名刺代わりの映画10選
どうも、縞尾ワヲです。そういえば映像翻訳者を目指しているのに、映画の話をしないのはもったいないなと思い、推し映画を10作品紹介することにしました。ちなみに縞尾がよく見るのは大体洋画で、好きなジャンルはホラー、アクション、コメディ。日頃はAmazon Primeにお世話になってます。ディズニー作品も好きなのですが、好きな作品がわりと多いので、これはまた別の記事にまとめます。
さあ、王道作品もあれば、きっとあなたが知らない作品もある。気になったものがあれば、是非見てください。(注:割と血が出る映画が多いよ!)
1. ショーン・オブ・ザ・デッド
レコードが宙を舞い、人々は"Don't Stop Me Now"を聴きながらゾンビと対決! これを紹介せずには始まれない、個人的オールタイムベストのホラーコメディ映画です。ロメロ監督の『ゾンビ』に多大なリスペクトを払った気合十分なゾンビ描写に、ブリティッシュコメディ特有のシュールなギャグが最高に面白い。冴えない30代男のショーンが、無職の親友や微妙な関係になっている恋人を巻き込みながら、避難のためにお気に入りのパブを目指す……。「いや、パブに行っても安全とは限らないだろ!」とツッコミたくなる馬鹿馬鹿しいあらすじですが、物語はテンポ良く、その上見所満載で進むので問題なし。最初から最後まで馬鹿笑いしながら楽しめる最高のゾンビ映画です。
2. チャイルド・プレイ チャッキーの花嫁
あの殺人人形の血みどろハネムーン! チャイルド・プレイシリーズ、大好きです。その中でも、コメディ路線に走った4と5は特にツボにハマりました。修復されてパンクな見た目になっちゃったチャッキーも好き。この映画はチャッキーが恋人のティファニーと共に、駆け落ち中の若いカップルの体を乗っ取ろうと画策する話ですが、その道中で起こす殺人が視覚的に面白いものばかり。シャボンの舞うバスルーム、ベッドの上に鏡が付いたラブホテルなど、ロケーションを活かした豪快な殺戮シーンが見られます。また、開始早々に鳴り響くRob Zombieのノリノリのロックナンバーなど、HR/HMだらけなサントラが非常に良い。この作風が好きであれば、是非『チャッキーの種』も見てください。
3. スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
ティム・バートン渾身のグロテスク・ミュージカル。同監督作品常連のジョニー・デップ演じる理髪師トッドと、ヘレナ・ボナム・カーター演じるパイ屋のラヴェット夫人が、手を組んで暗躍します。ミュージカルでありながら適度にセリフもあり、「ミュージカルは苦手かな」という人でも話が分かりやすい。話の行く末にハラハラしながら見入ってしまいました。妻子を奪われ、怒りから狂気に堕ちた理髪師トッドの迫力が凄まじい。ゴシックな雰囲気も好きなのですが、作中の人間関係も面白いです。特に、次々と客を殺めていく理髪師トッド、恋慕故にそれに加担するラヴェット夫人、二人を怪しく思うトビー少年(店の手伝い)という、擬似家族にも見える3人にはジョジョ四部感もあり……。その辺も異常にツボにハマりました。
4. ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
「お前ティム・バートン好きだろ」「そうだよ」
こちらは結構新しい作品です。中身は「異能力バトル」。え? バートンってそんなイメージじゃない? いいや、これが恐ろしく面白いんです……。原作はランサム・リグズによる『ハヤブサが守る家』という小説ですが、孤児院を切り盛りする謎の女「ミス・ペレグリン」と、特殊能力持ちの「奇妙なこどもたち」が物凄く魅力的で大好きです。その孤児院の面々に「奇妙なものが見える以外は普通」な少年のジェイクが邂逅するところから物語は始まります。子どもたちは火を放つ能力やら体内に蜂を飼う能力やらを持っているのですが、中でも「鉛の靴を履いていないと飛んで行ってしまう少女」と主人公の関係がエモい。爽快感のある異能力バトルは勿論ながら、すすけたようなノスタルジックな画面も美しいので、是非。
5. ドニ―・ダーコ
「え、変なウサギが出るんでしょ?」ぐらいの軽い気持ちで見たら、とんでもない作品だった。確かにフランクという謎の啓示をする銀色のウサギは出ますが、展開がそれどころではないスケールで、初見時はあまりの衝撃に眠れなくなりました。主人公は、ジェットエンジンの墜落で部屋を破壊された高校生のドニー君(少々精神が不安定)。彼はフランクから「世界の終わりまであと28日と6時間と42分12秒しかない」という啓示を受け、疑問を感じながらも世界を救う方法を見つけるため行動します。その行動は、一見してドニーの周辺だけのミクロなものに見えますし、超能力も登場するものの派手なエフェクトではありません。だがそこが良い。ごく日常的に見える非日常ってのが良いんです。そしてラストまで見た場合のカタルシスは他の映画には代えがたい。SF好きな人におすすめです。
6. プロメア
プロメアでしか摂取できない栄養分、あると思うんですよ。今でもリバイバル上映が行われているぐらいですし。私は豪華版と英語版の円盤を両方持っています。元々TRIGGER制作のアニメ作品が好きで、まあまあ追いかけていたのですが、お恥ずかしながらこの作品は最初、全くのノーマークでした(公開3か月後の8月に遅れて鑑賞)。
それまでの日本のアニメではまるで見たことがない色彩や、非常にクールなキャラデザイン、謎が少しずつ解けていき迎える大団円に、初回鑑賞後しばらく茫然としたほどの衝撃を受けました。その後、プロメアに関する記事が掲載されている雑誌を買い漁ったり、(未遂ですが)「英語吹き替えが公開される」と聞いてハワイに行ってまで見ようとしたりと、非常に夢中になっている自分に驚きました。サントラはもちろん、豪華版のBDも買いましたし、DVDとBDがコンボになった英語版も持っています。爽快感があり世間の嫌なことを吹き飛ばしてくれる、定期的に見たくなる作品です。
7. 羅小黒戦記
読みは「ろしゃおへいせんき」。映画館で見た回数が最も多い映画です。中国のWebアニメ発祥の映画作品です。つい最近、吹替え版の円盤発売が発表されましたね。嬉しい限りです。人の社会に隠れ住む妖精(日本で言う妖怪に近いですが)と、それを取り巻く機関の設定や世界観が本当に素晴らしい作品です。日本では原語の字幕版が最初に公開され、その後吹替え版が制作されたことでより人気が高まったように感じます。原語版は見たことないのですが、どちらも好きだという人が多いです。
この映画は帰る場所を失った登場人物たちがそれぞれの居場所を見つけるまでをテーマにしていると、個人的に思っています。黒猫の妖精である小黒(シャオヘイ)を始め、力があるゆえに人と妖精の間で彷徨う無限(ムゲン)や、妖精の安住の地を探している風息(フーシー)の三者それぞれに魅力があり、他の登場人物も個性豊かで見ていて本当に面白いです。また、幼くまだ多くを知らないシャオヘイへの周囲の対応の優しさや、作中描かれる対立の「安易に善悪に分けられない」リアルさには、制作側の「ただの娯楽映画として完結させない」ための強い作品愛を感じます。
2022年、10月7日からテレビでもディレクターズカット版が放送されます。この機会に是非。
8. マスク (1994年の作品)
冴えないオタク銀行員、裏の顔はグリーン。これは洋画好きになった引き金的作品。同タイトルの全く別の映画も存在するのですが、ここで挙げているのは緑の顔のジム・キャリーの方です。お笑い要素が多く、怪人マスクの超人的な力を表現するカートゥーン的なSFXが面白い。クラブ「ココ・ボンゴ」でのシーンや、警官を撒くために往来で「チキチキブン」と踊り出すシーンの楽曲も好きです。作品を通して陽気なんですよね。あとは、私は字幕版で見ることが多いのですが、この作品は割と字幕でも笑わせにかかってくる気がします……。例のダンスのシーンの「ハバナの男はとってもハバナ」とか、どうやって訳したんだろう(批判ではないです)。
9. ジョン・ウィック シリーズ
何も失うものがない男の本気の復讐はヤバい。最近好きになったシリーズです。今公開されているのが3作目まで。キアヌ・リーヴスはすごいね。アクション映画であるためセリフは少ないのですが、その中で英語を使ったりロシア語を使ったりすることで「殺し屋がいて世界中で仕事をしている」という情報を仄めかすのがうまいと思います。アクションシーンはてんこ盛り、なのに拳銃やサブマシンガン、ナイフを惜しみなく使い、果ては武器ではないものでさえ使って敵を倒していくのだから、見ていて飽きません。キアヌ演じるジョン・ウィックだけでなく、他の殺し屋もやたらと「濃い」です。親友でありながらジョンの抹殺命令を受けた狙撃手とか、マフィアのボディーガードの手話で話すめちゃ強いお姉さんとか。どれを見ても爽快感とセンス抜群、アマプラで全部配信されているので是非。
10. レオン
互いに後ろ暗い大人と子供が束の間の信頼関係を持つという物語に弱い。本当に大好きな映画です。ジャン・レノ演じる殺し屋レオンと少女時代のナタリー・ポートマン演じるマチルダのポスターは非常にアイコニックですよね。殺し屋と少女というのはかけ離れているように見えますが、レオンもマチルダも社会に翻弄されながら生きており、アパートの廊下で「大人になっても生きるのはつらい?」「つらいさ」とやり取りをするシーンが強く印象に残っています。その後、父が麻薬取引に関与していたために家族を殺されたマチルダがレオンの元に転がり込み、奇妙な共同生活が始まるところまでがセット。レオンが不器用ながらもマチルダに愛情を見せ始めたり、マチルダが彼の服装を真似て帽子やサングラスを着けたりと、互いの心の距離が近くなっているのが分かる描写が丁寧です。とはいえ、マチルダが家族の死の首謀者を突き止めたところで、一気に展開が危うくなります。ちなみに首謀者を演じるゲイリー・オールドマンが狂気じみていて本当に怖い。怪演。ハッピーエンドにはなりえない映画ですが、ヒューマンドラマ、サスペンス、アクションと、様々なジャンルとして見ても優れた作品だと思います。
以上、それなりに長くはなってしまったのですが、邦画が極端に少ないですね。しかし、すべての映画に原語版と異言語の字幕版が存在しているというのは面白いです。私は好きな映画の字幕と原文を比較することも多いのですが、いずれまたそういうネタについても記事にできればと思っています。それではまたどこかでお会いしましょう。