おなか
季節も変わって随分過ごしやすい気候になったから午後のお散歩、息を吸えば気持ちがよろしい、これくらいの感じで陽も風もずっとそばにいて欲しいな。
良い文章を書くには孤独に狂わなければならない、という。けれども私はのんべんだらりと鼻たれお散歩してる。そんなことでは良い文章など書けるわけもなく、秋のお散歩は気持ち良い…、なんてわざわざ書くあたり、暮らしはとりあえず落ち着いている様子。じゃあ毎日ベリーハッピーなのかといわれたら、やっぱりどこか虚しい、空しい、むなむなしい。その理由はきっと、己のおなかにある。
自分はどちらかというと痩せ型なのだが、ここ最近、おなかだけがぷっくりと出ているのはどういうわけだ。日々の不摂生と怠惰のせいで、いかにも中年腹って感じにぷっくりぽっこりと脂肪がついてしまっている。昔は60キロを切っていた体重も今は越えて、肥えてきたのだろうか。そんなことを言ったら肥満の人に怒られるかもしれないけど、もう少し痩せなければと思っている。そのうち衣装のスーツが入らなくなったら…、そのときは漫才師なんて辞めて刑務所に入ろう。分かっちゃいるけれどやめられねえ、舞台の後には甘いエクレアとか食べたりして、風呂場で髪を洗うとき、椅子に座って頭を垂れたら、へそ毛の生えた二段肉が鎮座しておる。指でつまむと、ぷに、としておる。いや、そんな可愛いものではない。醜く肉づいた忌まわしきおなか。空虚な気持ちをよそ見して、思い切り息を吸うことで無理矢理引っ込めている。
だからお散歩。日々をお散歩しなければならないのだ。スーハー呼吸をしながらゴーゴーしようね。孤独に狂わなくてもいいから、たまにドーナツとかかじってもいいから、ぽっこりおなかを揺らして闊歩しようね。
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