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【しまね女子ブログ】隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~第4話:隠岐の夏・隠岐の盆~


隠岐のお盆

お盆は実家に帰るのが定番なのかもしれないが、私は敢えて帰らなかった。何故なら、お盆期間中、隠岐では楽しいイベントが目白押しだからだ。普段は静かな隠岐の島町だが、この時期は帰省や観光客も合わせて、人口が2倍になるという。普段引きこもりがちな私だが、この期間は外に出て、隠岐のお盆を堪能した。その中で、特に感動した体験を2つ、ご紹介したいと思う。
 

隠岐の花火大会

隠岐の島町では、年に1回花火大会がある。会場はその年々によって違うが、今年は西郷の港周辺で行われた。特に誰とも約束するでもなく、私は一人で花火大会に出かける。一緒に花火を見てくれる人は、現地で調達すればいい…隠岐の島はそれぐらい気楽でいいのだ。

会場へいくと、港の周辺はすでにたくさんの屋台がひしめき合い、客が行列をなして活気づいていた。出展者の多くが知り合いなので、各店舗をウロウロしながら、挨拶を交わしたり冷やかしたりするのが楽しいのである。
その中で、ひときわ行列が出来ている唐揚げ屋さんがあった。元協力隊の先輩が出している屋台である。先輩は洋食屋を営んでいるのだが、彼の作る唐揚げは絶品で、屋台はいつも大人気なのである。すごい唐揚げが食べたい気分だったが、まあ…私は普段食べているから…と、唐揚げは今並んでいるお客さん達に譲ることにした。代わりに、先輩とは別の、元協力隊の仲間が作った、自家製クラフトコーラを買うことにした。シナモンと八角とショウガが効いたスパイシーな炭酸が、やや湿気の高い夏の夜にちょうど良い。彼は今、隠岐の島町産の素材を使った『ご当地クラフトビール』を作り出そうと奮闘しているところである。来年はもしかしたら、彼が作りあげた地ビールで乾杯しながら、花火が見られるのかもしれない。まだ今年の花火も見てないのに、来年の花火に想いを馳せたりしてみた。

そうこうしているうちに、花火の打ち上げ時間が迫って来た。家族連れのお客さんが増えてくる。子どもたちとご両親、そしておじいちゃんおばあちゃん…三世代でお酒を飲んだり、ジュースを飲みながら、みんなニコニコしながら花火が打ちあがるのを待っている。
いやぁ、いいね。家族っていいね。家庭を築くこと。子どもを持つこと。きっとそこからでしか得られない幸せってあるんだろうなぁ。
でも私は、自分の時間は自分のやりたいことのために使いたいし、誰かに邪魔されてペースを崩される事が好きじゃない。ただただ一心に、己のやりたいことに集中する…そこからでしか得られない幸せもあるのだ。
花火が上がる。今年の花火は気合が入っているらしい。歓声と拍手が上がる。
一度きりの人生だもの。みんなそれぞれ、後悔のないように生きられたら、それでいいよね。景気よく咲いては散る花火を見ながら、そんなことをつらつら思う夜だった。

行きつけのお店の店主さんが、となりで一緒に花火を見てくれました。ありがとう!また塩こうじ唐揚げ食べに行きます!
ちょっとくらい邪魔されても、可愛いから許せちゃうマイエンジェル♪


演奏会

花火大会の余韻も残る次の日。私は珍しく二日連続で外に出た。演奏会に招待されていたからだ。その演奏会は、現協力隊のHさんからのご招待だった。案内によると、隠岐の海辺のステージで、サンセットを見ながら生演奏を楽しむそうだ。なんてオシャンティな…!普段インドア派な私だけど、たまには真夏の海でオシャンな気分を味わいたい…!私は二つ返事で参加を決めたのだった。

当日、会場に行くと、すでに見知った面々が集まっていた。Iターン者が企画したイベントは、馴染みのIターンメンバーが集まりがちなのである。
もはや実家のような安心感すら覚える面々と世間話をしていると、今回のイベントの目玉である、演奏家さんが楽器を携えてやって来た。
珍しい楽器、見たこともない楽器。日が傾き始めた頃、演奏が始まった。

海辺のステージは、最高のロケーションだった。演奏家さんのエスニックな衣装も相まって、見慣れた海辺の風景が、とても非日常的に映った。

演奏に聴き入ったり、テンションが上がって踊ったりしているうちに、お腹もすいてくる。演奏後は、参加者全員でバーベキューを楽しんだ。
余談だが、隠岐の人たちはバーベキューが大好きである。Iターンの人たちも、アウトドアが趣味の人が多いので、人が集まると必然的にバーベキューになるのである。私は、隠岐に来るまではあまりバーベキューの経験がなかったのだが、ここに来てからはすっかりお気に入りになっている。綺麗な景色で美味しいものを食べ、みんなで楽しくお喋りする。この時間が最高なのだ。

そうこうしている内に、日は完全に落ち、代わりに月と星々が輝き始めた。
隠岐の夜空は綺麗。まるで絵に描いたような、満天の星空である。見上げているとなんと流星が…!実は、この日はちょうど『ペルセウス座流星群』が流れる日だったのである。
お腹も満たされて心地いいし、みんなでその辺にコロコロ転がりながら、夜空を見上げる。演奏家さんがもう一度楽器を手に取り、曲を奏で始めた。
昼間はさすがに猛暑だが、夜になると一気に涼しくなる。海から吹いてくる風が湿気を帯びているため、衣服が若干湿っぽく重いが、寝転がればさほど気にならない。
美しい音楽。頭上には満天の星。それらを一緒に楽しめる、気心の知れた仲間達。
こんな贅沢、他にはない。

以上、私の隠岐の夏の体験を二つ紹介させていただいた。今回、私にとって5度目の夏だったが、隠岐は夏も美しい。
真っ青な空に浮かぶ大きな入道雲。青々とした山に、涼し気な川のせせらぎ。そしてけたたましく泣き叫ぶ蝉の声…。まさに日本人なら誰もが思い浮かべる『田舎の夏の原風景』だ。
もっとこの美しい景色を堪能できれば良いのだが、残念ながら一歩でも外に出ると…熱い!(暑いじゃない、熱い!)容赦ない真夏の太陽が襲い掛かって来る。いくら自然に囲まれた隠岐の島町でも、昨今の猛暑からは逃れられないようだ。

ゆえに残りの夏は、大人しくクーラーをつけ、閉め切った窓の中から、夏の原風景を楽しむことにした。
相変わらずの、引きこもりの毎日なのである。


▼過去の記事
《第1話》隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~移住のきっかけ~
《第2話》隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~第2話:地域おこし協力隊で漫画を描く【前編】~
《第3話》隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~第3話:地域おこし協力隊で漫画を描く【後編】~

◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆

【ペンネーム】あーさ
【居住市町村】隠岐の島町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】愛媛県
【年代】40代
【お仕事】漫画家
【好きなこと】仕事で漫画を描くこと 趣味で漫画を描くこと
       隠岐の美味しいご飯屋さん巡り インコを吸うこと
【Love shimaneとしてひと言】
隠岐の島町に愛鳥と共に移住して早4年。暇さえあれば家にこもって漫画を描いているため、まだ訪れたことのない隠岐の観光地がたくさんあるという、なんとも残念な体たらく。
そんなインドア派でオタクでおひとり様の私ですが、ここ隠岐の島町で豊かな暮らしを楽しんでいます。
普段は引きこもり、たまに外に出て隠岐の自然や人々との交流を楽しむ…そんな私の日々の感動をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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