木下真弓/MayumiKinoshita

雲仙天草国立公園の天草西海岸を中心に、旅の時間やくらしを育む企画をしています。伝えるも…

木下真弓/MayumiKinoshita

雲仙天草国立公園の天草西海岸を中心に、旅の時間やくらしを育む企画をしています。伝えるものづくりとお茶づくり、草刈りがライフワーク。タビノタネ(旅行サービス手配業)/ソルトコーディネーター/だしソムリエ/温泉ソムリエshimanotane.amakusa@gmail.com

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最近の記事

漂着ゴミと、エコとエゴ。

子どもたちと磯遊びをするときやサンセットを愛でてるときカヤックなどで海遊びをするときも目につく海のゴミ。海辺を歩く際にはできるだけ回収袋を持参して集めるようにしてはいるものの、集めても集めてもなくならないのはその多くが、沿岸域の生活ゴミではなく「漂着するゴミ」だからです。 東シナ海に面した地形で、異国のゴミも漂着する天草西海岸の浜辺は、私たちが今すぐに直視しなければならない地球の現実を教えてくれます。 ゴミ回収すればいいってわけじゃない。 捨てなければいいってわけでもない

    • 菌トレ

      今日の菌トレは、フォカッチャ。 野鳥のさえずりをBGMに手ごねするって 最高に贅沢な時間でした。 もちろん使っているのは天草の塩と油。 この春は、菌と塩とオイルを変えながら あれこれ試してみる時間にあてています。 菌に期待するのは 発酵と香りの作用。 塩に期待しているのは 塩味やうまみとともに グルテンを引き締める作用と 発酵のバランスをよくする作用。 オイルに期待するのは コクや香りと伸びのよさを支える作用。 捏ねていると、生地の感じが異なる気がします。 なんと

      • 阿蘇の茅葺きと、高森田楽

        阿蘇に春を呼ぶ風物詩といえば、野焼きがあります。毎年2月の終わりから3月半ば頃にかけて草原に火を入れることで、美しい草原の景観を守りつづけてきたならわしです。冬枯れの草木があっという間に炎に包まれていく様は圧巻で、観光名物のひとつにもなっています。 阿蘇の茅葺職人との出会い 2014年の2月、野焼きを前に忙しさを増していた本田末保さんのもとを尋ねました。本田さんは高森町上色見地区に代々伝わる茅葺(かやぶ)きの技法を伝承する、数少ない職人です。「天気が良ければ毎日、らくだ山

        • つくること。つかうこと。

          気候変動と災害へのもやっとした不安を少しでもクリアにしたいという思いから、森林や林業に興味を抱き、一般的な林業や自伐型林業、木材利用の状況、土中環境、世界の森林のことなどを学ぶようになって2ヶ月ほど。天然林は自然更新がなされるのに対し、いったん人の手が入った人工林は、適度に人の手を入れ続けなければ保たれないことを踏まえ、木を伐る、道をつくる、ということがもたらすいい影響と悪い影響について深く考えるようになりました。 風力発電の巨大な部品を載せたトラックを通すためには道幅5m

        漂着ゴミと、エコとエゴ。

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        • 2本
        • 南阿蘇
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        • gift
          12本

        記事

          風の力。

          ここ数ヶ月、不知火海の対岸で聞くことの多かった風力発電の話だけれど、天草西海岸エリアにも全高180mの風力発電が13基、建設予定なのだと今朝、知りました。化石燃料に頼らないクリーンなエネルギー政策が急がれている今。風力発電の設置が及ぼすメリットデメリットをもっとちゃんと勉強しておきたいなと思った矢先のことです。 植物や動物、水、生態系や大気の環境、景観、自然活動への影響、眺望への影響、工事車両の往来による観光地へのアクセスの影響など、さまざまな視点から調査と検討がなされたら

          木と、林と、森と。

          大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」からまもなく4ヶ月が経とうとしています。全国的なニュースで取り上げられることはなくなって、ともすると被災地は復興を遂げたかのように思われそうですが、家屋の復旧もまだまだ半ばのところも多いよう。広範囲におよぶ被災エリアのなかには、少子高齢化の進む地域が多く、さらにコロナ禍で従来の災害復旧復興よりも活動できる人や団体や、地域が限られていることなど、いろんな条件が重なって、被災地はまだまだ復興の途中です。 土砂災害を防止するためにある「砂

          木と、林と、森と。

          豪雨被災地の恵み。オール熊本べんとう

          これまで普通にできていたことができなくて、グリーフってこういうことなのかとかみしめる毎日です。パソコンを開いたところで仕事がまったく手につかず。趣味です!と言い切れるほど楽しんでいた毎日のお弁当すら、楽しむ気力が起きなくて。母がいなくなったことでふるさとの半分以上が失われた気持ちになって。その上、気候変動がもたらす人知をはるかに超えた災害に、近い将来ふるさとにもどりたいという選択肢が正しいことかすら、わからなくなりました。 2ヶ月半というお別れの猶予をいただいていた私がそう

          豪雨被災地の恵み。オール熊本べんとう

          よふかし

          夏休みの夜更かしがぬけずにリビングへやってきた中学生と、寝る前の習慣について話したゆうべ。本はどう?という流れから、長女が生まれてすぐから、末っ子が小学校中学年になるころまで、ほぼ毎日続けてきた絵本の読み聞かせの話に。あれはあれでいい時間だったのだけど。 「読み終えたら一緒に寝たふりしてたな」 「なんで寝たふり?」 「ママが目を開けてると、寝ないから(笑)」 「俺たちが寝たら、起きてたの?」 「そうだねー。寝たのがわかったらこっそりお布団出たりね。でも君たちの寝息が

          またいつか。元気で会える、とは限らない

          多くの人が、またそのうちね。落ち着いてからね。って「自制の夏」を過ごしているけれど。誰のもとにも平等に「次の機会」が訪れるとは限らないことを、本当は誰もが知っています。 母は、前のがんから10年を経た去年、ようやく「寛解」の太鼓判をいただいてそれはそれは喜んでいました。だけど、2月に前回とは全く異なる病がわかり、判明から2ヶ月半で、鬼籍に入りました。わが家には「次のゴールデンウィーク」も「次のお盆」も、ありませんでした。 もしも今、あなたの大切な人が、急に体調を崩して入院

          またいつか。元気で会える、とは限らない

          精霊流し

          8月15日の精霊流し。 うちの集落では今年、精霊流しが中止になった。子どもの頃から慣れ親しんだ風習すらもなくなってしまうこのご時世が、なんだかとても残念で、とっても寂しい気持ちになった。このまま途絶えていくものが増えないように、できることをひとつずつ。 同じ仏教でも両親が選んだ宗派は精霊船を流さないのだけど、ひそかに抱え続けていたグリーフを手放すための区切りとして、こういうことが必要な気がして、両親の気持ちと私の気持ちの折衷案としていつもの海を頼ってみた。船のかわりにした

          送り盆

          8月15日。送り盆。 いただきものの新米を炊きあげる。 「15日は、茹でそうめんと送りダゴよ」というご近所さんのアドバイスを思い出し、そうめんを茹でる。そうめんの片手間でだんごをこねていたら水加減をすっかり誤り、やわらかくなりすぎて俵型にまとまらず。“精霊様がお帰りの際に持ち運びやすいように”という配慮から、送りダゴは俵型と聞いているので、つるんとした俵型よりちょっといびつなほうが小脇に抱えやすくっていいんじゃない?などと、生きてる者に都合のよい解釈で、それらしい形のもの

          お盆2日目。

          8月14日。お盆2日目。 朝7時。 お供え用の煮しめを作ろうとあたふたしていると、玄関先で名前を呼ぶ声がする。「盆の2日目は混ぜめしばあげるとよ」と渡されたのは、お供えするだけの状態になった混ぜめし。「明日はね、送りダゴと茹で素麺だけんね」。おーなるほど、茹で素麺とは知らなかった! 再び煮しめをつくって、お店へ、両親の位牌や遺影のご出勤〜と思ったら、玄関先にきゅうりの漬物が置いてある。もしや?と思った人に電話すると正解だった。お礼が言えてよかった(結局誰かわからず、言え

          迎え盆

          8月13日、お盆の入り。 迎えダゴにはダゴの葉がいるんだったと思い出し、 夜明けとともにダゴの葉を探しにいって。 見つけられずに帰ってきて とりあえずパタパタ、いろいろ作っていたら ご近所さんと、伯母から、あいついで団子が届く。 「お母さんに供えて」 その気持ちが、本当にありがたい。 迎えダゴは平たいお団子。 精霊様がゆっくりと座りやすい 座布団をイメージしているとかいないとか。 この世とあの世はきっと 愛でつながっている。     *************

          あの世とこの世をつなぐはし

          8月10日。 ちょっと早めに設定した初盆のお参りで、お寺さんがやってくる日。 朝6時過ぎ。 お参りにきてくださる方のいない早朝しか身動きが取れないので、朝は貴重な時間。今日はお寺さんもいらっしゃるし、早めに片付けとドアノブ等の消毒をと外に出たら、空に大きなダブルレインボーが出ていた。ダブルレインボーは、人生のターニングポイントを示していたり、幸運をもたらすサインとも言われるそう。あまりの美しさに、思わず子どもたちを叩き起こしたけど、まだ寝ていたい彼女たちにとっては幸運どころ

          あの世とこの世をつなぐはし

          お盆しなん

          8月9日。 朝7時すぎ。 ご近所さんが、お盆の飾りかた指南に来てくれた。三段のやつ、盆棚とか、精霊棚とかいうらしい。そういや葬儀屋さんが「四十九日や初盆も使えるように三段の棚をお持ちします」って言ってたけど、「使った後に捨てるようなものなら、あるものでやります」と断ってしまったのだった。ダメだったかしら(笑)その話をしたら、ご近所さんが盆棚も「うちにあるのを貸すよ」って言ってくれたけど、どうしてもお店でやりたくて、ここに置いちゃうと高齢な参拝者さんの安全な動線を確保できな

          新新盆?

          8月8日。 警戒レベルが上がったことにより 新盆を取りやめるべきかと悩んでいたけれど。 近所の方にリサーチ。 「お盆、取りやめた方がいいでしょうか? 不安に感じる人がいるでしょうか?」 と、ご意見を伺ったところ 「県内だしよかよ。ぜひこっちでやって」 というお言葉をいただいた。 ということで、新しい新盆様式を模索しながら 慎重にやらせていただくことに。 名づけて「新新盆」。 なんつってw ****************** 実家の仏壇の前ではなく、 母が40