そのとき、私はオレオを剥がすだろうか
皆さんはオレオをどうやって食べるだろうか。2枚のココアビスケットを分解して、片方についたバニラクリームをもう片方のビスケットですくって食べやしないだろうか。私はオレオを手にすると分解したくてたまらなくなる。しかし幼い頃
「行儀悪いから外でそうやって食べたらダメ。」
と母親に教わった。だから私は家にいる時だけそうして食べてきた。友達の家でオレオが出されても分解するのを我慢してきた。そのはずなのに、、。
少し前、テレビCMで女優が
「スクープ♪」
と言いながらオレオを分解して食べていた。
私にとっては
「え!スクープしていいの?!」
と衝撃的な15秒間であった。しかし思い出すと、オレオをスクープするお下品な子どもは私の周りに一定数存在した。実際、私は友達を見て
「こいつ、人前でスクープしてるやん。」
と思いながら自分の常識力に浸っていたものだ。
皆もこっそりやっていたスクープだが、マナーとしては、やはり触れてはいけないタブーだった。そのため、このCMが
「みんな、スクープしていいんだよ!」
というメッセージと共に、スクープを解放した。解放の喜びからか、オレオを頬張るテレビ画面上の女優も満面の笑みだった。
私は自分の常識を変えるかどうかの瀬戸際に遭遇しているわけだが、名前を付けて周知されれば許されるほど、私の二十数年間の我慢の習慣は甘くない。スクープが許されるのならば、
「lick ♪」
とか言ってケーキのフィルムやプリンのふたを心置きなく舐めたいものだ。
しかし常識人の私は、きっとこれからもオレオは剥がさない。スクープは友人が離席したときにこっそりやるから美味しいのだ。ちなみに、ビスコは分解しようとするとクリームがきれいに剝がれないのでスクープにはおすすめしない。