ゆるりめぐる大人の修学旅行 その2
初日はしまなみ海道から広島県に入り尾道と鞆の浦へ。
最近出来たいうカフェで海を眺めながら食べ方がよく分からないこじゃれた分厚いサンドイッチを食べつつ次の目的地までのルートを調べる。
どうやら近くに有名なお菓子屋さんがあってそこのプリンが美味しいらしいとカフェから数分の所にあるお店へ。
近くに車が停められないので少し離れた場所に停めてお散歩がてらてくてくと向かう。静かな商店街にわらわらとした人だかりを見つけそのお店だと分かった。
おやつとやまねこという名前のレトロなお店には、イートインスペースもあり写真を撮ったりしながら皆プリンを堪能していた。様々な種類のソースがかかったプリン、チョコレートやコーヒー味などもあった。
色々な味のプリンを人数分買って車に戻り、いつ食べようかと会議が繰り広げられる。
今食べたいがお昼ごはんが遅くなるだの夕方にはぬるくなるだの夜食べると太るだのでもやっぱり出来たての今すぐに食べたいだのと、口々にくるくる回る持論が飛び交いなかなか結論まで至らず、ようやく食べられたのは次の日の朝だった。
プリン会議を行いながらも次の目的地千光寺ロープウェイへ向かう。
到着すると同時に会議は終了し早くも話題はロープウェイの乗車時間である。
割とすんなりと乗れ、少しずつ高くなっていく景色を見て喜んで写真を撮っている友人の隣で、道ばたにいる猫をみながらやまねこって普通の猫とどう違うんやろ。と見当違いのことを考えていた。
山頂駅に到着してから周辺を散策。
小さな子どもも一緒だったので安全なルートで歩きやすい道のりを選びながら進んでいく。
いたる場所で、ここで一句詠みましょう。と書かれているがその看板を見つける度に全員が無言になり考え込むが誰一人発表することはなくスルーされていった。
何か面白い句の一つや二つ浮かばないもんかね、と自分の語彙力とユーモアのなさに少々がっかりしたが、笑神様は一向に降臨してくださる気配がなかったので今口を開くと絶対失笑が起こるであろうことを察知しお口に堅いチャックをした。
次に口を開いたのは歩き回った後の、お腹空いたね。という言葉だった。
ゆったり散策を終えロープウェイを下り車に乗り込むと次の目的地鞆の浦へ。
静かな港町にはゆっくりとした時間が流れていて、昔ながらの暮らしが残っていて、田舎で住まれ育った自分が居心地の良さを感じるほど温かい雰囲気があった。
日曜日だったけれどお天気が悪いこともあり人は少なく穏やかな時間を過ごすことができた。
鞆の浦のシンボルである常夜灯のそばにあるカフェで温かいコーヒーを飲みながらお天気の良い夕方にきたら港の風情が一層増してきっと綺麗だろうな、と景色を想像しながら外を眺めた。
皆わいわいと騒ぐようなタイプではないので穏やかに世間話を交わす。
普段から割とよく集まるメンバーだがまだまだ話の話題は尽きないし、言葉を交わさない時間も苦痛ではない。
一番飲むのが遅い自分を怒りもせずにこやかに待っていてくれる優しい友人達に対して、旅行はじめ乗り気になってなくてごめんね、旅行来れて良かったよと言うと、
あんたらしいし、逆に旅行にノリノリの方が怖いわ。と笑い飛ばしてくれた。
息抜きをした後はホテルに向かってその後夕食に出ることにした。
晩ご飯は満場一致でお好み焼き。
ホテルから近くて座敷のあるお店をリサーチ。
幸い予約が取れたのでホテルに荷物を置いて寒空の中歩いて向かった。
温かい店内には鉄板焼きの匂いが広がり焼ける音が響いていた。
一気にハラペコーヌ達の胃袋を刺激し、空腹に拍車がかかる。
とりあえず飲み物とおつまみだよね、決まっている注文もついでにするねと手際のいい友人がぱっぱと店員さんとやりとりを交わし、思った以上に早く食事にありつくことが出来た。
せっかく広島まできたし、沢山歩いたし、お腹いっぱい食べちゃおうと、熱々のお好み焼きを息で冷ましながらはふはふと食べる。
広島風は麺があるのでボリュームたっぷりだったが、次々と口に運び込みあっという間にに平らげた。
冷えていた体も暖まりお酒も入ると少しテンションが上がり会話も弾んできた。
あっちこっちと話題が飛び回り、同じ話何度もなぞり、毎回笑うポイントが決まっている。
当たり前の光景に安心感を抱きながら一番端の席で自然と笑顔になっている自分に気付いた。
こんな時間が過ごせてほんとありがたいね。と言いながら店を後にした。
ホテルで二日目の予定を見直しながらごろりと横になった。
明日もきっと楽しいだろうねと想像しながら眠りについた。
ふと、プリン食べるの忘れてたわ。と気付いたが次の瞬間には夢の中だった。
その3に続く