わっていたように思います。
それを表現したのが、
ありのままの自分を取り戻す場です。
社会の中で生活をしていると、プライベートな自分、仕事の自分、既に出来上がってしまっている関係性の中での様々な自分…と色んな自分がいることに気づきます。
色んな関係性をうまく演じていける人もいると思うのですが、僕自身も含めて、それがうまくできない人もいると思います。
自宅=ファーストプレイス
職場や学校=セカンドプレイス
上の2つ以外の癒しや息抜きできる場所=サードプレイス
そして、Zero Place(ゼロプレイス)とは、上の3つの場所のどの自分とも繋がっている、本来の自分であり、自分の原点に帰れる場所ではないかとイメージしています。
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屋久島は、世界自然遺産ということもあり、
”人生で一度は行ってみたい!”と皆さんおっしゃいます。
一生に一度は行ってみたい世界自然遺産の一つに選ばれることもあります。
今、観光業が7割を占める、屋久島にとっては屋久島の存在をPRしてくれることはとても有難いことです。そして、恵まれているとも思うのです。
屋久島で人気のガイドツアーと言えば、樹齢7,200年とも言われる巨木を巡る「縄文杉ガイドツアー」、もののけ姫の映画でも話題になった「白谷雲水峡ガイドツアー」が挙げられます。そして、山登り好きな方々には、「宮之浦岳縦走ガイドツアー」が人気です。
でも、屋久島の本当の魅力は、ここに挙げたツアーに参加しただけでは味わえないかもしれません。
その昔、屋久島の人々は、自らも自然の一部として、
自然とともに生きる暮らしをしていました。
その暮らしを表す言葉として、「海に十日、里に十日、山に十日」という表現があり、今もなお残っています。海、里、山、それぞれのフィールドとバランスよく関わることで、自然とともにあろうとする生き方です。
もちろん、今もそうした生活文化や精神文化がなくなったわけではありません。近代以降、急速な都市化が進む中、屋久島もその荒波にもまれながらも、岳参り(たけまいり)をはじめとした自然を敬う風習を残し続けています。
また、屋久島が1993年に世界自然遺産登録された際にも、当時、世界遺産センター長であったドロステ所長は、
”自然遺産としての屋久島の価値は、多くの人たちが暮らしていながら、すぐれた自然が残されていることにある”
とおっしゃっています。
2023年。屋久島は、世界自然遺産登録から30周年を迎えます。
今、屋久島には2つの側面が見られると思っています。それは、「観光地としての屋久島」と「自然と人がともに暮らす場としての屋久島」です。どちらかと言えば、自分が屋久島に来てからは「観光地としての屋久島」をご案内することが多かったように思います。
人気のスポットだから…みんなが行く場所だから…そんな観光客の期待に応えるべく、ガイドとして、人と人を、人と自然を、結び逢わせることで、「観光地としての屋久島」の魅力をお伝えしてきました。
一方で、「観光地としての屋久島」ばかりを伝え続けていく中で、屋久島が特別な場所として見られ、訪れた観光客の方々の日常とはかけ離れた存在や、場所になっていくもどかしい感覚もどこかに抱き続けていました。
そして、2018年の1月のことでした。
野外教育の検定会で出会った講師の先生から屋久島にまつわるお話を聞きました。
それは、昔屋久島に訪れた時、民宿のお母さんから「そろそろ屋久島を休ませてあげたいの。」という言葉を口にされていたというお話です。
この言葉の真意は今となってははっきりとは分かりません。ただ、この言葉を聞いて感じたことは、もしかしたら「観光地としての屋久島」と「自然と人がともに暮らす場としての屋久島」との間に、大きな溝ができてしまったのではないか?ということでした。
2022年に、島結のガイドのミッションである「人と人を、人と自然を結び逢わせる」を「人と人を、人と自然を、人と地域・社会を結び逢わせる」へアップデートしました。
ここにはどんな想いが込められているかというと、屋久島のガイドとして「観光地としての屋久島」と「自然と人がともに暮らす場としての屋久島」との両方の魅力を伝えていくという決意を表しています。
そのための具体的なアクションとして
『結-YUI-の焚火会』であり、
『屋久島で生きると戯れるはじまりの旅』を
2022年からスタートさせました。
この両方を伝え続けることで、「観光地としての屋久島」と「自然と人がともに暮らす場としての屋久島」の境界線が緩まっていき、「旅人も一緒になって自然と人がともに暮らす場としての屋久島」へと移り変わっていくこと。そして、その先にいつしか多様な屋久島を抱える”ひとつの屋久島”が立ち現れる日が来るのではないか、そんな想いを今抱いています。
屋久島に訪れる皆様には、ぜひこの2つの屋久島を肌で感じる旅をして頂けたらと考えています。島結ではそのお手伝いをさせて頂きたいと思っています。
東京から屋久島へ移住して、私自身が、人と、自然と、その両方と繋がり直せたことで、自分の居場所と言える場所に巡り合えました。
それは言い換えると、”ありのままの自分を取り戻す場=Zero Place”とあらためて出会い直すことだったのだと思います。
屋久島のガイドツアーを通して、そんな場に出逢える旅を旅人のみなさんとともに創っていきたいと思います。
屋久島という地で、人と人を、人と自然を、人と地域・社会を結び逢わせる、島結はそんな存在でありたいと思っています。
そして、ありのままの自分を取り戻す場=Zero Place(ゼロプレイス)を提供します。
屋久島でぜひお会いしましょう。
2023.2.2記
屋久島アウトドアガイド 島結
代表 笹川 健一
***島結-SHIMAYUI- ホームページご紹介***
■ 島結オリジナル企画
『屋久島で生きると戯れる はじまりの旅2023』
■ 島結がガイドツアーで大切にしていること…
■ 島結-SHIMAYUI-ホームページ
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