一緒に素敵な空想を

こないだ駅前の安飲み屋で、友人の新たな野望を聞いて嬉しくなった。少し照れ臭そうに、実はな、こんなんも考えてんねん…と言うから、ええやん!と私はすぐさま背中を押した。それから互いに思い付きのイメージとアイデアを何やかんやと話し込むうち、ってか、めっちゃ考えてくれるやん…と言われて、気付く。確かに自分は、めっちゃ考えていた。そして、全面的に協力する、ときっぱり言い放ったのだが、そこには何の見返りも期待しておらず、むしろ、自分の時間や金を使うことに躊躇すら無く、協力出来る部分はいくらでもしたいと純粋に思ったのである。自分はパパ活のパパ的な人間なのだろうか。それにしては貧乏過ぎるし、下心も無い。もっと言うと、親切心でも無ければ、やさしさでも無い。恩とか縁とかいうものでも無い。何でもするよ、なんて軽々しく、何故言ったのだろうか。面白そうだから、以外の理由が見つからない。単に自分は、誰かの口から面白そうな計画を聞くのが好きなのである。見返り、たとえば感謝されたいなどとは一切思わないし、これも何かの縁だから、などという気色悪いものでも無い。一切合切どうでも良くて、死ぬまでにもっと面白いことを沢山やりたい、やろうよ、という話。

周りの芸人で、こんなライヴがしたい、と新しいアイデアを語り合える人が少なくて、寂しい。単に誰も自分に対して話さないだけかもしれんが、実際、芸人同士の打ち上げなどでも、そんな話題には殆どならず、酒に溺れて騒いだり、つまらないお笑い論にシカメ面しているばかりだ。別に構わないが、自分はそうした楽しみからは卒業した。もっとシラフで本気の想像に燃える方が、何倍も楽しいことに気付いたのだ。こないだの『ナイトオブコメディー』の後も、自分は楽屋で山が動く寺岡氏とふたりで、次のライヴのアイデアをずっと話し合っていた。そういう会話をずっと出来る間柄が嬉しいし、一緒に素敵な空想をしながらニヤける時間が一番好きなのかもしれない。こんなんも良いですね、たとえばこういうのは?それならもっと…、それ面白そうですね!やがて空想がリアリティーを帯びていく。

友人の計画がもし頓挫したり失敗したとしても、自分は悲しむことは無い。実際しんどくなったらやめればいいのだ。それからまた、新しい会話を始めれば良い。

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ヤング嶋仲
何もいりません。舞台に来てください。