【Python】ARIMAで今後の米国CPI推移を予想してみた
挨拶
こんにちは。本ブログでは、統計的な手法であるARIMAを用いて、米国の消費者物価指数(CPI)の将来の値を予測してみました。CPIは、経済活動やインフレーションなどの指標として重要な役割を持っており、多くの人々が注目しています。ARIMAは、時系列データの予測に用いられるモデルであり、長期的な傾向や季節性などを考慮しながら予測を行うことができます。本ブログでは、PythonにてARIMAのライブラリを用いたCPIの予測方法やその結果について、詳しく解説していきます。使用したプログラミングコードにつきましても、本ブログが好評であれば公開を考えております。是非、最後までお読みください。
背景
アメリカのCPIは、経済指標として非常に重要です。物価の上昇は、消費者にとっては生活費の増加を意味し、企業にとっては原材料や労働力などのコスト上昇を意味します。このため、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会は、物価やインフレーションをコントロールするため、金利政策を実施しています。
具体的には、CPIが上昇することが予測される場合には、中央銀行は金利を引き上げることがあります。一方で、CPIが下降することが予測される場合には、中央銀行は金利を引き下げることがあります。このため、投資家は将来の金利政策に対する予測を行う上でも、CPIの予測が重要になります。
ARIMAは、CPIの予測によく用いられる統計手法の一つです。ARIMAを用いてCPIを予測することで、消費者や企業、政府、投資家などが将来の物価動向を予測し、それに対する対応策を考えることができます。
以上のように、経済や金融に関わる多くの人々にとって重要な情報となる,ARIMAによるCPIの予測を通して,プログラミングを勉強しようとした、その備忘録がこのブログになります。
CPIとは
CPIとは、Consumer Price Indexの略称で、消費者物価指数と訳されます。CPIは、日常生活でよく使われる商品やサービスの価格変動を表す指標です。例えば、食料品や住居、交通費、医療費などが含まれます。CPIは、アメリカ労働省が毎月発表しており、その値は消費者物価の変動を示しています。
CPIは、物価変動の影響を受ける多くの人々にとって非常に重要な指標であり、政策立案や投資判断の際にも参考とされています。例えば、CPIが上昇傾向にある場合はインフレーションが進行している可能性があり、企業の利益率や金融政策の方針に影響を与えることがあります。
CPIの計算方法は、国や地域によって異なりますが、一般的には基準年度における一定の商品やサービスの価格を100として、それ以降の時期における同じ商品やサービスの価格を比較して指数を算出します。また、CPIには、コアCPIと呼ばれる食品やエネルギーを除いた指数もあります。これは、食品やエネルギー価格の変動に左右されず、より一般的な物価変動を表す指標として用いられます。
ARIMAとは
ARIMAとは、Autoregressive Integrated Moving Averageの略称で、時系列データの予測に用いられる統計的な手法の一つです。
ARIMAは、3つのパラメーター(p, d, q)によって特徴付けられます。pは自己回帰(AR)モデルの次数を表し、dは差分積分(I)モデルの次数を表し、qは移動平均(MA)モデルの次数を表します。
ARモデルは、過去の観測値を用いて現在の値を予測する手法であり、MAモデルは、過去の予測誤差を用いて現在の値を予測する手法です。また、差分積分モデルは、時系列データの非定常性を取り除くために用いられます。
ARIMAは、これら3つのモデルを組み合わせたハイブリッドモデルであり、長期的な傾向や季節性などを考慮しながら時系列データの予測を行うことができます。
ARIMAは、経済学や気象学、株式市場など、多くの分野で用いられており、その予測精度の高さから広く利用されています。ARIMAによる予測は、未来の予測値だけでなく、過去のデータの解析にも有用であるため、時系列データ分析の基本的な手法としても知られています。
ARIMAを用いてCPIを予測するために必要な手順や具体的な方法
データ収集
データの確認と前処理
モデルの選択
モデルの学習と予測
結果の評価
1.データ収集
ARIMAを用いてCPIを予測するためには、CPIの過去のデータを収集する必要があります。アメリカ労働省のウェブサイトなどから入手することができます。
2.データの確認と前処理
収集したデータを確認し、欠損値や異常値がないかどうかを確認します。また、時系列データの場合、トレンドや季節性があるかどうかも確認する必要があります。今回は特に気にしていません。
3.モデルの選択
ARIMAモデルのパラメーターを決定するために、自己相関関数や偏自己相関関数を用いたグラフ分析を行います。また、AICやBICなどの情報量基準を用いて、最適なモデルを選択します。今回使用したパラメーターは,「p=1, d=1, q=1」となっています。この場合は、一次自己回帰、一次差分、一次移動平均を用いたモデルを採用していることになります。
4.モデルの学習と予測
選択したモデルを用いて学習を行い、予測値を算出します。ここでは、過去のCPIデータを用いて学習を行い、未来のCPI値を予測しました。
5.結果の評価
予測結果を実際の値と比較し、精度を評価します。予測精度が高い場合は、今後のCPIの動向を予測するために利用することができます。
解析結果
学習結果と予測精度
過去のCPIデータを用いて学習を行い、未来のCPI値を予測した結果および予測精度を下図に示します。青の線が実際のCPIを、赤の点線がCPIの予測値を、緑の線が誤差をそれぞれ示しています。図より、実際の値と予測値を比較し、3%程度の誤差の範囲内でCPIを予測できていることがわかりました。
CPI推移
学習結果より予測される今後一年でのCPI推移を下図に示します。青の線が実際のCPIを、赤の線がCPIの予測値を示しています。図より、2024の始め頃に向けてCPIの上昇が少しずつ緩まる傾向が見られました。
考察
CPIの予測結果から、今後もしばらく米国の金融引き締めの状態が続くと予想されます。しかしながら、2024年に入ってからは一度物価上昇も緩まり、米国の金利政策も修正されることになるかもしれません。
結論
ARIMAを用いたCPI予測値と過去のCPIの誤差は3%程度であり、精度良くCPI推移を予測できることがわかった。
学習結果より予測されるCPIは、上昇傾向を示したが、2024の始め頃に向けてCPIの上昇が少しずつ緩まる傾向があることがわかった。
予測結果より、今後も金融引き締めの状態が続くが,その転機が2024年元頃には見られる可能性が示唆された。
後書き
今回のブログを読んでいただき、ありがとうございました。プログラミング、経済や金融についての知識が深まったという方もいらっしゃるかもしれません。私は、今後もこのようなテーマを扱うブログを継続して更新していく予定ですので、ぜひまた読んでいただけると嬉しいです。
もしこのブログを読んで何か疑問点やご質問などがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。使用したプログラミングコードにつきましても、本ブログが好評であれば公開を考えております。また、今回のブログに関するご意見や感想もお待ちしております。皆さまからのフィードバックを元に、より良いブログを発信していけるように努めてまいります。
最後に、プログラミング、経済や金融に関心を持つ方に、私が提供する情報が少しでも役に立てるように願っています。引き続き、私のブログをお楽しみいただければ幸いです。