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マタニティマークと私と君と

現在妊娠8か月。妊娠してからずっとマタニティマークはリュックの外ポケットの内側にお守りのように着けている。

妊娠初期からつわりがそんなにひどくなく出社できる状態だったし、中期、そして現在までイージーな妊婦ライフを送っていると自覚している。妊娠の症状は生理と同じくらい個人差があるもので、私はラッキーなことに今回の妊娠は軽い方だったのだと思う。だから電車に乗ったとき、わざわざ席を譲ってもらうほどしんどくはないけど、席が空いたときには座りたいから、マタニティマークは見えるところに着けていない。

ただ、ごくまれに出社時間を早めなければならないときや運転見合わせで満員電車に乗らなければならないときは、お腹を守るためにマタニティマークを見えるように着けている。

たまたま人の波に押されて優先席の前に流れついたとき、90歳くらいのおばあさんに席を譲られてしまった。「大丈夫です大丈夫です!」と言っても「次で降りるから」と代わってくれた。

また別の日の満員電車では、前に座っていたおじさんが「どうぞ」とすっと席を譲ってくれた。

今私は「社会的弱者」で世間で席を譲ってもらう側なんだ。

座れる、お腹を守りながら立ち続けなくてよい、という感情よりも、代わってもらえたうれしさに心がいっぱいになる。マタニティマークを着けて電車に乗ることが少ないから事例は少ないけど、お腹にいる君よ、社会は期待するほど優しくないかもしれないけど、じんわり温かいものだよ、と腹をさすさすしながら心の中で語りかけた。

ぽこり、と「了解」と言うように胎動を感じた。


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