背伸びせず、つくろう──等身大で生きる島根らしいやりかた
「Craftsman’s Base Shimane」は、島根県で職人気質(クラフトマンシップ)を発揮する方々に話を伺いながら、作りながら考える暮らしを探求する場です。探求の成果や過程は、このnoteの記事や動画、イベントを通じて共有していきます。2021年は「背伸びせず、つくろう」をテーマに島根で活動する暮らしのクラフツマンたちを取り上げていきます。
昨年2020年にスタートしたこのプロジェクト「Craftsman’s Base Shimane」。島根県の広聴広報課と、県内在住のフリーランスがタッグを組み、人口減少が進む島根という地を活かして、新たな価値を生み出していく人びとの仕事と暮らしを動画と記事で発信してきました。
2021年のコンセプトは、「背伸びせず、つくろう」。昨年度には地域のなかで、地域をこえて先端的な「クラフト」に取り組む人びとを取り上げました。それに対して、今回はまだ始まって間もない「クラフト」にスポットを当てていきます。登場するのは、最近何かを作り始めた人や、日々働く生業がありながらも一歩踏み出して何かを作っている人たちです。
島根では「クラフト」はとても身近なコンセプトです。少子高齢化が進み、お店や遊ぶ場所があまりないからこそ、「ないならつくろう」という選択肢がすぐに出てくるのです。バーベキューは庭先でできますし、季節になれば梅仕事や味噌の仕込みに取り組む人も多くいます。自然を生かしたスポーツイベントに、空き家を活用するためのDIYワークショップなども盛んです。必ずしもクオリティが高いものではなくても、まず自分でやってみることが重んじられているように思います。そこに集まる人びとも「つくってくれてありがとう」、「何かできることない?」と、単なる消費者を超え、チャレンジを応援する参加者になってくれます。
例えば、私は島根の三瓶山の近くに住んでいたのですが、地域にあまり文化施設がありませんでした。それまで図書館や美術館に通っていた私たち夫婦は、この地でも自分らしく過ごせる場所はないかと、レストハウスの遊休スペースを間借りして私設図書館「はらっぱ図書室」を始めました。場所代は無料、本や本棚も寄贈、基本は無人で運用というコストも何もかけずに作れてしまった場所ですが、私たちらしいやり方で地域に関わる拠点となりました。
昨年度取材した、島根の離島・隠岐島にある海士町で大野祥子さんが開いたベイクショップ「アヅマ堂」も「ないならつくろう」という発想でつくられました。「島でグラノーラが食べたい」と大野さんが思ったことから始まったからです。自分で作ってみて、美味しいものができて、人に食べてもらおうと思ったら保健所の認可が必要になり、古民家を改修することに……。「ない」からこそ「あったらいいな」を、一人一人が無理のなくかたちにしていける面白さがあります。
そう、島根では気合いをいれずとも、意識を高くもたなくとも、気軽にクラフトを始められるのです。起業のための事業計画を綿密に練り、資金調達をし、営業をかけまくり……そうして、なんとか生み出される事業もあります。島根では、そんな必要はありません。ただ楽しみで始めたことに自然と人が集まり、少しずつ大きなプロジェクトになっていく。誰でもクラフトが始められる、誰でも自分らしい活動が始められる、そんな島根の暮らしを発信していけたらと思います。
──2021年、このプロジェクトに関わるメンバーもそれぞれのライフステージに変化があったり、また新たに加わる人もいます。私自身も、メインの仕事が変わりました。このプロジェクトは、島根に住むフリーランスと、関係人口的に関わる県外のフリーランスたちがタッグを組んで、島根との縁を結び、繋ぎながら運営されます。興味がある人は、ぜひお気軽にお声かけください。
【お問い合わせ】
担当:島根県政策企画局広聴広報課 広報戦略スタッフ
電話:0852-22-5757
メール:kouhou@pref.shimane.lg.jp