「子どもの頃のように遊ぶこと」 楽しく遊ぶように旅をする 休場龍さん
島が好きな人は、無性に島へ訪れる。島を愛する人々を掲載している季刊雑誌「島と僕」。今回は、新連載企画《あなたにとっての旅とは》。この連載を通して、なぜ旅をするのか、学んでいきます。
記念すべき第一回は、POOLO JOB1期生のバリューこと休場龍(やすみばりゅう)さんです。
北の大地で生まれ育ち、上京し、自転車日本一周、すごろく旅などさまざまな旅をされています。旅のアイデアはどこから生まれてくるのか?そして、現在は、故郷の十勝地方に戻った休場さん。これからどんなことをするのか。インタビュー中に、ラーメンの話題が出てきたりと、ユーモア万歳に語っていただきました。
「ただいま」と「おかえり」が同時の子供時代
ー 北海道はとても広大で、暮らしのイメージが都会と異なるのですが、休場さんはどんな暮らしをされていましたか?
休場
帯広市で生まれ、北海道の中でも人口が6番目くらいに多く、バスに30分も乗れば、市街地に辿り着きます。家の近くにはスーパーも友達の家も、徒歩で行ける範囲で、地方の市内のような場所です。ごく一部の友達には、家の周りに畑しかなく、友達の家が遠い子もいました。小さい頃は、学校から帰ると、玄関にランドセルを投げて、「ただいま」と「いってきます」が同時でした。ゲームを全然しないので、親がゲームをしたらどうか心配するほど、外で遊んでいました。今、働いている中札内村(なかさつないむら)も隣町で、よく遊びに行っていました。
「人のために、何かをしたい」 優しさから訪れたのは、熊本県
ー休場さんは大学2年生の時に初めての島旅で式根島に訪れていますが、旅をしたのは、その時が初めてですか。
休場
初めて一人で行ったのは、熊本県です。大学1年生の時に、熊本の震災があり、「人のために、何かできないか」と思っていて、夏休みに熊本へと向かいました。その時は、ボランティアの活動先と宿の往復で、観光したり、人に会うことはありませんでした。一人旅はつまらない印象だったけどで、今では、直感のままに、行動できる一人旅の方が、好きです。熊本ラーメンだけは食べに行きました。予備校の先生が「熊本ラーメンだけは食べとけ」って話を思い出して。
「自分にもできるんだ」と勇気が沸いたヒッチハイク
ー 一人旅が面白くなかったきっかけはありますか。
休場
「旅してる人って、いい意味で、変で面白い」と思っていて、TABBIPO2017のスタッフ募集があり、参加しました。そしたら、思っていた通りに面白い人ばかりいて、世界一周してるし、海外のローカルな話もわかる人ばかりで。
昔から、「ヒッチハイクをしたい」と思っていましたが、芸能人がテレビの中でヒッチハイクをするものだと思っていて。スタッフの中にヒッチハイクで会場まで来たって人が何人もいて、「えっ、ヒッチハイクやってる人が身近にいるじゃん。」ってワクワクして、夏休みに京都の友達に会うためにヒッチハイクで行くことにしましたにいきました。
最初、めちゃくちゃ緊張して、スケッチブックで京都行きたいって書いて、道路に向けて出す瞬間は、腕が震えるくらいながらめちゃくちゃ勇気が入りました。
東京から横浜にはすぐ、たどり着けました。メッセージを出して、10分ほどで優しいドライバーさんに出会えて。問題は、ここからです。横浜には東名高速が通っておらず、関西に向かう人がいない。5時間も放浪することになり、横浜町田インターへ移動し、ここで車に乗せてくれる人と出会えなければ、この旅はやめることに。
2、30分ほどして、黒のハイエースが止まり、窓が開きました。関西弁のおじちゃんで、「にいちゃん、何しとんねん。通り過ぎたけど、にいちゃんが心配になって戻って来た。大阪帰るから乗ってけや」って。最初、まじで、驚きました。とても良い人、そのまま、京都にたどりつけて、初めてのヒッチハイクは無事に終わりました。
「自分もやってみたい」 おもしろ旅企画へ
ー ヒッチハイクもですが、バリューさんの旅は、テレビ番組のような旅の印象を受けますが、どこから、そのアイデアがうまれてくるのですか。
休場
「水曜どうでしょう」って知っていますか。僕が生まれた時から、7年くらい北海道で放送されていました。20代の大泉洋が出演している番組で、いろんな企画があって、19歳の時にハマりました。元々、テレビっ子で、いろんなテレビを見てました。
高校1年生の頃から、テレビの制作をしたいと思っていました。それが、大学で叶いました。授業で、テレビ番組の制作があり、実際に企画や撮影、編集をして1本の番組を制作します。僕は、そこまで企画を作りこむ方ではありませんでしたが、いろんな面白い旅や番組をテレビで見ていると、自分も面白い旅がしたいと思うようになり、チャリで日本を一周したり、すごろくの旅をしました。実際に旅を考えるときは、3つくらいの企画を参考にして、学生のできる内容に再編していました。
すごろくの旅では、東京から鹿児島まで移動し、学割を活用しましたが、5日間の交通費だけで9万の経費が発生していました。テレビでは、終電後は、野宿ですが、実際は難しいので、漫画喫茶で安価に泊まれるところを探して、夜を過ごしていました。
村だけじゃなくて、自分を育ててくれた十勝を伝えたい!
ー 魅力的な旅をしていますね。東京の方が、交通の便が便利で、旅をしやすいと思うのですが、なぜ、この春に出身の北海道に戻られたんですか。
休場
ずっと、北海道が良いなって思っていたんです。大学で上京して、東京の夏は暑いし、冬も案外寒いなって。いろんなものはあるけど、それだけなんじゃないかって、いつしか思うようになっていきました。ふと、北海道に帰省した時に、十勝帯広空港から見た景色がほんとに良い場所なんだと再認識させてくれました。どこまでも続く、白樺並木と横に広がる山脈は今でも忘れていないですね。
ー 4月から現在の職場で働き始めて、同時にPOOLO JOBにも参加されていますが、きっかけとか何かあるんでしょうか。
休場
今、観光協会と道の駅の2つのSNSを運用しています。中札内村で、働くことが決まったのが昨年の12月でした。その時にSNSを運用することが決まっていたので、発信について学び初めました。そしたら、POOLO JOBを見つけて、旅も好きだし、発信も学べるし、すごい良い機会だと思って。
この1ヶ月で、変化がありました。元々、観光協会で運営されていたSNSはお堅い印象で、自分が引き継いだ後も、プレスリリースのようなイベント案内とか、告知などを発信していたんです。POOLO JOBの1ヶ月で、中札内村の日常を発信するようになりました。「もう少しで、桜が咲きますよ」とか、「今日のーーの混雑具合」とかを伝えるようになりましたね。
ー 参加1ヶ月で、すでに、成長と変化が実感できているのは、素敵ですね。あと、2ヶ月POOLO JOBは続きますが、その後はどうしていきたいかなど、教えていただけますか。
休場
まずは、中札内村のことを知ってもらい、その後は、十勝のことをよりたくさんの人に知ってもらえるようにしていきたいです。これから、村のPR動画を撮影したり、いろんな角度から情報を発信して、「こんなところがあるんだって、行って見ようかな」って思ってもらいたいですね。
旅を始める人へ
ー これから旅を始める人へ、一言いただけますか。
休場
旅のおかげけで新しい経験ができたと思っています。自分の足で現地にいって、実際に見て欲しいです。ネットで綺麗な景色を見ることはできますが、道中の出来事や、見て感じたことは、その人にしかないものです。
島旅は、「いい意味で、だらけてきてください」。目覚ましをかけて、仕事に行って、考えて行動していますよね。島に行ったら、あえて、しないんです。朝の防災無線の放送で起きて、お腹が減ったら食べて、海に入りたいと思ったら泳いで。眠たくなったら昼寝して、疲れたら温泉で一休み。
自分の思ったままに動き、ちょっと疲れたら、ゆっくりして、あえて決めないで、感じた旅を楽しんで欲しいです。
ー あなたにとっての旅とは?
休場
「子どもの頃のように、遊ぶこと。」です。人の目を気にしないで、ずっと楽しんでいたあの頃のようにできるのが、旅ではないでしょうか。ずっと、はしゃいで、自分が楽しいから遊んでいたように、旅してる時は、自分の今の状況や、経歴とか気にせず、人と話したり楽しめるのが旅の魅力だと感じています。
”無邪気な笑みで話す休場さん、今後も楽しい企画で、中札内村を始め、十勝の魅力を発信して、わたしたちに十勝を旅先にするきっかけを与えてくれそうですね。”
CREDIT
ライター・編集:長谷川晶規
撮影:休場龍
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