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【しまね女子ブログ】隠岐の虫事情

昔、隠岐の島町へ移住すると決めて準備を進めていた頃、私はとある大きな不安を抱えていた。それは人によっては「そんなこと(笑)」と笑ってしまうような、些細なことかもしれない。だが私にとっては、これからの隠岐ライフを脅かす重大な問題であった。私が恐れていた問題とは何か。実は『虫』である。
何を隠そう、私は虫が大の苦手!実家にいた頃、運悪くゴキブリに遭遇した際は、恥ずかしながら父に頼んで駆除してもらっていたものだ。もう見るのも嫌!触るなんてもっての他である。
隠岐は自然の豊かな場所。当然虫も多いだろう。事前のリサーチによると、隠岐の虫はかなり『デカい』とのこと。嫌だ…やめてくれ…。しかも、地元ではあまり目にすることがなかった巨大害虫『ムカデ』が出没するとのこと。嫌だ…嚙まれるとめっちゃ痛いとか怖い…本当に嫌だ…!しかし島で一人暮らしをするということは、これら強敵に単身で挑まなければならないのである。私は一人で戦えるのか…。不安で眠れない夜もあった(本当)。だが「こんなことで、憧れの離島ライフを諦めるわけにはいかないのだ!」と、気持ちを奮い立たせて移住して来たのだった。

で、ここからが本題なのだが、私のように「自然が豊かな場所で暮らしたいけど、虫は苦手」という田舎移住希望者は、結構いるような気がするのだ。(単身女性は特に)
そこで今回は、隠岐の島町で暮らしていて、主に室内で対峙するであろう虫たちに関するエピソードをまとめてみようと思う。結論から言うと「虫嫌いでも、何とかなる!」である。今回の話が、虫嫌いの移住希望者への一助になれば幸いである。
 

ムカデ

家庭内害虫の代表格。その多足と巨体ですら嫌なのに、毒を持って噛みついてくる凶悪っぷり。彼らの厄介なところは、不意打ちを喰らわせてくることだ。例えば天井から降ってきたり、布団に潜り込んで噛みついて来たりする。隠岐で暮らしていると、寝る前にとりあえず布団をめくって安全確認することが習慣になるであろう。地元の人たちですら恐れる…それがこのムカデである。

6月頃のジュンテンドー(ホームセンター)の一角 
隠岐の人々の「ムカデは絶対に許さない」という強い意思が伺える

だが、ムカデにも弱点はある。それはその巨体ゆえに、動くと足音がすること。そして、動きが遅く、的が大きいため、殺虫スプレーが当たりやすいことだ。つまり、音を察知して、こちらが先に見つけてしまえば、ほぼ勝利は確定!ムカデ専用の『凍殺スプレー』を用いて凍らせれば、あとは火バサミで掴んで外にポイすれば良い。
ちなみに、室内に観葉植物を置くと、鉢の下に潜伏したりする。心配な時は、鉢の下に抽出後のコーヒーかすを仕込んでおくと、嫌がって寄ってこないそうだ。
 

ゴキブリ

家庭内害虫代表その2。隠岐の島の場合、家をどんなに綺麗にしても、山から飛んで来るため、遭遇は避けられない。対策としては、彼らが侵入して来そうな隙間を塞ぐ・家の周りに防虫剤を撒いてバリアーを作る…などがある。あと、ムカデもそうだが、虫は基本暗くて湿気が多いところに集まりやすい。なので、こまめに換気したり、除湿器を使うことで、その出現率をぐっと抑えることができる。
だが、それでも室内で、ひょっこりと飛び出すあの長い触角を見つけてしまうこともあるだろう。そんな時、私が使う技が『凍殺スプレー二刀流』である。つまり両手に一つずつスプレーを持って、対象物を挟み込んで逃さない…というやり方である。かなり勝算の高い戦術だと自負しているが、スプレー缶が決して安いものではないので、そこがちょっと難点である。(2つ買うと2000円ちょっと…だが、背に腹は代えられない)

このスプレーと出会ってから強気になれた。(今でもちょっと怖いけどね)

以上、主に生活を脅かす害虫について話してきた。だが、室内で見かける虫は彼らだけに留まらない。「害虫という程ではないが迷惑」「だが一緒にいると、なんだか段々愛着が湧いてくる」そんな虫たちのエピソードも合わせてお話したい。

コオロギ

隠岐のコオロギは飛ぶ。『ジャンプ』ではない、『フライ』なのだ。ご近所さんから聞いた話なので、昆虫学的に正しいのか定かではないが、コオロギは伸び伸びとした環境だと飛距離が伸びるそうだ。逆に危険な環境だと、目立たないよう、小さく飛ぶようになる…らしい。
そのため、家の中で見つけて捕まえようと思っても、一瞬で数メートル飛んでいくので捕まえらない。仕方なく放っておくことにすると、これはこれでまた問題が起きる。夜になるとコオロギによるリサイタルが始まるのだ。しかも声がデカい!(美声なのが唯一の救い)6畳間で共に過ごすには、そのボリュームは少々厳しい。なので、鳴くたびにちょっかいを出し、黙らせる作業が続く。やめろ、仕事に集中できんだろ。だが、その声はある日パタリと止む。あれ?今日はどうしたんだろう?部屋を探すと、その片隅に彼の亡骸が…。お前…昨日まであんなに元気よく歌ってたじゃないか…!虫の命の短さに、しんみりとした気持ちにさせられる。せめて、あの世で元気に歌っておくれ。
 

クモ

数々の家庭内害虫を駆除してくれると評判の益虫。その働きを買い、駆除せず放っておくことにしたが、あまりにも数が多いと、家の中に次々と巣を張り出すので、これはこれで宜しくない。その時は仕方なくご退場頂く。なるべくなら、殺さず生かして外に逃がしたいと思うのは、子供の頃「朝の蜘蛛は神の使い」という話を聞いて、それが刷り込まれているせいだと思う。(このお話って、全国共通なのだろうか?)
 

カメムシ

夜、どこからともなく玄関に侵入して、電灯の周りを飛び回る。「こんな時間に何ですか!非常識ですよ!」と言いたい。下手に手を出すと、あの特有の嫌な匂いを出すため手出しができない。ある意味ムカデよりたちが悪い。仕方ないと思いそっとしておくと、いつの間にか前述したクモの巣に引っかかって暴れている。玄関にカメムシの匂いが充満する。嗚呼…私は何もしてないのに…。(ちなみに、カメムシはクモが美味しく頂きました)
 

ヤスデ

1.5cmくらいの、小さいムカデのようなフォルムの虫。最初ムカデの幼虫かと思ってビビって損した思い出。数年に一度、地中から大量に這い上がって来るので、そのシーズンだけ注意が必要。とは言っても特に害はない。ただ、部屋の隅で大量に死ぬのが、なんか腹が立つ。人ん家の畳で勝手に死ぬな。家賃払え。
 

ゲジゲジ

早過ぎて捕まえるの無理。見なかったことにする。
 

ハチ・アブ・ハエと言った羽虫

彼らもたまにどこかの隙間から入って来ることがある。だが、窓を2か所ほど開けて、空気の流れを作ってやると、勝手に風に乗って家の外へ出て行ってくれる。これは完全に私の主観だが、隠岐の虫たちは動き方が素直で、なんだかのんびりしているように見える。もしかしたら、豊かな自然の中で、十分な餌場や、天敵に見つかりにくい居場所があるからかもしれない。(その居場所を我が家にされると困るのだが)

以上、我が家の招かれざる同居人である虫たちの話である。今でも虫は嫌と言えば嫌なのだが、何年も共に暮らしていくうちに、嫌でも耐性はついて来るものだ。インターネットで調べたり、ご近所さんに聞いたりすれば、対処法も身について来る。だから、虫が苦手な人でも、少し勇気はいると思うが、是非隠岐に来て、移住ライフを満喫して欲しい。どうしても虫がダメなら、西郷(町中)に住むという手もある。山が近くになければ、少なくともムカデは出なくなるそうだから。

ただ、ここに来て、日々色んな虫たちと対峙していると、世界はこんなにも、人間以外の生き物で溢れているのだと気付かされる。世界の懐の深さを知って、なんだかしみじみと嬉しくなるのだ。それを教えてくれる虫たちに、感謝とリスペクトを感じながらも、やっぱり家には居て欲しくないなぁと思ったりするのだ。

最後に、私の可愛い同居人をご紹介 お昼ごはんをかじられても、可愛いから問題なし♪
サラダと同じ色のヘナちゃん


▼過去の記事
隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る
《第1話》移住のきっかけ~
《第2話》地域おこし協力隊で漫画を描く【前編】
《第3話》地域おこし協力隊で漫画を描く【後編】
《第4話》隠岐の夏・隠岐の盆

◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆

【ペンネーム】あーさ
【居住市町村】隠岐の島町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】愛媛県
【年代】40代
【お仕事】漫画家
【好きなこと】仕事で漫画を描くこと 趣味で漫画を描くこと
       隠岐の美味しいご飯屋さん巡り インコを吸うこと
【Love shimaneとしてひと言】
隠岐の島町に愛鳥と共に移住して早4年。暇さえあれば家にこもって漫画を描いているため、まだ訪れたことのない隠岐の観光地がたくさんあるという、なんとも残念な体たらく。
そんなインドア派でオタクでおひとり様の私ですが、ここ隠岐の島町で豊かな暮らしを楽しんでいます。
普段は引きこもり、たまに外に出て隠岐の自然や人々との交流を楽しむ…そんな私の日々の感動をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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