夏休み子ども科学電話相談7月26日ピックアップ「アサガオが一日しか咲かないのはどうして?」実は植物の老化研究に使われているアサガオ
きょうのNHKラジオ番組『夏休み子ども科学電話相談』のピックアップはこちらです。
アサガオは咲いても約13時間後には萎み始めます。番組では「老化」と表現していましたが、もう少し詳しく書くと、細胞が自発的に死ぬ「プログラム細胞死」という現象が起きています。物騒な言葉を使うなら「自殺」ともいえます。
プログラム細胞死には「エチレン」という物質が関わっていて、エチレンのはたらきを抑えることで花が咲いている時間を長くできることがわかっています。実際、フラワーショップで売られているカーネーションの切り花では、エチレンのはたらきを抑える薬が使われています。
ただ、ダリアではエチレンのはたらきを抑えても花が咲く時間は変わらず、種類によってはエチレン以外の方法でプログラム細胞死がコントロールされていると考えられています。
そこで、「一日しか咲かないアサガオは老化するまでの時間が短い」と見なして、プログラム細胞死に関わる遺伝子には何があるか、という研究があります。
そして2014年、遺伝子組換え技術を使ってある遺伝子の機能を抑えたアサガオでは24時間以上花が咲き続けたことから、この遺伝子はプログラム細胞死を誘導して花をしおらせる役目をもつことがわかりました。この遺伝子にはEPHEMERAL1(英語で「儚い」という意味)という名前が与えられました。
この研究では遺伝子組換えを使っていますが、EPHEMERAL1遺伝子の機能を抑えるような薬が見つかれば、他の花にも応用できて、花の流通にも使われるかもしれませんね。
この研究は当時、『ニュートン』で取材したのでよく覚えています。研究者は、「アサガオは実験に最適なので使っただけで、私も一日しか咲かないアサガオの儚さは好きです」と言っていました。
そうそう、遺伝子の名前って見つけた人が自由に決めていいことになっているので、いろいろおもしろいものがあります。ぜひぜひ。
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