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コンテンツ記録⑤コミック「少女ファイト」日本橋ヨヲコ

主人公は高校1年生の練(ねり)。
姉の死をきっかけにバレーボールにのめり込む。
小6で出場した大会では全国2位。
一転、中学時代は強豪校に入学するが、補欠が続き最終的には退学。
そして、高校。一癖二癖あるメンバーたちとの関わりとともに成長していく話。


名シーンがたくさんありすぎて語りきれない。

まず、ひとつめはこちら。

誰かの役に立ちたいって思ってる時だけは
自分を嫌いにならないですむよ

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」第9巻

とある試合中。
ベンチにいるにもかかわらず、味方のメンバーを応援しない結隆子(ゆいたかこ)。
結はチームの中で最も技術の高い選手の1人。
だが、理由あってそのときはベンチ。

「一緒に応援しよう」とチームメイトの日置(ひおき)から言われるものの
「声を出したところで勝率が上がるわけない」と切り捨てる結。

その発言に対して、日置が
冒頭の言葉「誰かの役に立ちたいって思ってる時だけは
自分を嫌いにならないですむよ」と返す。

その言葉に思うところがあったのか
結はコート内の選手に声掛けをするように。


自分のことが嫌になっているとき。
心が揺らいでいるとき。
そのようななか
仕事をしたり育児をしたりする気分になんかならないとき。


そんなときに「自分のために人の役に立つ」

というのはとっても素敵な考え方だ。


別のシーンでは
「チームメイトから好かれていない」と泣き出す選手に対して、監督からの言葉。

暇はよくねぇ
暇だと余計なことを考える
黙って働いて自立してるフリしとけ
そうしてりゃいつかそれが普通になる

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」第16巻

その監督は、かつてアルコール依存症が原因で妻子と離別した。
その依存症を克服してきた過程があるがゆえのこのセリフ。


何度読んでも痺れている。


どちらのシーンも
主人公チームではなく対戦校のなかでのシーンなのだ。


登場人物たちのメンタルの成長が絶妙に描かれすぎて悶える。


育児していて感じる。

それは、子どもは

大人がいなければ食事を用意することもできない。

服を着替えることも
風呂に入り身をきれいにすることも
排泄だってできない。

親の手助けに依存している。


だからこそ
「相手(親)に好かれるべし」と生存戦略としてインプットされている。

けれど、成長するにつれて
親の手助けはどんどん不要になる。


ゆえに、
その先天的な「好かれるべし」インプットから距離をとり
折り合いをつけてなんとか生きていけることが

自立のひとつなのかもしれない。


自立とは何か。

成長とは何か。

登場人物たちの成長に涙しながら
そんなことを考えずにはいられない漫画である。



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