【しまね女子ブログ】 水木彩也子vol.1
20年近く続けた役者をやめた後、47都道府県を巡って聞こえた自分の声
京都から兵庫、鳥取、島根を通り山口へと続くJR山陰本線。
もうどのくらい列車に揺られていたでしょうか。長旅の疲れもあり半分夢の中でぼんやりと眺めていた車窓。
そこに突然広がったのは真っ青な日本海と抜けるような青い空、そしてこの土地独特の艶のある赤瓦の屋根の家々。
あぁ、きれい。
気が付くと夢中でシャッターをきっていました。あっという間に美しい景色は過ぎ去り、私の心の中に残されたのはただ一つ。
「この美しい島根に住みたい。」
当時は日本一周、47都道府県を巡る一人旅の真っ最中。
それまで一人旅なんてしたことがなかったのですが、自分の知らない世界をしっかりとこの目で見たい。その好奇心と衝動を抑えきれずに飛び出したのは26歳のクリスマス。
煌めく街の中でショーウィンドウに映る大きなリュックとほとんどジャージ姿の自分を少し恥ずかしく思いつつ、これからの日々への期待感で吐く息の白ささえ眩しく感じていました。
移動は主に列車を使い、泊まるのは大体その地域で一番安いゲストハウス。ほとんど毎日違う場所で迎える朝。
初めての事尽くしで、自分が行きたいと思うところへ自分の足で向かえる喜びや、リュック一つに収まる自分の日常を清々しく思う反面「私は一体何がしたいのだろう。」という不安がぴったりと背中をついて離れてはくれませんでした。
実は日本一周の旅に出る前に、私はこれ以上に大きな人生の決断をしていました。
それは幼い頃から20年近く続けた役者をやめた事。
正直これには私もびっくりしました。おばあちゃんになってからも当然役者を続けるものだと思っていたし、何より演じているときが私の人生そのものだったから。ただ、役者としてのこれからを考えたとき
「もしも、やめたら。」
という小さな ’if’ が頭をよぎりました。これが私にはショックで…。
こうして中途半端ができない私はここで一度芝居とお別れをすることにしたのです。
今まで本当にありがとう。いつまでも大好きだよ。
やめた後はトレードマークのロングヘアーをばっさりショートにし、ただの’私’になった解放感で軽やか軽やか。
ただ、これからの事は何にも決めておらず。
ずっと同じ世界にいたという事。
それは私にとって強さでもあり、小さな劣等感でもありました。もっと面白いものがどこかで待っているかも。そんな中芽生えたのが
「次の道を決めるにはもっと広い世界を見てからじゃないと。」
こうして初めての一人旅が日本一周となったのです。
自分が一体何をもとめているのか心の声を聞き逃さないよう、聞こえないふりをしないよう過ごした旅の日々。
誰とも共有できないかけがえのない時間の中でたくさん心を動かし、そうして一番大きく聞こえてきたのが、
「島根に住みたい。」
という願いでした。
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担当者プロフィール
【水木 彩也子】
東京で20年ほど役者をし引退。
その後は「次の自分に出会うためにはもっと広い世界を見てからじゃないと」と思い日本一周の旅にでました。
途中「1番好きな場所で暮らしたい」との想いからこころのふるさと島根県へiターン。
現在はラジオのパーソナリティやテレビのリポーターをしながら島根の事をもっと知ってもらうため日々発信中。
一人でも多くの方が自分の心地よい場所を求められたら素敵だなと思っています。
Instagram → https://www.instagram.com/sayako.07
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