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「定番」を避けがちな私が「お太鼓結び」を選択する理由
もともと「お太鼓結び」は好きじゃなかった。
名古屋帯なら「銀座結び」の方が粋でこなれた雰囲気がして好きだし、フォルムもぽってりして可愛い。
半巾帯は手軽に結べるし、リバーシブルで使えるお得感もある。
兵児帯の変わり結びは華やかで、目新しさがある。アバニコ結びやコルセット結びなどに憧れてやっていたこともある。
それが今となっては、ほぼ毎日「お太鼓結び」である。
仮紐が必要で面倒だし、枕も帯揚げ帯締めも必須だし、正直半巾帯を結ぶより時間もかかる・・・
でも、定番と呼ばれるものには、それなりの理由がある。
とにかく背中が楽なのだ。
枕がないと、背中が寂しい。
帯枕・帯揚げ・帯締め
この3つが加わることで完成されていく圧倒的安定感!
「着心地がいい」だからこそ「着物を着る」という選択を日々しているのだと思う。
定番と呼ばれるものの強さを感じている。
とはいえ、私自身、自分の思いつきをちょこっと入れたくなってしまうタイプである・・・
「もっとこうしてみたらもっといいんじゃない?」なーんて思ってしまうこともある。
もちろん、チャレンジしたり、実験することが悪いわけではない。
ただ、歴史があるものの場合、大抵のことは先人がすでにやってみてくれている。
その結果、あかんかったから残ってないだけなんでしょう。
着物や着付けに関しては、生まれてから死ぬまで毎日着ていた先人が研究し尽くしてくれているはずである。
その叡智の結晶をありがたく、素直に受け取るのも良いんじゃないだろうか。
つい「個性を出したい」と、人とちょっと違ったことをやってみたくなる。
「みんなと一緒だとつまんない」そんな風に思いがちな私である。
でもそもそも着物って、みんな同じ形なのだ。
同じ着方で同じ帯結びだったとして、ちゃんと個性が出ちゃうのだ。
定番だっていいじゃないか。
まだまだ齧った程度、いや、舐めた程度なのでしょう。
味わい尽くすにはかなり先が長そうだ。