あいけ

🦕/文芸誌 銀杏派『現代人』代表(さやわか文化賞2023「紙媒体賞」受賞)/StrayBeepの作詞/1996年生/都立西高67期→東大文学部(夏目漱石研究)→広告/東大みかん愛好会OB/元ジモコロライター/ゲンロンSF創作講座6期聴講生

あいけ

🦕/文芸誌 銀杏派『現代人』代表(さやわか文化賞2023「紙媒体賞」受賞)/StrayBeepの作詞/1996年生/都立西高67期→東大文学部(夏目漱石研究)→広告/東大みかん愛好会OB/元ジモコロライター/ゲンロンSF創作講座6期聴講生

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あいけ式ベストハンドレッド2022:どきどきバニラビート編

※1 2022年12月22日、『すずめの戸締まり』に関して追記 ※2 〆鯖さん・コメント欄の方々との対話で進む動画Ver.もよろしければぜひお楽しみください(7時間ありますが……)。このnoteは「私小説あるいはエッセイ」、動画のほうは「トークイベント」という風に、異なるコンテンツとして見れるかと思います。 https://www.youtube.com/live/K_jwDS1h3Qs?feature=share ◆ 水音の聞こえる世の果てで羽を休めたいと思った。

    • (非)混沌東京 a.k.a 永年芸術祭

      近ごろ(ここ10年くらい?)盛り上がっている地方の芸術祭やアートイベントに自分が全然行っていない理由を考えた。 すでに結構みんな行っているからわざわざ自分が行かなくても良さそうとか、単にお金と時間がないとか、自分にとって「自然」単体が最もアートとして完成されているものだからとか、いろいろ思い当たりつつも、ひとつにはやっぱり「東京者」としての強烈な自我とコンプレックスが関係しているだろうと思った。 東京というのははっきり言って何もない場所である。無である。文化力では関西の豊

      • 俺のインターネットのやりかたが分からなくなっている

        という件で文章を書こうと思ったが、なんかもうそれさえ匙を投げたくなるくらいには、自分が誰に向けてこれを書いているのかさっぱり分からなくなっている。とはいっても「読者の顔が見えない」のではない。「さまざまな読者の顔が見えすぎる」ためにつらいのだ。 だとしてもそれを他でもない読者に向けて言うのって反則じゃないか?と思わないでもないが、そういうまともな社会性を求めてくるんなら今すぐ俺のフォローを外せばいい。やっていることの規模は1万倍くらい違えど、最近東浩紀さんが「俺やばい奴だか

        • 業/失望

          近ごろなにかに失望する機会が多い。はっきり言って疲れている。というか苛立っている。 失望の原因はどれもざっくりまとめれば「公共性や社会正義に対しての意識があまりに低い」点に尽きる。 もちろん、何もあらゆる人間・あらゆる組織が公のためにあるべきだとは思わない。ただし初めの理念として社会的なものを掲げている場合や、具体的に公的な資産を使っている場合については話がまったく別だと思う。 一例。掲げた大義名分のために団結すべきはずの団体が、内輪での交流や褒め合いに終始し、なおかつ

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        あいけ式ベストハンドレッド2022:どきどきバニラビート編

          えんそくvol.2稽古場レポート④『JAM』:通し映像編

          ↑というシリーズのはず、なんですが今回は変則的に、通し稽古の録画映像を見てレポートというかコメントというか感想を書いてみるスタイルです。これ「稽古場」レポなのか……?(便宜上、noteのタイトルはそのまま「稽古場レポ」ですが。) さて。まず映像を観終えて思ったのは、「疲れないで観れたな」ということ。単に体の疲れの問題というよりは、心があっちこっちに揺れずに済んだなと。どういうことか説明します。 一般に、物語というのは「問題を解決するカタルシス」を連続させる、あるいは引っ張

          えんそくvol.2稽古場レポート④『JAM』:通し映像編

          えんそくvol.2稽古場レポート③『東京三人姉妹』:トーク&シャッフル編

          続・えんそく稽古場レポート。今回はレポ①に引き続き、『東京三人姉妹』です。 やはり本番が近づいてくると、役者の人たちが作品にどんどん入り込んでるのが分かるので、期待感も煽られるものです。そして実際面白そうです(お世辞で面白そうとかは言わないので信じてくれ)。 この日はたまたま運悪く直前で役者さんの都合がつかなくなったりして、その場面の出演者が全員揃ってやれる場面がほぼなく、「稽古なにやるねん」状態だったらしいです。そんなこともある。 なので俺も当然「なにを書けばいいやら

          えんそくvol.2稽古場レポート③『東京三人姉妹』:トーク&シャッフル編

          えんそくvol.2稽古場レポート②『JAM』

          というわけで。 前回の『東京三人姉妹』稽古場レポートに続いて、今回は『JAM』の稽古場レポートです。演劇制作の場を見たのはこれで二回目という、相変わらずのビギナーがお届けしますよ。 ▼前回のやつはこれだ 『JAM』の登場人物は、とある家の四姉妹だけ。そういう意味ではシンプルな話です。三姉妹の話である『東京三人姉妹』と両方見て、比べて鑑賞するとまた面白いだろうなと思いました。公演の予約チケットはすでに好評販売中らしい。(宣伝です。) ◆ この日は17:30くらいから人

          えんそくvol.2稽古場レポート②『JAM』

          えんそくvol.2稽古場レポート①『東京三人姉妹』

          ご縁があって、3/20(水)~24(日)に西荻窪「遊空間がざびぃ」にて上演される演劇『時間なら、あるわ』の稽古場を見学し、レポートを書いてみることとなった。いきなりですが。 2作品が交互に上演される。今回は『東京三人姉妹』の稽古。 タイトルから察する方もいるかもしれない。ひとことで言えば1901年初演のチェーホフの戯曲『三人姉妹』の、現代版・東京版アップデートです。 さてレポートと言ってもなにを書いてよいやら、ただしもちろん書くことがないのではなく、「書くことがありすぎ

          えんそくvol.2稽古場レポート①『東京三人姉妹』

          作ってる文芸誌の新作出るよー+2023まとめ

          1.文フリ京都で『現代人 第三号』を出します主宰する銀杏派というサークルの文芸誌『現代人』、2024年1月14日の文学フリマ京都にて、新作出します。 創刊号はさやわか文化賞2023の「紙媒体賞」を勝ち取り、またあいけ式ベストハンドレッド2023で11位にランクインしたことでも話題。買うしかない。 今回自分は「平地と魚類」という6,000字くらいの短編小説を載せています。さらっと読めて面白いです。創刊号に載せた「マリトッツォの鎮魂」以来、いまの作り方でできるうちの最高峰が

          作ってる文芸誌の新作出るよー+2023まとめ

          2023:ほんの少ししゃべりすぎた?

          徒労の一年だったと思い、それから熱いシャワーを浴びてみると、それなりに良い一年だったと思った。メランコリーは所詮それほどのものである。 間違いなく、すばらしいことがたくさんあった一年だった。ただしそれ以前のところで、まさしく「君たちはどう生きるか」なんて問われたら深く考え込んでしまうような、つまりは迷いが増えた年でもあった。今まで目を背けてきたことのツケが徐々に現れ始め、ああそうか、もっとちゃんと頑張らないといけないよねと、当たり前のことをたびたび強く思った。それが悔しいと

          2023:ほんの少ししゃべりすぎた?

          ベストハンドレッド0位への道

          https://www.youtube.com/live/CU36zudn6FE?si=D7gbx079q_WAZ8w7 数学力が無に近いので、ゼロ概念のことも実際よく分かってないけども、まあ「1位よりも上っぽい何か」くらいで捉えといてくださいな。 じゃあその0位とは何ぞや、といえば、先日Youtubeで配信を行った「あいけ式ベストハンドレッド2023」自体が0位だという気概ですよ。そりゃ。それを目指さないんならそもそも配信自体やってないし。だから要は、騙されたと思って見

          ベストハンドレッド0位への道

          2023年のTwitterと信長と

          僕がTwitterを好きだったのは、文字で遊んでいる限りは自分が「ここじゃないどこか」にいられるからで、もちろん今だってある程度好きではあるけど、やっぱりその盛りは過ぎていると思う。 自分の使い方的にもそうだし、なんせ2010年代も後半になるにつれてTwitterは急速に「社会」になっていった。そいつがXになろうと何だろうと、少なくとも青い鳥の記憶は美しいものとして僕の中に刻まれる。だからひとまずはありがとう、と言いたい。 さて。ここじゃないどこかはどこだろう。わくわくす

          2023年のTwitterと信長と

          vs. WBC

          ふだんプロ野球もろくに観ない、超絶にわかが言いますよ。いやー。よかったですね。大谷の投球がずーっと気合い入ってて、村上もやっと良いやつを打てて。 (スポーツといえば、変になにかをこじらせたサブカルの人とかが「そういう体育会系でポピュラーなものは観ませんわよ」みたいな態度をとったりもするものですが、そういうタイプに限って「文化系でポピュラーなもの」は摂取していたりするわけで、そんならただの縄張り争いじゃねーかと。結局ジャンル分け隔てなく、ポピュラーなもの、マイナーなもの問わず

          そのハネウマに用がある

          Twitterに去年書いた2023年の抱負は、「お金を使わない」「頭を使わない」「無を愛して受け入れる」……他になんかありましたっけ。付け加えるんなら「現実世界に向き合う」とかかな。 こうやって書き出してみると、ろくなもんじゃなさそうな字面が並ぶわけですが、元より、立てた目標を完遂できるほどの人物じゃないと自分が知っているので。いや、一応他にも目標はあるんだけども、人に言うようなことじゃないんで。 それはさておき、跳ね馬の話です。 一般論として、「成熟」とは何ぞやと考え

          そのハネウマに用がある

          afterBEST100:今その言葉は怯えているか?

          自分の握る剣に怯えぬ者に、剣を握る資格はない。僕はそう教わった。 過日、「2022年のコンテンツを100個ランキングにして全部に批評を加える」という企画をやってみた。疲れた。 それで改めて理解した。「何かを言うこと」「何かに言及すること」にはつねに怯えが伴うべきだ。今回僕が疲れたのも、別に実務的な作業量が一番の理由なのではなく、それが怯えとの戦いでもあったからだ。 作品について何かを言うということは、同時に、自分の倫理観や価値観を表明していることにもなる。どんなに「自分

          afterBEST100:今その言葉は怯えているか?