今回ご紹介するのは、BtoBのオンライン利用規約における「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」に基づいて、会社から対象ユーザーに対する契約解除が認められた事例です。
東京地方裁判所令和5年3月24日(令和4年(ワ)第1263号)LEX/DB25608724
事案の概要
事実関係
前提となる利用規約
裁判所の判断
解説
オンライン・サービスの利用規約では、会社が「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」という条項がよく設けられています。ただし、この表現は、かなり不明確であって、文字どおり、会社が無条件で自由に契約を解除できるという意味であれば、一方的に有利すぎて不公平であるとして、信義則に違反して無効となりかねないため、実務上、この条項にどこまで依拠して解除してよいのかどうかは悩ましいことがあります。
もし、これが消費者契約であれば、消費者契約法により、無効となる可能性が高まる(さいたま地裁令和2年2月5日判時2458号84頁参照)が、BtoBにおいて、どこまで有効なのかというのは、明確な裁判例が少ない分野でした。
本判決は、「9号までの列挙事由と並べて規定されていること」や「本件サイトの登録や利用自体が無償であること」も踏まえ、本件条項を「当該ユーザー資格につき本件サイトを利用するのを許容し得ないと判断するのが合理的といえる場合」と限定解釈をしたうえで、ユーザーとの契約を解除することを認めたという点で一定の意義を有する事例といえます。