医療機関営業の効率的なリード育成方法 -戦略から実行まで-
コロナ禍で変わる病院、クリニックへの営業活動
新型コロナ流行で大きく変化した医療機関向けビジネスの環境
ー絶対に押さえておくべき、医療機関向けセールスの効率的なリード育成方法ー
リードに関連する3つのマーケティングプロセス
獲得したリードから受注を生み出すためには、次のマーケティングプロセスを踏みます。
プロセス1:「リードジェネレーション(リードを創出する)」
プロセス2:「リードナーチャリング(リードを育成する)」
プロセス3:「リードクオリフィケーション(リードの段階を測る)」
プロセス1:「リードジェネレーション(リードを創出する)」
リードジェネレーションは「見込み客の創出」の意味を持ち、自社のリードになってくれそうな潜在顧客に対してアプローチを行う
プロセス2:「リードナーチャリング(リードを育成する)」
リードナーチャリングは、「リード育成」の意味を持ちます。このプロセスでは、創出したリードに対してアプローチをかけて順次リードの段階を上げていき、成約まで持っていき新規顧客化へとつなげていきます。具体的な手法としては、セミナーやメールマガジンなど。ホットリードだけでなく、コールドリードに対しても幾度もアプローチをかけ育成していきます。
プロセス3:「リードクオリフィケーション(リードの段階を測る)」
リードクオリフィケーションとは「リードの段階を測る」というような意味があり、成約までの確度が高いリードを可視化する手法です。リードの段階を可視化するには、リードのアクションや属性などに対してスコアリングを行う方法が有効です。
医療系企業におけるリードナーチャリングの実際
リードナーチャリングとは「見込み客の育成」という意味です。あなたの会社が何らかの方法によって獲得したリード、すなわち顧客になる可能性を持つ潜在顧客に対して、継続して情報提供することで、あなたのサービスを“あったらいいな”から、“なくてはならない”に変えていく作業を指します。
このリードナーチャリングは医療系企業でも重要な作業ですが、コロナ前は、この作業を人的なリソースをジャブジャブと注ぎ込んできました。アナログ的かつウェットな感じで訪問営業を主たる方法として採用してきたわけです。
しかし、コロナ発生以降は、病院やクリニックへ訪問禁止や自粛となったため、実際のところ、ほぼナーチャリング作業をできない状況が続いています。
そこで、企業の営業活動にとって必要なのは、アナログ的なナーチャリング活動ではなく、デジタル的なそれです。このことに多くの企業が気づき始めた、というのが現状ではないでしょうか。
リード育成の重要性とは
獲得したリードを放っておくと育ちません。中には、最初からニーズが顕在化していて、とても短いリードタイムで受注に進むこともありますが、そのようなリードは多くても全体の1%くらいでしょう。ほとんどのリードは育成しなければ、すぐに忘れ去られてしまいます。
医師に営業しているとき、私たちは医師の立場を見落としてしまいがちです。病院であれば、チーム医療の司令塔であり、クリニックであれば経営者を兼ねる医師は、その医師が率いているチームの問題を解決するといった目的がなければ、行動を変えることはありません。
つまり、うまく行っている医師には顕在化した問題がないため、解決は必要がありません。ニーズがないか、または、現在は感じていないためホットリードではありません。
一般に、医師は優秀な頭脳を持つことで知られています。医師は余計なことには手を出しません。
ですから、医師の立場を考え、その立場に立って物事を見て、分析を加え、そして問題点を認識させ、そして初めて解決方法の提案、すなわち、あなたのサービスやプロダクトをお勧めできるようになります。
問題を認識していない限り、提案しても無意味な情報となり「既読スルー」となることは間違いありません。ただし、この既読スルーは企業にとっては無意味ではありません。インパクトの小さな行動でもシャワーのように降り注ぎつづければ、いつか大きなインパクトになるので、めげずに継続していきましょう。
私たちの営業コンサルティングの現場では、「メールなどたくさん送ったら、医師に嫌われてしまうのではないか」という質問を受けることがよくあります。
答えはノーです。医師は、相手の立場を理解した人からの情報はいつでも受け取ります。しかし、理解してくれない企業担当者からのメールは完全に無意味な文字列となるため受け取ることを止めてしまいます。
「人は自分のことをわかってくれる人を好む」というのは、有名な格言です。いつでもリーダーである医師は孤独な思いをしています。医師は自分にしかできない仕事をしようと努力しています。ほかの誰かがやってくれる仕事は、その人に頼むという習性が身についています。
医師が置かれている状況をあなたが理解して、医師さえも気が付いていない問題を指摘することが、これからの営業担当者の仕事です。あなたのサービスを購入する目的は一体何でしょうか?医師は何となく良さそうだからという理由では購買行動を起こしませんので、常に現場でのヒアリングが重要です。
しかし、コロナ以降は、このようなヒアリングのための訪問が難しい状況が続いていますが、だからこそ、他社との差をつけるチャンスとなります。会いに行く活動ができないならば、電話とFAXとメールを組み合わせてみてはどうでしょうか。
どのような連絡手段でも、医師と心を通わせるためのヒアリングを継続することによって、関係性は深まっていきます。接触頻度は、半年に一度ではインパクトが小さすぎます。月に1回、できれば毎週1回は接触し、問題に気づいてもらえるヒアリング(示唆質問といいます)を繰り返していくことで、リードは着実に育成することができます。
出来ていますか?リードの分類
リードは問い合わせ段階から成約段階まででレベルが分類されます。一例ですが、シリウスディシジョンズ社(Sirius Decisions)が2002年に「Demand Waterfall」というチャート式の図解を発表して、リードのレベルを段階に分けて説明しています。
「Demand Waterfall」によるレベル分け
・Inquiry:問い合わせの段階
・MQL(Marketing Qualification Lead):検討中の段階
・SQL(Sales Qualification Lead):引き合いの段階
・Close:成約の段階
・Inquiry:問い合わせの段階
Inquiryは「お問い合わせ」という意味です。リードが自社の商品やサービスについて興味を持ち、所属部署や年齢、会社住所やメールアドレスなどの情報を自社に提供する段階です。
・MQL(Marketing Qualification Lead):検討中の段階
MQL(Marketing Qualification Lead」は「マーケティング上で価値のあるリード」という意味があります。
・SQL(Sales Qualification Lead):引き合いの段階
SQL(Sales Qualification Lead)とは、営業担当が直接フォローするべき対象となるリード、つまり「受注確度が高いと見込まれるリード」という意味で、SQLは引き上げの段階によって2つのパターンに分かれます。
・SAL(Sales Accepted Lead):「営業担当がコンタクト可能なリード」
営業担当はマーケティング担当にリードの情報を共有してもらい、直接顧客(リード)に話を聞きながら課題をまとめ、商品やサービスの提案を行います。
・SGL(Sales Generated Lead):営業担当が自ら創出したリード
SGL(Sales Generated Lead)は、「営業担当が自ら創出したリード」という意味があります。
マーケティング担当から営業担当に引き渡されるSALとは違い、営業担当が電話や訪問などで直接顧客に接触し、ニーズを引き出した上で案件へと繋げたリードが含まれます。
・Close:成約の段階
Closeは受注です。この段階では名前の通り商談を完全に成約させて、リードを新規顧客へと成長させます。
どのようにリードを育成するのか
獲得したリードの中にはさまざまなレベルが存在します。例えば、自社の無料セミナーを視聴したリードと製品やサービスに興味を持ってWEBサイトの問い合わせフォームから資料請求をしたリードでは温度感が異なります。
異なるレベルのリードに適切なアプローチするためには、リード育成の仕組み化が重要になります。リードを分類したら、アプローチの優先順位を決めていきます。
そして、分類ごとにことなるストーリーを設定します。ストーリーとは、その医師が置かれている状況によって異なります。考えられる状況はそれほど多くはありませんので、事前に綿密に営業戦略を検討しておきましょう。
獲得リードを育成する際の2つのポイント
1.相手の状況に合った内容にする
今すぐ客ではないリードだと獲得したまま放置していないでしょうか。何もアプローチせずに放っておいてしまうと自社の認知や興味が薄れてしまいます。そうかと言って、今すぐ客ではない無料セミナー視聴したリードに対して急に強い製品売り込みのメルマガを流すのはレベル感に合っていません。次回のセミナーのご案内や、ホワイトペーパーの紹介などの内容で離れないように接点を持ったまま育成をし続けることが大切です。
2.独自のコンテンツ発信を継続的に実施する
継続的にコンテンツを発信していくのは労力がかかります。医療業界となると最新の情報や専門的な知識も必要です。どのような内容が良いのかを検討するだけでもかなり骨が折れる作業です。
また、発信したコンテンツはそのままにするのではなく常に見直してブラッシュアップすることが必要です。自社だけでは手が足りないという時は、アウトソーシングやマーケティング会社への依頼も選択肢として検討するといいでしょう。
まとめ
・継続して情報提供することで、あなたのサービスを“あったらいいな”から、“なくてはならない”に変えていく
・医療機関に訪問できない今は、デジタルを利用したリード育成手法をやる
・医師は、相手の立場を理解した人からの情報はいつでも受け取る
・医師の状況を理解し、医師さえも気が付いていない問題を指摘する
・相手の状況に合った内容を案内する
・独自のコンテンツ発信を継続的に実施する
今回は、リードの獲得方法とリード育成方法とその重要性ついてお伝えしました。
リード育成では継続的にアプローチしていくことが大切です。営業活動における現状のボトルネックを解消していくことは売上や成約率の向上には必要不可欠ですので、何から手を付けてよいのかわからない、アドバイスが欲しいという方は、お気軽にご相談ください。
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