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センター試験に代わる新・大学入学共通テスト、「生物基礎」は文章と図の読み取りが鍵を握りそう
現在の大学入試センター試験は2020年の実施が最後となり、2021年からセンター試験に代わる「新・大学入学共通テスト」が始まります。国語の記述式問題が話題となっていますが、僕のお仕事分野である生物科目はどうでしょうか。昨年に続いてプレテストがおこなわれたので、今回は「生物基礎」を分析します。
生物基礎は文系向け科目
現在の高校理科のうち、文系学部向けの科目では「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目を選び、合計60分で回答します。1科目あたり50点満点です。このルールは新テストでも変わらないようです。
というわけで解いてみましょう。問題はこちらにあります。
現役高校生には負けへんで
結果は50点満点中45点とまずまずでした。生涯現役٩( 'ω' )و
ちなみに間違えた9番は肝臓の血管構造の問題で暗記モノだったので忘却の彼方でした。
13番は引っかけ問題です。これ、相当の高校生がミスリードされると思います。ちょっと解いてみてください。前提として、「ハブに咬まれたとき、ハブ毒素に対する抗体を含む血清を注射して毒の作用を打ち消す」という会話があります(登場人物がすさまじいけどそれはオチにもっていきます)
僕がうっかり1を選んだ理由を察してくれる人は多いと思います。1はワクチン接種や2回目の感染でよく見る二次応答のグラフだからです。これは2017年のセンター試験にも出ました。
ところが今回注射するのは、抗体が含まれている血清であってハブ毒素ではありません。二次応答が起こるわけがないので、2回目の注射では特に何も反応しない4が正解です。
このように、文章と図をうまく読み取む必要があります。毎年恒例のバイオーム問題も、年間の有機物生産量が混ざった3次元グラフという初見殺しです(年間の有機物生産量は普通教科書に出てきません)。
ただ、文章とグラフを丁寧に読み込めば、正解にたどり着くのはそんなに難しくありません。
長い会話文を読み慣れておくこと
さて、全体を見渡してみると、3つの変化がありました。
・問題数が2問増えた
現在のセンター試験では3年連続で17問ですが、今回の新テストは19問でした。
・会話文が初登場
これは新機軸です。センター試験では教科書のような文章の穴埋めから始まる問題が多いのですが、今回は2人が会話する問題文が3つも出ました。一つ一つが1ページ埋まるほど長く、疑問を投げる形式が多いので、会話の背景にある登場人物の意図を考えながら読まないといけません。今までの時間配分では間に合わない受験生が出てきそうです。
・暗記モノが相対的に減った
会話の意図を読み取る問題が増えたため、暗記モノの問題が減りました。
まとめると、今のセンター試験のように教科書に書いてあることをおさえておくだけでなく、比較的長い文章や少し複雑な図に慣れて、丁寧に読み込む力をつけておく必要があると感じました。
最新の生命科学ニュースもおさえること
あとは、今のセンター試験にもいえることですが、最近の生命科学の話題はフォローしておきましょう。こんな問題もあったので。
これは、アンジェリーナ・ジョリーが乳がんに関係する遺伝子を調べた遺伝学的検査を意識していますね。僕が高校生だった20年前は、個人のゲノムを調べるなんて非現実的な時代で、当時だったらありえない問題です。ちなみに正解は1です。
お待たせしました、オチです
ちなみに長い会話文がどんなものかということ、こんな感じです。
アスカとシンジ……これ、世代的に試験監督のほうがざわつくのでは??
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