伝わるコミュニケーションは「起承転結」(What? So what? Now what?)
こんにちは、しまきです。
今回はハーバードビジネスレビューの動画や記事を取り上げ、コミュニケーションの秘訣を学びたいと思います。
私の記事は主に、感情的な賢さの大切さを伝えています。例えば、怒りっぽかったり、皮肉っぽかったりすると、どんなに立派なことを伝えようとしても、相手には伝わりにくいものです。しかし、感情知能を学び、感情的な賢さを表現できるようになった後であれば、コミュニケーションの構造こそがコミュニケーションを成功させる最も重要な要素になるでしょう。今回は、日本人に馴染みの深い「起承転結」が、コミュニケーションにおいて優れた構造を提供することを具体例を挙げながら学び直してみたいと思います。
起承転結の利点
スタンフォード大学のマット・エイブラハムズ(Matt Abrahams)講師は次のように言っています。
「起承転結」とは、物語や文章を四つの部分に分けることで、わかりやすく伝える方法です。今でも、日本の小学生が作文を書く際に学ぶものであると思います。誰もが知っているこの文章の構造は、小学生だけでなく、ビジネスや日常生活でのコミュニケーションにも非常に役に立つ構造を提供します。さらに、起承転結を習っていない英語圏の人にもわかりやすい構造になっています。
構造のあるコミュニケーションをするメリットは様々です。
わかりやすい:起承転結の構造は論理的です。論理的な文章構造に慣れていなくても、この構造を応用するだけで、相手には理解しやすくなります。四つの部分に分かれているため、お互いに誤解があった場合でも、どの部分ですれ違いが生じたのかを特定しやすくなります。
覚えやすい:起承転結の構造は、世の中にあるあらゆる文章に見られるため、そのリズムは知らず知らずのうちに脳に刻みこまれています。そのリズムにあった伝え方をすることで、あなたの話はより記憶に残りやすくなります。また、どんな場面でもこの一つの構造を使いまわすことができるため、時短です。
不安がなくなる:メールでも口頭でも、話が脱線することはあります。しかし、構造化されていれば、いつでも流れをもとに戻せるので安心ですし、コミュニケーションをまとめるリーダーシップを発揮しやすくなります。
起承転結の構造
「起」は、これから起こるコミュニケーションの前提を共有するものです。会議など特定の議題のために参加者が集まっている場合は、会議の目的などを明確に説明することで、参加者を議論へ導くことができます。日頃からお互いが共有している仕事であれば、「例の案件ですが」と一言で伝わる場合もあるでしょう。
「承」は、問題点、製品、苦情、関心ごとなど、スポットライトを当てる話題とその現状を示します。スポットライトという表現が示すように、特定の狭い範囲に焦点を当てることが大切です。話の範囲を広げすぎないことが成功への近道だと思います。
「転」は、解決策や新しいアイデア、新しい視点など、スポットライトを当てた話題に変化を与える方法を提案します。スポットライトの当たっていた話題から、より広い範囲に光を当てることで、新しい視点を取り込み、別の見方を試みます。
「結」は、変化によって訪れる未来が合理的な理由を説明します。
起承転結の具体例
それでは、「起承転結」の「承」「転」「結」の三つの部分に絞っていくつかの例を挙げてみます。「起」は状況によって様々ですが、大切なのは、お互いが話の内容を理解した上で会話を始めることです。意外と「起」は暗黙の了解だと勘違いして話し始める人が少なくないので、気を付けたいものです。
新しいアイデアを提案する
新しいアイデアや製品を提案する状況では、「承」で解決したい問題点、「転」で問題点の解決方法、「結」で解決方法によって得られる利益を説明することになるでしょう。
承:まずは、現状のチャレンジや苦情など解決したい現状の説明をします。
転:次に、その問題点を解決できる新しいアイデアやサービスを提案します。
結:そして、その提案の強みや利点、さらには、弱みや欠点を明確にすることで、提案の合理性を示します。
意見を述べる
誰かがあなたに特定の問題に対して意見を求めてくる状況では、「承」でいくつかのアイデアと類似性を示し、「転」でアイデア間の違いを説明し、「結」で特定のアイデアが状況にふさわしいと考える理由を示すことになるでしょう。
承:まずは、問題に対して解決策になりうる、いくつかのアイデアを列挙します。それらの類似点を挙げることで、どれも問題の解決策になりうる点を示します。
転:次に、複数のアイデアの違いを強調します。その違いにより、想定しうる副作用の違いを確認します。
結:そして、特定のアイデアを取り上げて、問題に対してより良い解決策になりうることを示します。
知人を紹介する
あなたの知人を誰かに紹介する状況では、「承」で知人の名前とどんな仕事をしているのかを伝え、「転」でその仕事でどのような人々の生活を変えているのかを話し、「結」でその知人に会話のバトンを渡す流れになるでしょう。
承:まずは、知人の名前と現在主に取り組んでいる活動を伝えます。
転:次に、その活動により、どのような人々の生活を良くしているのかを伝えます。
結:そして、その知人に会話のバトンを渡します。
フィードバックを伝える
誰かに仕事のフィードバックを伝える状況では、「承」で相手の行動に関するあなたの気づきを伝え、「転」で別の視点を提案し、「結」で新しい視点が単に結果を変えるのみでなく、より良い効果があることを伝えます。
承:まずは、フィードバックしたいと感じた特定の行動に対するあなたの気づきを伝えます。その気づきは、相手も同じように感じていることが前提です。突拍子もないフィードバックは効果がないばかりか、関係をこじらせる危険があります。したがって、結果的には気づきを伝えるのですが、疑問文を使いながら、相手と自分が同じように感じているかどうかを探りを入れるようにコミュニケーションを進めます。
転:次に、別の行動に気がつくための別の視点を提案します。その視点によって、相手が自分で別の行動に気がついてもらうように誘導を試みます。新しい視点による別の見方に気がつけば、新しい行動に気がついてもらえると、相手の能力を信じることが大切です。よくある失敗は、新しい行動そのものを提案してしまうことです。それでは相手の行動が間違っていたことを印象付けてしまう結果になりかねません。相手の行動が間違っていたわけではなく、単に成長の過程に過ぎません。視点であれば、複数持つことが可能なので、衝突を避けることができます。
結:そして、別の視点を加えることで、状況が改善されるだけでなく、より良い効果が得られることを伝えます。より良い効果とは、相手が組織に与える影響のことです。例えば、チームの雰囲気が良くなるとか、組織の上層部に対する存在感が向上するとか、などがあげられるでしょう。
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