【エクイティの概念について】poker memo #5

エクイティとは

 結論、ポーカーでエクイティという言葉は一義的には「その時点のハンドの勝率」を示します。GTOにおいてエクイティを数値をして活用するときは、その時点の勝率ですので、それを覚えればそこまでです。しかし、発展的に意味が使われるときもありますので、エクイティという言葉を少し深掘りしていきましょう。
 「エクイティ」は、金融では「株式」「株主資本」を指します。ビジネスで資金調達をしようとしたときに「エクイティ・ファイナンス」か、「デット・ファイナンス」のどちらにするかという選択肢があります。「エクイティ・ファイナンス」とは会社の株式を発行して売ることを指し、「デット・ファイナンス」は銀行等からの借り入れ(借金)を指します。「エクイティ・ファイナンス」では、お金を出す人がその会社の将来性に投資して、より高い利益を得ようという考えでお金を出すことが多いです。もし、その会社が倒産したらそのお金は戻ってこない場合があります。一方で、「デット・ファイナンス」は借金なので、会社が倒産しても、個人で連帯保証人になっていれば返さなくてはならないですし、お金を出す人はその会社からお金を返してもらう権利を持ちます。ポーカーのプレイ中にチップを借金する概念はないので、そのハンドに投資している行為に近いわけです。あらゆるシチュエーションでそこで投資対効果を見極めて、betしたり、foldしたり、check raiseしたりするわけです。投資利益率(ROI:Return on investment)を最大化することがポーカーだということを念頭においておきましょう。

エクイティを考える前提

 エクイティについて質問するプレイヤーはある程度ポーカーを楽しめる程度にプレイしてきた人であると言えます。ポーカーの初期段階では大きく以下の4つのことを学んで実践しているかと思います。
・役とルール
・アウツと期待値(オッズ)
・ブラフベットとバリューベットの使い分け
・ポジションとハンドレンジ
オッズは期待値のことなので難しいことではありません。上記4つを学んでいると「フォールドエクイティってよく聞くけどなんだ?どういうシチュエーションで求めるものなの?」「check raiseでエクイティを最大化するってどういうこと?いくらが適切なの?」と疑問がわくのだろうと思います。エクイティについて探求する上では、上記の4つのことをある程度学んでいる必要があります。なぜなら、ポーカーは投資ゲームなので、現状把握と将来の予測ができている必要があるからです。ビジネスにおいて投資をするときも、現在の状況を正確に把握する必要があり、トレーダーは日々経済状況を学んでいることでしょう。ポーカーはボードに共通カード(情報)がある一方で、相手のハンドは見れません。相手のポジション、ハンドレンジ、Betやcheck等のアクションからある程度予測する必要があります。適正なbet額がわからない人は勘でやっていたりしますが、それは経済状況を十分把握せずに株の投資を勘や経験に頼っていることと変わりません。もちろん、勝つこともあるでしょうが、長期的には負けやすいでしょう。素人のトレーダーが負け組になることと同じです。Pokerにおけるエクイティを考える上では、相手のアクション、自分のハンド、共通情報等から総合的に考えることが重要です。その上で、投資利益率を最大化するBet額等のアクションを考えましょう。

じゃあ、フォールドエクイティってなんだっけ?

 フォールドエクイティとは、「相手がフォールドする可能性、または結果得られる利益」を指します。すなわち、総合的な状況から適切なアクションをすることで、実際は負けているハンドでも利益を得ることも可能です。バリューベットだけでなくブラフベットを適切に使えると、バリューをとる手段が増えることになるので、フォールドエクイティを考えたプレーをすることは非常に重要です。たとえば、フロップのフラッシュドローはフラッシュが完成すれば強いですが、35%しか完成しません。それなのにアウトオブポジションでパッシブにいつもプレーして、フロップもターンもPOT 40%のbetにコールを強いられてリバーで毎回checkで回っているとすれば、マイナスになりかねません。しかし、フロップで適切な場合にcheck raiseしてミドルヒットなどの自分が現状負けているハンドをフォールドさせることができたとすれば、フォールドエクイティを求めた結果が成功したとも言えます。そういうプレイラインを残すことで、バリューベットがブラフにも見えてバリューを最大化できるかもしれせん。フォールドエクイティについては、地道に勉強していくしかありません。例えば、自分が「降ろされたな〜」と感じたときは、相手のブラフレンジに何があるのか考えてみるといいでしょう。学びが浅いプレイヤーはバリューについて考えることに留まり、適切なブラフハンドを考えることに慣れていないと思います。その都度、ブラフをするとしたらどんなバンドだろうか考えたり、わからなければPiosolverなどを使ってみるといいでしょう。または、自分で考えた上で(←重要)、ある程度ツールをを使いこなして勉強している人に都度適切なプレイだったかを聞いてみるといいでしょう。個人的な見解ですが、ブロッカーを考えてバリューとブラフのバランス学ぶ段階にきたら、PokerSnowie は簡易的で弱い印象があるので、PiosolverやGTO+のようなソフトを利用するといいと思います。

最後に

 ポーカーは投資対効果を最大化するゲーム、と記載しましたが、それは難しいとも言えるし、難しくないとも言えます。株式の世界では大量・多様な情報が複雑なネットワークで相互作用し合う経済を予測して投資する必要があり、正解がありません。一方で、ポーカーでは所詮カードが54枚しか無い世界での出来事ですので、株式投資と比較するとある程度パターン化して適切なアクションというものが統計的に存在します。その基本となるのがGTO(Game Theory Optimal)です。その上で、相手のアクションで適性から外れていくところに対して攻撃していくエクスプロイト戦略というものが存在します。たとえばじゃんけんで50%以上「グーを出す」プレイヤーには「パーを出す」頻度を増やすような戦略です。ポーカーに当てはめるとレイズには99%降りるプレイヤーにはレイズをしましょう、というような状況です。実際はそんなに簡単では無いのですが、エクイティを最大化するために適切なアクション・bet額を学ぶということは、限られた世界でのできごとを学ぶことになります。とはいえ多くのシチュエーションが存在するので、ある程度パターン化した上で適切なアクションを学び、エクイティについて探求できるといいと思います。

以上です。

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